原題 ; DEMON OF PARADISE(1986)
 監督 ; シリオ・H・サンチャゴ
 脚本 ; フレデリック・ベイリー
 音楽 ; エドワード・アカコーソ
 出演 ; キャサリン・ウィット、ウィリアム・スティーツ、ローラ・バンクス
このタイトルでビデオ・パッケージのコピーが「みなさんのとかげです」。にもかかわらず非コメディー作品で普通の超低予算モンスター映画。ビデオ会社も、よっぽど売りあぐねたと思える。
舞台はハワイ島のキホノ。密猟者たちがダイナマイトを使った違法な猟をしていると、水中の怪物が船を揺さぶる。手がすべって船内にダイナマイトが落ち、ボートは爆発。ボートでやってきた保安官のキーファー(ウィリアム・スティーツ)は「誤爆だ」の一言で片付け、遺体を捜そうともせずに立ち去る。
現地には河の怪物アクラの伝説があり、不漁が続くのはアクラの仕業だと信じる猟師もいた。
生物学者のアニー(キャサリン・ウィット)は、アクラが新種の爬虫類ではないかと考えて調査している。
アクラを鎮める儀式も空しく、さらに漁師が犠牲となった。
地元で経営不振のホテルを営むケイヒル(ローラ・バンクス)は、フリーの記者アイクをまるめこみ、怪物をキャンペーン材料にしようと目論む。
アニーは、2億年前の肉食人の生き残りだとか、テキトーな学説を唱える。彼女は証拠を得るために上流の湖にキャンプすることにした。
今度は地元のチンピラが怪物を目撃。慌ててランプをひっくり返したため、ダイナマイトが爆発して吹っ飛ぶ。調査に来たキーファーはまたも「誤爆だ」で片付ける。
一方、アクラ・キャンペーンは大成功。ホテルは客であふれた。
その夜、ボートで女性客といちゃついていたアイクが襲われて死ぬ。キーファーとアニーはケイヒルに警告するが、彼女は聞き入れない。キーファーも怪物とは思えず、殺人鬼がいると考えている。
ケイヒルは、アクラ宝探しゲームを開催、観光客は大いに盛り上がる。
盗品のダイナマイト取引が行われ、キーファーたちが踏み込む。手際が悪くて観光客が犠牲になる。人質を取って逃げる犯人に平気で発砲したりして、かなり好い加減。
犯人と人質が怪物に襲われ、キーファーもこれを目撃。ようやく怪物の存在を信じた彼は、ホテルを閉鎖して州兵の出動を要請する。
とりあえず保安官だけで捜索するが、二人が河に引きずり込まれ、船もひっくり返されてしまう。キーファーはアンに救助された。
ついに州兵による攻撃が開始される。ヘリから河に爆弾をランダムに投下するが、範囲が広すぎて効果なし。ヘリが怪物を発見して近づくが、降下しすぎて飛びつかれ墜落。トホホ。
しかも軍は怪物がヘリとともに爆発したと勝手に判断して撤兵準備を始める。早く帰って一杯やりたいだけに見える。
そこを怪物が襲撃。銃撃も平気な怪物にキーファーたちはホテルの二階へと逃げ込む。怪物は床を破ってケイヒルを階下に引きずり込んだ。
兵士たちは、大慌てで屋外の階段を駆け降りていく。ケイヒル救出を試みるかと思いきや、そのまま一目散に逃げていく。それでも軍人か。
光に弱い怪物は夜明けとともに逃げていく。河岸の洞窟を捜索する一行。
怪物を発見したアニーが麻酔銃を射ち込んが、ほとんど効果なし。
軍が一斉掃射すると、さすがの怪物も後退していく。兵士たちが一斉に手榴弾を投げ付け、怪物を木っ端微塵に吹っ飛ばした。
最後は「彼は一匹じゃない」という「ゴジラ」みたいなアニー博士の一言で幕となる。
ビデオ会社がシリアスに営業できなかったのも理解できる見せ場の無さではある。おバカ映画としての突っ込み所にもイマイチ欠けるし、モンスターの造形も良くない。
脚本も演出も平板で、クライマックスも盛り上がらない。シリオ・H・サンチャゴは、「映画秘宝」にロジャー・コーマンに安くコキ使われる最低監督として紹介されていたが、脚本をなんとなく撮っているだけという印象を受けた。

彼女がトカゲに喰われたら