原題 ; VICE SQUAD(1982)
 監督 ; ゲイリー・A・シャーマン
 脚本 ; サンディ・ハワード、ケネス・ピータース、ロバート・ヴィンセント・オニール
 音楽 ; ルイス・メレンシュタイン
 出演 ; シーズン・ヒューブリー、ゲイリー・スワンソン、ウィングス・ハウザー
女を殺した凶暴なヒモを追う風俗取締班刑事と、彼に協力したため犯人に狙われる売春婦の活躍を描いたポリス・アクションなのだが、犯人役のウィングス・ハウザーが圧倒的な印象を残したため、この邦題がついた。決してホラー映画ではない。
テンポもなかなか良く、メリハリのある演出で楽しめる。
残念なのは、せっかく見事な悪役を得たのに、対する刑事役のゲイリー・スワンソンが線の細い俳優で迫力に欠けること。
ヒロインのシーズン・ヒューブリーも少々魅力に欠ける。
子持ちの売春婦プリンセス(シーズン・ヒューブリー)は友人の売春婦ジンジャーから「ラムロッド(すけこまし)」と呼ばれる乱暴なヒモ(ウィングス・ハウザー)から逃れようとしていると連絡を受ける。
ジンジャーの居場所を突き止めたラムロッドは、激昂してリンチにかける。
風俗取締班の刑事トム・ウォルシュ(ゲイリー・スワンソン)は、新米の黒人刑事とともに売春婦を取り締まっていた。
ジンジャーは重態で発見された。顔見知りのトムが見舞うが、彼女は目の前で息を引き取った。
トムはラムロッドの逮捕を誓い、プリンセスに協力を求める。ラムロッドの恐ろしさを知るプリンセスは一旦断わるが、トムはジンジャーの無残な死に顔を見せつけて説得する。
ラムロッドに接近するプリンセス。二人はホテルに行くが、トムを始めとする取締班が見張っていた。
踏み込む刑事たち。殺人容疑と知ったラムロッドは暴れだすが、何とか取り押さえた。
だが、ラムロッドは護送中のパトカーから逃亡してしまう。
ラムロッドはプリンセスに復讐しようとするに違いなかった。警察は二人の捜索を開始する。
手錠を外し銃を入手したラムロッドは、プリンセスの前のヒモ、ドーシーの住所を突き止める。ドーシーのタマを切ってプリンセスの宿泊場所を聞き出すラムロッド。
トムもラムロッドの痕跡を追うが後手に回ってばかり。
プリンセスの仲間ココに重傷を負わせて居場所を聞きだしたラムロッドは、運転手を殺して奪ったトラックで移動、ついにプリンセスの姿を見つける。
プリンセスに危機を知らせようと飛び出した仲間を跳ね、ラムロッドはプリンセスを連れ去る。
事件を知ったトムはトラックを発見、数台の警察車で追跡する。
古いビルに連れ込まれたプリンセスは隙を突いて逆襲、一旦は逃げ出すが再び捕まってしまう。
ビルを取り囲む刑事たち。
プリンセスをベッドに縛り付けるラムロッド。
警察が踏み込むがラムロッドは窓を破って逃走した。
逃げるラムロッドをトムは単身追跡、倉庫へと追い詰めた。銃を向けるラムロッドを跳ね、壁に車で押し付ける。
銃を拾ってなおも反撃しようとするラムロッドを、トムは射殺した。
映画の途中でプリンセスが拾う客はしょーもない変質者ばかり。このあたりの風俗描写も本作の一つのアクセントだが、ヒロインにはお気の毒。あまりにもやる気のないお仕事振りに怒った客が、腹いせにプリンセスから金を巻き上げる場面もあったりする。体つきも貧弱だし、向いてないのかもしれない。
余談その一=ウィングス・ハウザーは、エンド・クレジットのバックで、しゃがれたヴォーカルを披露している。B級アクションではあるが監督作も数本あり、なかなか多才な人ではあるが、本作以上に話題となった作品はない。「映画秘宝」にはリンダ・ブレアのボーイフレンドとの記述があるが、この辺の事は良く分からない。
余談その二=シーズン・ヒューブリーは、無名時代に日本のコマーシャルに出演、ボンジュール・オメメサンなどとやっていた。カート・ラッセルといきなり結婚。短期間で出産、離婚して話題を呼んだりもした。代表作は映画デビュー作「ロリ・マドンナ戦争」「ハードコアの夜」といずれも初期作品だが見逃している。本作以降は作品に恵まれず鳴かず飛ばずの状態が続き、このところは出演作も途絶えている。
ザ・モンスター