原題 ; RESURRECTION(1980) |
監督 ; ダニエル・ペトリー |
脚本 ; ルイス・ジョン・カルリーノ |
音楽 ; モーリス・ジャール |
出演 ; エレン・バーンステイン、サム・シェパ−ド、リチャード・フランスワース |
ヒーリングの超能力を得ながら自身の幸福を得ることは出来ないヒロインをエレン・バーンステインが名演。 モーリス・ジャールのスコアも手伝い、切々たる情感に溢れた秀作となった。 1981年アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭で審査員特別賞を受賞。 エドナ(エレン・バーンスタイン)は夫のジョーとつましいが幸せな生活を送っていた。 ジョーの誕生日、エドナは新車のトライアムフをプレゼントする。 さっそく二人でドライブ。だが、スケボーで飛び出した少年をよけようとして車が崖から転落してしまう。 エドナは一命をとりとめ、死んだ母や兄たちによって導かれる臨死体験をした。意識を取り戻した彼女はジョーの死を告げられる。 両足の神経が切断されたため、エドナは歩くことが出来なくなっていた。 エドナは墓参りをしてジョーに別れを告げ、父ジョンとともに故郷カンザスに戻る。 途中、双頭の蛇を見世物にするエスコ・ブラウン(リチャード・ファーンズワース)のガソリンスタンドに寄った。ブラウンは独特な魅力を持った老人である。 実家では祖母のパール(エヴァ・ル・ガリエンヌ)が歓迎した。古いアルバムを見るとエドナが臨死体験の中で見かけた人々の姿があった。 一族のパーティーが開かれ、エドナはその場で血友病の姪リジーの鼻血を止めて周囲の人々を驚かす。エドナの手は熱気を帯びていた。 エドナは、トンネルの向こうから光が見え人々が導いていたというの夢をパールに話す。それはパールが昔聞いた死から甦って癒しの力を得た女性が見た夢と告示していた。 それを聞いたエドナは、自分の足で試してみる。最初はうまくいかないが、何度も繰り返すうちに足の指が動くようになった。 エドナは車椅子から立ち上がり、ゆっくりとだが歩いてみせ、またも周囲を驚かす。 パールは娘に力は分け与えて使うものだと教える。 ある日、牧師アールの不良息子カル(サム・シェパード)がケンカで刺されて運び込まれた。エドナはカルの出血を止めることに成功した。 噂を聞いた人々が集まるようになり、エドナは治療活動を続ける。 会合で神のことを語らなかったとジョンがののしるが、エドナは相手にしない。 カルがエドナを飲みに誘う。カルは、以前自分が見た治療能力者の話をする。その治療者が治せたのは、本当の病人でなく精神的に病気だと思い込んでいた人たちだけだった。 その後もカルはエドナの元を訪れる。二人は愛し合うようになった。 集会は次第に人数を増やしていく。中にはエドナの治せない病人もいた。医学では治療不可能な病気を癒すこともあった。 UCLAの心理学研究所が検査を申し出てくるが、エドナは断る。 カルは病人を治すエドナを見て神性を見い出すようになっていた。 父は相変わらずエドナを認めていない。結局エドナはカルとともにロスに出て検査を受けることにした。 カルはエドナとセックスできなくなっていた。 実験としてエドナは、難病のルイスを観衆の前で治療することになる。 エドナは治療に成功するが、極度の疲労から昏睡状態に陥ってしまう。 2日間意識を失っていたエドナは光の中に立つ父ジョンの姿を見て父の危篤を悟る。 以前、エドナが妊娠したとき、ジョンは獣医に無理矢理堕胎させたことがあった。その後遺症でエドナは子供を生めない身体になった。 横たわる父に、エドナはなぜ人を愛することをやめたのか問う。 エドナは臨死体験のことを父に話す。死の間際、ジョンは光を見たことをエドナに告げる。 聖書を読みカルは次第に狂信的になっていく。エドナをキリストと同様な存在だと考え始めていた。 精神のバランスを崩したカルは、猟銃を持ってエドナの集会を襲う。エドナは肩を撃たれた。 エドナはカンザスを去る決意をする。パールは、この世ではもうエドナに会えないことを悟っていた。向う側での再会を約束してエドナは去っていく。 エドナの住んでいた小屋は朽ち果てていった。 その後、エスコ・ブラウンのガソリンスタンドを継いで、ひっそりと暮らすエドナの姿があった。 給油に訪れた家族の子供が末期の肝臓ガンだった。 エドナは両親に植物を見に行かせ、その間に子供にアルコール漬けになった双頭の蛇を見せる。 少年は自分の命が残り少ないことを知っていた。エドナは、その家族に子犬を譲る。エドナは子供を抱きしめ、こっそりと癒しを行なうのだった。 東京ファンタスティック映画祭で見てから、久方ぶりに再見することができた。 序盤の展開は、ちょっとスティーヴン・キング原作の「デッドゾーン」を連想させる部分もある。エンタテインメントとしては弱冠見劣りがするものの、ドラマの奥行きという点では負けていない。 切ないラストのエピソードには、やはり感動させられた。 監督のダニエル・ペトリーは「深海征服」なんて超ボンクラ映画を撮ったりしてたが、本作を経てポール・ニューマン主演の「アパッチ砦ブロンクス」を手がけるまでに出世した。まあ、その後は鳴かず飛ばずの状態なんだけど。 本作は1999年にテレフューチャーとしてリメイクされた。悪い出来ではなかったが、ボランティアの看護婦として活躍するラストはカッコ良すぎて本作の哀感には遠く及ばなかった。 |