原題 ; CHARLY VARRICK(1973) |
監督 ; ドン・シーゲル |
脚本 ; ハワード・ロッドマン、ディーン・ライズナー |
音楽 ; ラロ・シフリン |
出演 ; ウォルター・マッソー、アンディ・ロビンソン、ジョー・ドン・ベイカー |
「ダーティーハリー」などハード・アクションを得意とするドン・シーゲル監督が、ウォルター・マッソーを始めとする個性派俳優で描いた犯罪アクション。 小品ではあるが切れ味の良い演出で小気味良い作品に仕上がっている。 ポニーに鞍をつけようとする少年、ボール遊びする少女、芝刈りの女性、片田舎の朝の牧歌的風景から映画は始まる。ラロ・シフリンの軽いタッチのジャズ曲が効果をあげる。のどかな描写から銀行強盗の犯罪シーンに移行していく演出がうまい。 その町の小さな銀行に車を乗りつけるチャーリー・ヴァリック(ウォルター・マッソー)と妻ネイディーン、ヴァリックは初老の片足を怪我した男を装っている。 通りかかった警官は盗難車の疑いを持ち、ヴァリックの車のナンバーを照会する。 銀行内ではヴァリックが銃を抜き、仮面をした二人の仲間と共に強盗を開始。 一方、警察はナンバーが盗難車のもであることを突き止めていた。 免許証提示を求められたネイディーンは二人の警官を撃つ、銀行内でも銃撃戦となり仲間の一人は撃たれた。 残った仲間と共に車に飛び乗るヴァリック。ネイディーンは車を暴走させてパトカーを振り切る。 逃げ切ったところでネイディーンが力尽きる。彼女も警官の銃弾を受けていた。 生き残った相棒はヴェトナム帰りのハーマン(アンディ・ロビンソン)。 ヴァリックは、ネイディーンの遺体を車ごと爆破する。 ヴァリックは曲芸飛行のパイロットだったが、事故で死に損なって空からの農薬散布に転業。その事業にも失敗して銀行強盗を始めたのだった。 現金袋を調べた二人は高額紙幣ばかりでビックリ。ざっと70万ドル以上ある。 大喜びのハーマンをよそに、ヴァリックは銀行の規模と不釣合いな額に不審を感じる。ニュースでは銀行が被害額を2千ドル以下と発表したと報道していた。 ヴァリックはマフィアが洗浄する隠し金と直感し、数年間使わないことにする。 75万ドルを奪われた組織は殺し屋モリー(ジョー・ドン・ベイカー)を派遣した。 ニュースで歯の治療記録からネイディーンの身元を捜そうとしていることを知ったヴァリックは診療所に忍び込み、カルテやレントゲン写真を盗み出す。 飛行機でメキシコに高飛びすることにしたヴァリックは、飛行機を改造する部品と偽パスポートを入手しに行く。彼は銃砲店で紹介された女写真家エヴェレット(シェリー・ノース)にパスポートを注文する。 銃砲店主は組織に通報。情報を入手したモリーは、エヴェレットからヴェリックの住所を聞き出す。彼は留守番中のハーマンを襲う。 隠し金の事を知っていたのは頭取のボイル(ジョン・ヴァーノン)と支店長のヤングだけだった。小心なヤングは追求を恐れて自殺してしまう。 ハーマンを殺したモリーは、エヴェレットの元でパスポートを取りにくるヴァリックを待つ。 ようやく警察もヴァリックを割り出し家を包囲するが、すでにもぬけの空。 レノに飛んだヴァリックは、ボイルの秘書に会い彼と連絡をつける。報復なしという確約が取れれば金を返すという提案をした。 取引場所は廃車置き場脇の滑走路。ボイルが赴くとヴァリックが複葉機で現れた。空中からモリーが潜んでいることを見て取ったヴァリックは、ボイルと共犯であるかのような芝居を打つ。 騙されたモリーは車でボイルを撥ね飛ばす。複葉機で逃げようとするヴァリックをモリーが車で執拗に追う。次々と方向を変えるため、なかなか離陸できない。ついに複葉機は転覆してしまう。 逆さになった複葉機のコックピットからぶら下がるヴァリック。彼はモリーに取引を申し出て、近くに置かれた廃車のキーを渡す。 トランクの中身はハーマンの死体と爆弾だった。吹き飛ぶモリー。 ヴァリックは燃えさかる炎に札の一部を撒いて金が燃えてしまったように偽装し、車で去っていくのだった。 久々にクールな犯罪者に扮したウォルター・マッソーは二枚目でないところが、ひなびた味わいを出している。 ジョー・ドン・ベイカーは「ウォーキング・トール」をヒットさせる直前。野性的な殺し屋を印象的に演じている。 「ダーティーハリー」の殺人犯役で強烈な個性を見せたアンディ・ロビンソンは、見せ場がなくて不発。 |