原題 ; ZERO POPULATION GROWTH(1971) |
監督 ; マイケル・キャンバス |
脚本 ; マックス・エーリッヒ、フランク・デ・フェリッタ |
音楽 ; ジョナサン・ホッジ |
出演 ; オリヴァー・リード、ジェラルディン・チャップリン、ドン・ゴードン |
人口の増加で破綻をきたし、全面的な出産制限が行われている近未来を舞台にしたSFドラマ。ビデオには「SFロボット・ベイビー・ポリス」という、なんともピンとこないサブタイトルがつけられている。 環境破壊で表を歩くにはガスマスクが必要な近未来。 連邦会議は人口増加問題への対策として、全世界に妊娠出産の禁止を通達した。違反した者は死刑となる。 そのため子供型ロボットを販売するベビーランドは大繁盛となった。 ラス・マクニール(オリヴァー・リード)とキャロル(ジェラルディン・チャップリン)の夫婦は、ベビーランドの列に並んだものの購入せずに帰る。 レストランの食事はみな固形剤になっている。街では小柄な子供が出産禁止以後の生まれではないか、取調べを受けることもあった。 マクニール夫妻の仕事は、博物館で過去の家庭生活を再現した演技を見せることだった。今は1971年回顧展が開催されている。 犬猫やウサギなどのペットも絶滅したらしく、剥製が飾られている。 キャロルは、彼女を取り上げた産科医の隠居場を訪れる。彼はうつ病にかかっており、癌も心臓病も克服したのに生きる喜びもなく長生きするだけの世界を嘆いていた。 ひそかに子供を作った夫婦が発覚すると公開処刑が執行され、密告者には食糧券が渡される。 自分の子供がほしいという強い思いを持つようになったキャロル。彼女はセックス後の避妊処理を行わなかった。 一方、夫妻の友人エドナ(ダイアン・シレント)は、機械仕掛けの子供では満足できなくなっていた。 ラスが手に入れた生の野菜を老人が盗んだ。野菜を取り合って醜い争いが繰りひろげられる。 クリスマスツリーも模造品が通信販売されている。ラスは本物の木を入手する。命がけで、なんてセリフがあるが、実際どうやって手に入れたかは不明。野菜といい、どこかに闇ルートでも持っているのだろうか。 キャロルは妊娠したが、出産は入院せずに行わなければならない。ラスは、キャロルとは別居したと偽り、彼女を地下室に隠すことにする。 キャロルの出産まで1ヶ月を切った。うっかりテレビ通話のスイッチを入れてしまってオペレーターが出てしまい、慌ててごまかす一幕もある。 ラスは図書館で早産に関するフィルムを閲覧したため訊問を受けてしまうが、ここもなんとかごまかした。 やがてキャロルは無事出産しジェシーと名づけた。ラスはカモフラージュのため赤ちゃんロボットを購入する。 赤ん坊が病気になり、キャロルは隠居した産科医のところに連れて行く。何も問題はなかった。 エドナに子供を生んだことを気づかれてしまう。彼女は秘密を守ると約束するが、夫のジョージとともに自分たちも共同で育てたいと言い出す。 キャロルは反対するが、口封じのためにも断るわけにはいかなかった。 だが、赤ん坊をめぐるニ夫婦の確執は次第に強くなっていく。エドナとジョージが子供を独占する時間が増えてきたのだ。 エドナは赤ん坊を連れ帰るようになってしまった。 ラスとキャロルは、公開処刑場の真下に地下道を掘って準備する。 ついにジョージは通報されたくなければ赤ん坊を渡せと言い出す。ラスは拒絶した。 ショックのあまりエドナはロボットを破壊する。壊れたロボットから、まるで血のように黒いオイルが流れ出す。 エドナとジョージは半狂乱で「赤ん坊がいる!殺せ!」と騒ぎまわる。住民が集まり、警官が踏み込んできた。 ラスとキャロルはジェシーとともに公開処刑の広場へと連れて行かれる。密閉されたドームに閉じ込められ、12時間の間に酸素がなくなっていくという処刑法だった。 公開処刑と言いながら、見えないよう透明ドームにペンキを塗ったりする。 とにかくラスは地面を掘り始める。地下へと逃れた三人。用意したゴムボートで地下水道を進んでいく。 廃棄物の積まれた中を漕ぎ進み、地下水道を抜ける。海原に出るボート。やがて彼らは自然にあふれた島に上陸した。 だが、そこには核廃棄物が積まれ、放射能汚染で立ち入り禁止の看板が掛けられていたのだった。 クライマックスの展開が、やや弱く、いとも簡単に処刑場からの抜け道を掘ってしまったり、逃げ出したのが見つからないように(公開処刑のはずなのに)処刑用ドームをペンキで塗りつぶしたりと強引な部分が目立つ。 ドラマ自体は性格俳優のオリヴァー・リードとジェラルディン・チャップリンの確かな演技力に支えられ、派手さはないが、なかなか見応えのある出来栄えになっている。 ラストのオチがダークなのは、ヴェトナム戦争の影響色濃いニューシネマ時代ゆえなのだろうか。「猿の惑星」(1968)のラストも、この時代を考えると妙に納得できるし。 |