原題 ; CTHUILHU MANSION(1990)
 監督 ; J.P.サイモン
 脚本 ; J.P.サイモン
 音楽 ; ティム・ソウスター
 出演 ; フランク・フィンレイ、マルシア・レイトン、ブラッド・フィッシャー、メラニー・シャトナー
H.P.ラヴクラフト作品にインスパイアしたとうたっているのが名ばかりの三流ホラー。おそらく「死霊のしたたり」のヒットにあやかろうとしたのだろう。
霊能者チャンドゥ(フランク・フィンレイ)によって怪しげな超能力ショーが行われていた。
台の上に横たえられたチャンドゥの妻レオノーラが宙に浮かびあがっていく。だが、ショーは失敗、彼女は燃え上がってしまう。
カーニバルの夜、ホークは売人を殺してヤクを奪う。
チャンドゥは、そのカーニバルでレオノーラと瓜二つな娘のリサをアシスタントにショーを行っている。
ホークは仲間のエヴァ、エヴァの弟クリス、キャンディ、ビリーと合流するが、警官に見つかり仲間のクリスが撃たれてしまう。
ホーク一味は、ショーを終えて帰ろうとしていたチャンドゥ、リサと口のきけない助手のフェリックスを襲う。彼らは車を乗っ取ってチャンドゥの家に向かう。
チャンドゥは、クリスを治療して車と金を渡すから出て行ってくれと頼む。
地下室に行ったビリーは、この家に何かが潜んでいることに気づく。
ホークは金庫を開ける。中に入っていたのはクトゥルー関連の書物だった。
逃げようとしたフェリックスはホークに殺されてしまう。同時に書斎に飾られたレオノーラの写真が燃え上がった。
エヴァがレオノーラのドレスを着てオルゴールを鳴らす。様子のおかしくなった彼女は、ナイフでホークに襲いかかる。オルゴールが閉じると元に戻った。
チャンドゥの前にレオノーラの亡霊が現われ、チャンドゥが扉を開けたため邪悪な物がやってくると告げる。
キャンディがキッチンに行くと冷蔵庫から怪物が現われ、彼女を引きずりこんでしまう。
ビリーはシャワー室に閉じ込められ、血のシャワーで溺れ死ぬ。
ヤクを横取りしようと黒人の売人が乗り込んできた。エヴァが売人を射殺。しかし彼女は引き金を引いてないと主張する。
麻薬の袋がひとりでに動き出し、暖炉で燃えてしまう。
ビリーたちがヤクを盗んだとカン違いしたホークが取り戻そうと出て行くが、途中でビリーたちの亡霊に脅かされ逃げ戻った。
クリスの顔がただれ始める。チャンドゥは、もうクリスは別の存在になってしまったと説明するが、エヴァは聞き入れない。
ホークが戻り、リサにブツの場所を吐けと迫る。
その時、ビリーとキャンディからヤクが売れたと電話が入る。電話線が切れているのだが、ホークは気づかない。
椅子で寝込んでいたエヴァは、窓から侵入したツタに連れ去られてしまう。
ようやく異変に気づいたホークは家から脱出しようとするが出られない。
クリス、フェリックス、売人の死体が次々と起き上がった。
かってチャンドゥは魔術の限界を超えようとして悪とつながりを持ち、妻レオノーラを死なせてしまった。そして妻を愛するあまり悪を解き放ってしまったことを、リサに告白する。
死体に追われたホークがキッチンに逃げ込むと何本もの包丁が飛んできて彼を突き刺した。
モンスター化したクリスがリサを地下室の祭壇に横たえる。駆けつけたチャンドゥは十字架と呪文でクリスに入り込んだ悪霊を自分に乗り移らせる。
リサは元に戻ったクリスと脱出。チャンドゥは地中へと消えていった。
リサとクリスが逃げ出すと同時に、チャンドゥの屋敷は爆発したのだった。
Imdbによるとスペイン映画らしいのだが、ビデオは英語版だった。
クトゥルー物ならば魔導書は「ネクロノミカン」とするはずなのに「クトゥルー」としているところもうさんくさい。制作者は、ラヴクラフトの小説など読んでいないのではないだろうか。
まだしも「ヘルダミアン」のほうがラヴクラフトに対するオマージュを感じることができた。
作品自体が凡庸で盛り上がりに欠けている。
個々のキャラクターが、きちんと描かれていないので、誰が死んで誰が生き残っても構わないという気になってしまう。後半でチャンドゥの所業を、もう少し明確にしたほうがドラマに締まりが出たのではまいかと思う。
新・悪魔の儀式