原題 ; THE MACKINTOSH MAN(1973)
 監督 ; ジョン・ヒューストン
 脚本 ; ウォルター・ヒル
 音楽 ; モーリス・ジャール
 出演 ; ポール・ニューマン、ドミニク・サンダ、ジェームズ・メイソン、イアン・バネン
ヴェテラン監督ジョン・ヒューストンが「ロイ・ビーン」に続いてポール・ニューマンと組んだハードボイルド・アクション。
原作は当時の人気冒険小説家デズモント・バグリイ。
ジョセフ・リアデン(ポール・ニューマン)は、マッキントッシュ(ハリー・アンドリュース))の事務所に呼び出される。任務は郵送されるダイヤの強奪だった。
リアデンは人の良さそうな郵便配達員をぶん殴ってダイヤ強奪に成功。マッキントッシュの秘書スミス夫人(ドミニク・サンダ)に渡す。
警察の捜査を受けたリアデンはシラを切り通すが、郵便配達の証言もあり裁判で懲役20年を宣告される。
刑務所に収容されたリアデン。そこにはスパイのスレイド(イアン・バネン)も服役していた。
やがてリアデンにトラベリアン(ナイジェル・パトリック)という男が接触してくる。長期刑の囚人を脱獄させる組織があるというのだ。
2万ポンドで話をつけるリアデン。スレイドと同時に脱獄することになった。
当日、発炎筒に続いてニセのダイナマイトが刑務所の中庭に投げ込まれた。混乱の中、クレーンで網が下ろされてくる。リアデンとスレイドは、すかさず飛びつく。
刑務所の外には2台のバイクが待機していた。後部座席に乗る二人。
バイクは大型トラックの荷台へと走りこむ。その中には救急車が用意されていた。
注射されて意識を失ったリアデンが目覚めると、ガーダと名乗る女性が世話してくれ、クルックシャンクという名前のパスポート、服から家族の写真まで用意されていた。
リアデンは組織のボス、ブラウンと面会し残金の小切手を切る。
国会ではジョージ・ウィーラー卿(ジェームズ・メイソン)が脱獄問題を取り上げ、関係者の責任を追及していた。マッキントッシュはウィーラー卿に部下が脱獄組織に潜入したことを告げる。
リアデンはリンチにかけられ、正体を問いつめられるが屈さない。
一方、マッキントッシュはスミス夫人の目前で車にはねられてしまう。
リアデンは隙を突いて見張りを倒し、部屋に火を放って脱出。追ってきた犬を川に沈めて殺す。
屋敷は全焼しリアデンは逃走に成功。
病院ではマッキントッシュが危篤状態だった。
自分の居場所がアイルランドであることを知ったリアデンは、スミス夫人と連絡を取る。
その町にクルーザー、アルティナ号に乗ったウィーラー卿が現れた。名目は釣りである。
空港でスミス夫人と落ち合ったリアデンは新しいパスポートを受け取る。スミス夫人はマッキントッシュの娘だった。
事故直前、マッキントッシュがウィーラー卿と面会したことを知ったリアデンは、スレイドがアルティナ号にかくまわれていると推理する。
クルーザーはイギリス軍視察のためマルタへ向かう予定だった。
ウィーラー卿がスパイであることに気づいたマッキントッシュが、彼を罠にはめるためにリアデンとスレイドを囮にしたのだ。ところが自分が狙われてしまったのである。
マルタに到着したスミス夫人はウィーラー卿のパーティーに出席するが、ウィーラー卿に睡眠薬を盛られ捕まってしまう。
リアデンはスレイド発見を警視総監に報告する。警官隊がアルティナ号に乗り込む。ウィーラー卿の様子から、スレイドとスミス夫人がすでに船内にいないと直感したリアデンは海中に飛び込んで逃げる。
ウィーラー卿がボートで出発するのを見たリアデンはアルティナ号に侵入、船員を脅して行き先の教会に案内させる。
教会にはスミス夫人を人質にしたウィーラー卿が待ち構えていた。マッキントッシュが遺書として首相宛の告発文書を残していたことを知ったウィーラー卿は、スレイドと共に国外へ脱出する計画をたてたのだ。マッキントッシュはすでに息を引き取っていた。
スレイドは末端の者どうし殺しあっても何も変わらないと言い、お互いに立ち去ろうと提案する。
リアデンは取引に応じ二人を見逃そうとするが、銃を取ったスミス夫人が二人を射殺した。彼女は二人が殺しあったことを偽装すると、リアデンを残し一人去っていくのだった。
派手さはないが、アクション・シーンはきびきびしてテンポが良い。
前半は主人公の目的が明かされずミステリアスな雰囲気を盛り上げているし、モーリス・ジャールの音楽も印象的。
残念なのは主人公のキャラクターに個性が欠けること。雇われ捜査官という役割以上にドラマに係わってこないので、どうも感情移入しにくい。
そのためなのかクライマックスでは、それまでクールだったスミス夫人が父を殺された怒りを爆発させる展開になり、ポール・ニューマンの見せ場がないまま終わってしまっている。
マッキントッシュの男