原題 ; DISTORTIONS(1987)
 監督 ; アーマンド・マストロヤンニ
 脚本 ; ジョン・ゴフ
 音楽 ; ブライアン・レーヒー、デヴィッド・モーガン
 出演 ; オリビア・ハッセー、スティーブ・レイルズバック、パイパー・ローリー
製作年度を考慮に入れても古風なスリラー。
焼けただれた顔の面をかぶって脅すという、「ザ・ガードマン」の夏の怪談ドラマ特集や新東宝の猟奇犯罪物あたりの発想。
演出も平凡で、キャスティングがわりとマトモなのが救い。
エイミー(オリビア・ハッセー)の夫ジェイソン(エドワード・アルバート)が交通事故で死亡。
警察の調査で事故の直前、男を相手に性交していたことが判明する。
エイミーには多額の保険金が入ることになるが、怪しい男が窓からの覗いたり不審事が続く。伯母マーゴ(パイパー・ローリー)は自分の家に来るように強制する。
エイミーは子供の頃、父が母に暴力を振るうのを目撃して精神障害を起こしたことがあり、そのとき看病したのもマーゴだった。
エイミーを心配した親友ケリー(ジェーン・チャドウィック)も泊り込むようになる。
夫の遺品があると呼び出された波止場でエイミーは不審な男に追いかけられるが、夫の友人だったというスコット(スティーブ・レイルズバック)に助けられる。
実はスコットも不審な男も保険調査員で、エイミーに近づくための芝居だった。
エイミーは家の二階で顔が焼けただれた男を目撃して階段を落ちるが、ケリーが捜しても誰もいなかった。
マーゴは、エイミーの精神異常を主張する。
マーゴは金目当てで、エイミーを薬漬けにして保険金を自分の物にしようと企んでいた。
エイミーは薬を飲んだふりをして家を脱出、近所の雑貨屋に助けを求める。
雑貨屋の女店主はマーゴの友人で、エイミーは連れ戻されてしまう。
ある日、エイミーは地下室で子供の頃の記憶を取り戻した。
エイミーは父の暴力だけでなく、父を刺し殺す母の姿も見ていたのだった。
そこに現れた顔の焼けただれた男。
襲いかかる男を、拳銃を手に飛び込んできたスコットが制止する。
今度はスコットの背後からマーゴが襲いかかるが、逆に射殺されてしまう。
焼けただれた仮面を被っていたのは雑貨屋の女店主だった。
こうして保険金の小切手が切られるが、エイミーの向かったメキシコにはジェイソンが待っていた。
ジェイソンはホモ相手のゲリーと入れ替わっていたのだ。
そこに掛かってきた電話にエイミーが出るとケリーだった。
ジェイソンとケリーはグルで、エイミーを自殺に見せかけて殺す計画だった。
エイミーが死んで遺産の受取人が赤の他人のゲリーだったらモロバレだと思うのだが、つじつま合わせもしないまましないままジェイソンはエイミーに包丁で刺し殺される。
そこに現れたのはスコット。彼は、ケリーが勤務先の歯科医でジェイソンとゲリーのカルテを差し替えたことを見抜き、とっくに事件の真相に感づいていたのだ。
「事件の真相を知るのは二人だけ」ニヤリと笑うスコットも金目当てだった、ってケリーはどうするんだ。
という訳で終わってみたら主な登場人物は全員悪党だったってのは、いっそ小気味良い。とはいってもストーリーの陳腐さが拭い去られるほどではない。
歪んだ殺意