年度 ; (1998) |
監督 ; 山本元 |
脚本 ; 山本元 |
音楽 ; 岩代太郎 |
出演 ; 松坂慶子、牧瀬里穂、蟹江敬三、桜井センリ、大杉蓮、六平直政 |
さびれた温泉を温泉卓球で復興させようという人情コメディー。 「フィールド・オブ・ドリームズ」の影響を受けた作品とも思うが、夫婦の愛、家族の絆がユーモラスな展開の中で描かれていて、こちらのほうが好きな作品。 後になって窪塚洋介の初期出演作としても話題となった(ヨースケとクレジットされている)。 平凡な主婦・藤木園子(松坂慶子)。夫・哲郎(蟹江敬三)、息子・篤(ヨースケ)とともに平和な家庭を築いているが、最近は会話も途絶えがち。毎日が同じことの繰り返しで、人生が虚しく思えてきていた。 大好きな浦乃かなえ(牧瀬里穂)のラジオ番組で相談したら、無責任に家出を推奨。 一念発起して家を出る園子。行き先は竜宮温泉。もともとタツミヤ温泉だったのだが、集客のためリュウグウ温泉にして乙姫伝説をでっち上げていた。 それでも結局はさびれ果てていた。 かなえは、老舗旅館のひとつ蓬莱屋の娘だが、女将の死後跡を継がずにいた。 園子は途中マイクロバスがエンコした旅館経営者たちを乗せるが自分も事故ってしまい、たまたま帰郷してきたかなえの車に乗せてもらう。 園子は廃業寸前の蓬莱屋に泊まる。園子は主婦の勤勉さで早朝旅館を大掃除。 かなえには、元恋人で幼馴染の公平(山中聡)がいた。彼はかなえと一緒に東京に出ようとしたが、父親が死に高田屋の跡を継ぐために残ったのだ。 大旦那(桜井センリ)に卓球場を開けてもらう園子。相手をしてくれた公平に、打ちやすい思いやりのある球を打つことが卓球だと言う。 蓬莱屋と卓球場は、園子にとって新婚旅行の思い出の場所だった。 公平は卓球のイベント開催を考案するが、他の経営者たちは乗ってこない。 一旦は東京に戻ろうとする園子だが、かなえと口論になり留まることにする。さらに公平に頼まれ温泉卓球振興に協力することになった。 園子は露天風呂で岡田(大杉蓮)と知り合う。 園子と公平は、数人の若旦那たちと卓球大会の準備を始める。中にはニューハーフのアキオもいた。 町で廃校になった学校跡地にカラオケ付き町営温泉施設を建設する案が出てきた。これができたら旅館の客は、ますます減る。 ここに来て経営者たちは一致団結。卓球大会を成功させて学校を卓球センターにする代替案をたてる。 準備は着々と進む。かなえがラジオのパーソナリティーで、公平との中が膠着していることを知った園子は一肌脱ぐことにする。 ラジオ番組に電話して、言われたとおり家出して卓球温泉の若旦那と良い仲になりそうだとたきつけた。 動揺したかなえは子供の頃に書いた作文を読み返す。幼い頃は女将として旅館を切り盛りする母親に憧れ自分も女将になると書いていた。 その頃、哲郎は取引先の岡田から見せられた旅先の写真で、園子が温泉にいることを知る。 哲郎は、園子がいなくなって初めて、あまりにも園子のことに無関心だったことに気付いていた。篤とともに、会社のトラックで卓球温泉を目指す。 かなえは、卓球大会を応援するためラジオ番組で中継することにした。 ガス欠でトラックは立ち往生、哲郎と篤は走って温泉を目指す。 大会当日、卓球温泉は観光客で溢れていた。 余興のねるとん卓球ゲームが開催される。浴衣を着た男女でリレーを長く続けられたカップルが勝つというルールだ。 駆けつけてきた哲郎は、園子に参加を申し入れる。 一方、アキオは篤に熱い視線を送る。 競技が始まり、次第に脱落者が出る中、園子・哲郎、かなえ・公平の2チームが残った。 園子のミス・ショットも哲郎が懸命にフォローした。 疲労で悲壮感のにじんできた二組。決着はなかなかつかない。 大旦那の拍手をきっかけに二組とも優勝ということで決着した。 夫婦の絆を取り戻した園子と哲郎。かなえと公平の仲もようやく進展、かなえは婚約指輪を贈られてご機嫌だった。 派手さはないが丁寧な演出で楽しませてくれる作品。 専業主婦とラジオのパーソナリティーという、全く違う人生を歩んできた二人の女性を軸に、人生の喜びを爽やかに描いた。 家に残された父子が、普段見過ごしていた園子の日常に気付いていく様子など、細部にも気配りが行き届いている。 |