原題 ; DUSTING CLIFF 7(1996)
 監督 ; ウィリアム・H・モリーナ
 脚本 ; ウィリアム・H・モリーナ、ジム・メンザ、チャールズ・フィリップ・ムーア、
       ジャスティン・J・スタンレー
 音楽 ; デヴィッド & エリック・ワースト
 出演 ; ナンシー・アレン、ランス・ヘンリクセン、ディーン・スコフィールド
この手の軍事アクションって、ゲイリー・ダニエルズとかマーク・ダカスコスとかの主演で山ほど作られているようだが、興行成績トップテンの入っているのは見たことがない。
日本でも滅多に劇場公開されることはなく、ビデオ発売がやっと。(本作は劇場公開されている。出来栄えを考えると、これもまた謎)
日本におけるVシネマのチンピラ物みたいな位置づけなのだろうか。
ホテルの一室が殺し屋に襲撃され、男は死に女アンナ・ビショップ(ナンシー・アレン)は脱出した。
アンナが自宅に電話すると、母親は殺され娘キャリーはマクブライド大佐(ランス・ヘンリクセン)に誘拐されていた。
アンナは軍の特殊工作員だった。マクブライドはアンナにホテルで奪った極秘機密イカロス・ファイルを渡すよう要求する。
このあたりの冒頭の展開は、説明不足で設定が理解できず消化不良を起こしている。
マクブライドの指令でアンナは機密を奪ったが、彼女が足を洗おうとしていることをマクブライドが気づいた、ということらしいのだが、はっきりとは分からない。
アンナは殺し屋の追撃をかわし、セスナ機のパイロット、ミッチ(ディーン・スコフィールド)を脅して書類の受け渡し場所クリフ・セブンに向かわせる。
クリフ・セブンは立ち入り禁止の軍施設、ミッチの父親は昔ここで殺されていた。
アンナは単身マクブライド率いる傭兵軍団に戦いを挑む気だったが、ミッチと近くに住むインディアン、ボブとルイスの親子も加わった。
アンナは転倒したはずみで地下室を発見、クリフ・セブンはサリンを始めとする化学兵器と大陸弾道弾を含む核弾頭の貯蔵庫だった。
それほどヤバイ軍事拠点が何故無人?遠隔地にレーダによる監視所があるが、そこも2,3人しかいない。
マクブライドはワシントンを爆撃してアメリカを目覚めさせるという意味不明の妄想に取り付かれていた。
マクブライドの先遣隊が攻撃を開始、アンナたちはこれを殲滅するが地下には神経ガスが漏出してしまう。
ようやくマクブライドの本隊が到着、マクブライドはアンナと取引をして娘を返す。
だが、アンナはファイルを渡さない。
緊張感のない銃撃戦が開始され、マクブライド一味は次々に倒されていく。
ミッチは負傷し、キャリーは崩れた坑道を落ちてしまう。地下は神経ガスが充満しているという設定なのだが誰も気にしない。
アンナはキャリーを見つけるが、先回りしたマクブライドがキャリーに銃を突きつけた。
イカロス・ファイルを奪いアンナを殺そうとするマクブライド。アンナはマクブライドが駆けつけたミッチを撃った隙を突いて発砲、マクブライドを倒した。
アンナの仕掛けた時限爆弾でクリフ・セブンは崩壊。この場面も、すでに基地が爆発しているのに主人公たちがエレベーターでゆっくり脱出してたりしてぜんぜん迫力なし。
最後にアンナたちは軍に救出される。軍の施設に無断侵入して兵器ごと破壊したのに、お咎めなしのハッピーエンドというのは納得できない。しかもサリンと核兵器なのに誰も防護服着てないし。
焦点となるイカロス・ファイルの重要性が描かれないので、無駄なことをしているように思えてくる。要するに無人の施設に乗り込んで武器だけ奪えばよかったんじゃないかって。
ランス・ヘンリクセン演じる悪役がなぜか正直者で迫力がない。ナンシー・アレンの言うとおり人質を解放して裏切られる場面が2回も登場。
主人公たちが先回りしていることを承知で、犯人一味がのんびり乗り込んで簡単に壊滅するのもお寒い。
ビデオ・タイトルもいい加減で人質奪還指令なんて誰も発していない。
余談=ナンシー・アレンは「殺しのドレス」が良かったが、デ・パルマ監督と離婚後の出演作は「ロボコップ」シリーズ以外ほとんどB級作品ばかり。個性派のランス・ヘンリクセンも出演はB級作中心で、「狼たちの午後」「ネットワーク」「未知との遭遇」と無名の端役時代のほうが一流作品が並ぶ気がする。
クリフ・セブン人質奪還指令