原題 ; SAIGON(1988) |
監督 ; クリストファー・クロウ |
脚本 ; クリストファー・クロウ、ジャック・ティボー |
音楽 ; ジェームズ・ニュートン・ハワード |
出演 ; ウィレム・デフォー、グレゴリー・ハインズ、フレッド・ウォード、アマンダ・ペイズ |
オリジナル・タイトルは「OFF LIMITS」。 ヴェトナム戦争中のサイゴンを舞台にした異色のポリス・アクション(正確には軍人だが)。 なかなかの拾い物で、「将軍たちの夜」の娯楽アクション版という話もあるが、見逃している映画なので具体的には分からない。 ヴェトナム戦時下のサイゴンで娼婦殺人事件が発生。 担当となったのは米陸軍犯罪調査分連隊の捜査官バック・マクグリフ(ウィレム・デフォー)とアルバビー・パーキンス(グレゴリー・ハインズ)。 現場に残されたピンバッジから犯人は米軍将校と予想された。 二人は犯行時刻に娼婦街にいて犯人を目撃した黒人兵を見つける。この男は犯人の階級が高いため、安全を保障して転任させなければ証言しないと言う。二人は男をかくまうが、爆弾によって殺されてしまう。 二人はヴェトナム軍MPグリーンと対立しながらも更に捜査を進める。 犯行現場を訪れたマクグリフは殺された娼婦の赤ん坊を押し付けられてしまう。二人は赤ん坊を預けるために修道院に行き、すでに6、7件の娼婦殺人が起きていることを知る。 現地の娼婦たちに詳しいシスター・ニコル(アマンダ・ペイズ)に聞くと、殺された娼婦には混血の子供がいること、将校クラブで働いた経験があること、という二つの共通点があった。 上司のディックス(フレッド・ウォード)の報告すると、以前の事件は突然捜査が打ち切られてしまったのだという。当時の捜査官フラワーズ曹長は自ら希望して最前線に赴いていた。 爆撃の中フラワーズの元に向かう二人。フラワーズは自分専用の壕を掘り、こもっていた。 報復を恐れて口を閉ざすフラワーズからは、何も聞きだすことが出来なかった。だが、二人が乗った輸送機が離陸するとき、フラワーズは二人に捜査資料を託す。 ディックスは、捜査を続けるなら報告書を出さず、こっそりやれと忠告する。 犯人から逃れて助かった娼婦がいることを知った二人はシスター・ニコルを同行して、その女グエンの妹ランに会う。 ランによるとグエンはハノイに逃れたらしい。 容疑者として3人の将校が残り、最も怪しいのはアームストロング大佐(スコット・グレン)だった。彼はカリスマ性の高いエリート将校だが、裏では複数の娼婦相手にSMプレイにはげむ変質者。尾行した二人を部下に捕らえさせ、ヘリに同乗させた。 アームストロングは二人の前でヴェトコンを次々と突き落として殺す。SM癖がばれて自分のキャリアも終わりだが、殺人はしていないと言う。狂気に駆られているアームストロングは、その証を立てると自らも飛び降りてしまう。 二人には突然の転属命令が下った。マクグリフはシスター・ニコルに別れの挨拶に行き、そこでランと子供が殺されたことを知る。 アームストロングの死で全てが解決したと思っていたマクグリフはショックを受けた。 捜査を続けようとする二人の車が手榴弾で爆破される。パーキンスは負傷しながらも犯人を倒し、マクグリフを現場から逃がす。味方も信用できなくなったマクグリフはシスター・ニコルの元に転がり込む。彼女はグエンの居場所を知っていた。 シスター・ニコルの手引きで、地下組織にいるグエンと面会するマクグリフとパーキンス。 グエンは残った容疑者二人とも違うと言う。彼女が指し示したのはディックスの写真だった。 ディックスの宿舎に乗り込んだ二人は、シスター・ニコルの写真にマークが付けられているのを発見した。 ディックスは、以前連隊長に昇進を拒まれたことを逆恨みして連隊長の韓国人妻を殺した。それ以来、彼は殺人狂となったのだ。 シスター・ニコルに銃を向けるディックス。間一髪駆けつけた二人はディックスを射殺した。 二コルは正式に尼僧の道を歩むこととなり断髪式が行われた。彼女に恋心を抱いていたマクグリフは、その光景を寂しく見守る。 マクグリフとパーキンスには帰国の時が近づいていた。 謎解きミステリーというほどではないのだが、ストーリーがきちんと組み立てられ、テンポよく進んでいく。 狂気というものが身近に遍在するヴェトナムを舞台にしたことで緊張感を高めている。 派手さはないが実力のある俳優を揃えたキャスティングも見所の一つ。 余談=ヒロインを演じたアマンダ・ペイズも魅力的。デビュー作「コールド・ルーム」と本作が代表作と思う。B級作品への出演が多く、決定打にかけるのが残念。 |