原題 ; CAPTAIN AMERICA(1991) |
監督 ; アルバート・ピュン |
脚本 ; スティーヴン・トールキン |
音楽 ; バリー・ゴールドバーグ |
出演 ; マット・サリンジャー、ロニー・コックス、スコット・ポーリン、ネッド・ビーティ |
1989年の「バットマン」ヒットを受けて、ワーナーが次なるヒーロー物開拓を狙って企画したのではないかと思うのだが、脱力系監督アルバート・ピュンを採用してしまったため、ドツボにはまってしまった作品。 1936年イタリア、ナチスは一人の少年を誘拐し、その家族を惨殺した。超人化計画の実験台にするためである。 子供で実験すると聞かされていなかったテレサ・ヴァセリ博士は、要塞から脱走。なぜかナチは一回発砲するだけで博士を追跡しない。 おかげで無事アメリカに亡命した博士は7年後、ドイツの改造人間レッド・スカル打倒のためキャプテン・アメリカ計画を立ち上げ、第一号としてスティーヴ・ロジャーズ(マット・サリンジャー)が選ばれた。 スティーヴは、家族や恋人バーニー(キム・ギリンガム)に別れを告げ研究所へ旅立つ。 改造は成功し彼は超人キャプテン・アメリカとなるが、ヴァセリ博士がスパイに暗殺されたため、計画は一人で中止となる。この博士、どういうわけかドイツでもアメリカでも研究記録は作っていなかったのだ。 この事件で負傷したスティーヴだが、ドイツがワシントンをミサイル攻撃する計画を知って立ち上がった。 マスクのヒーロー、キャプテン・アメリカとしてドイツに飛ぶスティーヴ。彼の武器は円形の盾。ブーメランのように投げても戻ってくる。 敵基地に殴りこんだキャプテン・アメリカだが、レッド・スカルが仕込んだ睡眠薬の針で眠らされてしまう。 レッド・スカルは、なんとホワイトハウスに撃ち込む大陸間弾道ミサイルの表面にキャプテン・アメリカを鎖でくくりつけて始末しようとする。ギャグ・アニメでも近頃お目にかかれない方法である。 発射寸前、キャプテン・アメリカが、道連れにしてやるとレッド・スカルの左手を掴んだため、レッド・スカルは自分の手を切り落とす。なぜキャプテンの手を切らなかったかは不明。だいたい高熱を発するミサイル噴射の周辺に人がいるだけでも非科学的。 キャプテン・アメリカは、ホワイトハウス直前でミサイルの尾翼を蹴り、軌道を変えてアメリカを危機から救う。ミサイルはアラスカに落下。なぜか不発弾でキャプテンはそのまま遭難。 彼の英雄的行為を偶然目撃したトム・キンボール少年は感動して後に合衆国大統領(ロニー・コックス)となる。 キンボール大統領は、ブッシュ大統領とはえらい違いで環境問題と正面から取り組む。やはりキャプテン・アメリカ計画に関わっていたフレミング(ダーレン・マクギャヴィン)は将軍となり、予算問題で大統領と対立する。 フレミングや産業界の経営者からなる秘密結社は、レッド・スカルとともに大統領に脳移植手術を施して組織の言いなりにする計画をたてていた。 一方、アラスカでは探検隊によって氷漬けのキャプテン・アメリカが発掘されていた。氷中から甦ったキャプテンは、細かい事情の分からないまま故郷の町を目指す。 報道写真を見た大統領は、彼がミサイルのヒーローと気づき、幼なじみのサム(ネッド・ビーティー)に喜びを伝える。 同様に気づいたレッド・スカルも娘のヴァレンティーナ(フランチェスカ・ネリ)を刺客として送り出す。彼女に襲われたキャプテンをサムが助ける。 サムは大統領に頼まれケネディ兄弟やキング牧師暗殺の黒幕であるレッド・スカルを追っていた。 サムの車を奪って(なぜか車に酔ったふりをして油断させ車を奪うのが、キャプテン・アメリカことスティーブの得意技)故郷に戻ったキャプテン。バーニーと再会、と思ったらそれはバーニーの娘シャロン(キム・ギリンガム二役)。すっかり歳をとった本物のバーニーとも再会する。 サムはバーニーを訪ねるが、そこをヴァレンティーナが襲撃。サムとバーニーは死に、彼女の夫ジャックも重傷を負った。 キンボール大統領誘拐事件が発生。キャプテンとシャロンは戦時中の資料を探し出そうとするなぜか実験室はカフェの地下にあったという。しかもそのカフェは現在も営業していた。 カフェの壁を壊して廃棄された地下研究所へ入る2人。そこでヴァセリ博士の日記を見つける。博士は研究記録は残さなかったが、日記は几帳面につけていた。 そこにヴァレンティーナ一味の襲撃。ピュン監督得意の暗くて良く分からない場面が展開する。とにかく敵をぶちのめして日記を守った。 日記を読んだ2人はレッド・スカルの素性を探るためイタリアに飛ぶ。 ここでキャプテンはシャロンを危険な目に遭わせまいと、酔ったふりをして車を奪う。しかし、次の場面では追い付かれてしまう。 そこで2人はレッド・スカルが普通の少年だった頃のピアノ演奏テープを見つける。そのテープの後半にはナチが少年誘拐のために乗り込み、両親を射殺する模様が録音されていた。 またしてもヴァレンティーナたちの襲撃を受けるが、なんと彼女は本人名義の運転免許証が入ったバッグを落としていく。 免許証でヴァレンティーナとレッド・スカルの本拠地住所を知ったキャプテンは、そのサン・ロレンゾ島へ向かう。 追跡されていると知ったシャロンは自分が囮となって捕まるが、客観的に見ると全く無意味な行為に思える。 単身レッド・スカルのアジトに向かうキャプテン。その頃、大統領も鉄格子を蹴破って牢を脱出していた。地中海あたりの古城だが、無用心で情けなくもなる。 レッド・スカルに屋上まで追いつめられた大統領は城から飛び降りる。偶然城壁を這い上がっていたキャプテンが運良く助けた。 大統領とともにシャロン救出のため突入するキャプテン。大統領はフレミングをぶちのめす。 シャロンを人質にとるレッド・スカル。シャロンは隙を突いて逃げ出す。レッド・スカルを追いつめるキャプテン。城の屋上に登ったレッド・スカルは核爆弾で自爆を図る。南ヨーロッパ全域を死の土地に変えるほどの威力だとか。 キャプテンがピアノ演奏と襲撃のテープを再生する。甦る記憶に苦悩するレッド・スカル。その隙を突いて盾を投げつけるキャプテン。レッド・スカルは断崖を落下していった。 怒って機関銃を構えるヴァレンティーナ。ニヤリと笑うキャプテン。背後から戻ってきた盾の直撃を受けてヴァレンティーナもお陀仏。 マカロニ・ウェスタンなみの意外な逆転を狙ったのだろうが、ハズしている。やることがセコくてヒーローがヒーローに見えないのもピュン監督作品の特徴。 せっかくスティーヴン・セガールを起用した「沈黙のテロリスト」では、セガールは爆弾を解体するだけで、トム・サイズモアが犯人のおばさんを張り倒すのがクライマックスだった。 とにかく抱き合うキャプテンとシャロン。環境保護条約は無事締結されたのだった。 100分弱のランニング・タイムで戦時中と現在を描いているので、ピュン作品中ではテンポのいいほうだが、突っ込みどころの多さもトップ・クラス。ストーリー原案にマット・スカダー・シリーズのローレンス・ブロックが参加しているのが不思議に思えたのだが、どうやら同姓同名の別人らしい。 フレミング将軍役のダーレン・マクギャビンは先日訃報が載った(2006年2月25日没)。老衰というから仕方ないが残念。映画ではそれほど大きな役はしなかったが、テレビでは「探偵マイク・ハマー」「事件記者コルチャック」「アウトサイダー」などで活躍、「ミレミアム」ではランス・ヘンリクセンの父親役でゲスト出演していた。 ヴァレンティーナ役のフランチェスカ・ネリはイタリア映画界を中心に活動、「コラテラル・ダメージ」でも悪役を熱演していた。「ハンニバル」にも出演。 |
キャプテン・アメリカ/帝国の野望