原題 ; CODE NAME:DANCER(1987) |
監督 ; バズ・キューリック |
脚本 ; カーラ・ジーン・ワグナー |
音楽 ; ジョルジュ・ドゥルリュー |
出演 ; ケイト・キャプショー、ジェローン・クラッベ、クリフ・デ・ヤング |
キューバを舞台に諜報戦を描いたテレフューチャー。 「HER SECRET LIFE」「ONE FOR THE DANCER」の別題がある。 足を洗っていた元CIA工作員が、再び陰謀に巻き込まれるエスピオナージュ物だが、テレビ用ということで予算がなかったのか、見せ場に欠ける作品になってしまった。 登場人物も中途半端で悪役不在。冗漫な展開に終始する。 監督がテレビ畑中心に活動し、劇映画にも「ハンター」「シェイマス」といったアクション映画の佳作を持つバズ・キューリックだけに期待したのだが、残念な出来栄えだった。 教師のアン(ケイト・キャプショー)は共稼ぎで暮らす平凡な主婦。ある日「ダンサーが閉じ込められた。カギを持ってきてくれ」とメッセージが入る。 怪我をした妹ベッキーの看病に行くと夫ポール(クリフ・デ・ヤング)に偽って行動を開始するアン。彼女は元CIAのエージェント。かってはキューバで秘密工作に当たっていた。 ダンサーことヴィック(グレゴリー・シエラ)は、キューバでの命の恩人だった。暗号は、そのヴィックが逮捕され救助を求めていることを意味していた。 現役当時アンはカストロ首相の側近マラリン司令官(ジェローン・クラッベ)に色仕掛けで接近したが、彼を本当に愛し始めてしまったのだ。 マイアミで情報収集したアンは、船でキューバ沖に近づき、泳いでキューバに潜入する。 アンはマラリンを訪れヴィック解放の協力を求めるが、ヴィックはキューバから出国しており、逮捕はされていないという。アンとマラリンは、かってのように愛し合う。 すべてはマラリンを陥れるための罠だった。彼は米国スパイと接触した容疑で逮捕されてしまう。 アンは労働者にまぎれて町を脱出、サトウキビを刈る。 町に戻ったアンは、かっての仲間を探し出し尾行し、ヴィックを発見する。彼はロシア人と組んでいた。 ヴィックの寝込みを襲うアン。今回の陰謀は、反ソ連の立場を取るマラリンを排除するためのものだった。 アンはマラリン奪還計画をたてる。 一方、ポールはベッキーの仮病に気づき、アンが諜報部員と知る。彼はアンの元に向かおうとするが、ベッキーとともにCIAに拘束された。 アンは、マラリンの収容された病室に看護婦に変装して潜入、救出に成功する。 用意した車のトランクにはヴィックの死体があった。 アンとマラリンは漁船を奪って国外へと脱出。 フロリダの近くでアンを救命ボートに乗せ、マラリンはメキシコを目指して去っていった。 やがて救助されたアン。ホテルにはポールとベッキーが待っていた。アンはポールの元に戻る気はなかった。 ポールは「君は最高の女性だった」と言い残して去っていく。 再び諜報活動に戻ったアンの心境は複雑だった。 誰が敵なのかはっきりわからないのだが、そのことが緊張感を生まず、みんな馴れ合っているように見えてしまったりする。 ジョルジュ・ドゥルリューの音楽は、時おり彼らしい美しいメロディーを奏でるが、よほど小編成のオーケストラで録音したのか、全体的に薄っぺらい演奏という気がした。 余談=ケイト・キャプショーは、スティーヴン・スピルバーグ夫人として知られる。女優としては「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」ブラック・レイン」が代表作だが、どちらも男優中心の作品で決定打に欠ける印象がある。 |