原題 ; DOPPELGENGER(1993)
 監督 ; アヴィ・ネッシャー
 脚本 ; アヴィ・ネッシャー
 音楽 ; ジャン・A・P・カズマレック
 出演 ; ドリュー・バリモア、ジョージ・ニューバーン、デニス・クリストファー
酒と麻薬から立ち直り、B級映画の悪女キャラでカムバックを果たした頃のドリュー・バリモアが主演したサスペンス・ホラーの珍作。ドリューはその後、持ち前の演技力でコメディエンヌとして開花、清純な役まで違和感なく演じてしまうのだから、やっぱりすごい。
ニューヨークのホテルで黒衣のホリー・グッディング(ドリュー・バリモア)が女を殺す。
そしてロサンゼルス。ホリーは、脚本家志望のパトリック・ハイスミス(ジョージ・ニューバーン)の同居人になった。
パトリックがパートナーののエリー(レスリー・ホープ)と会っていると、部屋で寝ていたはずのホリーの姿が通りに見えた。彼が呼びに行くと突然姿を消してしまう。
帰って訊ねると、ホリーは一歩も外出していないと言う。
ホリーはパトリックの運転で4年間放置されていた実家に行く。パトリックは家の窓に人影が見えたような気がした。
ホリーがシャワーを浴びていると湯が鮮血に変わり、鏡に映った彼女の顔はモンスターと化していた。
パトリックとホリーはキッチンでセックスする。翌朝になるとホリーは、私とあなたは何もしていない。もう一人のホリーはそっくりでも別の物、ドッペルゲンガーなのだ、と言い出す。
二人は映画関係のパーティーに出席する。プロデューサーのリチャード・ウルフはホリーの踊りを気に入った。
ホリーはパトリックとともに療養施設に入院中の弟フレッドを訪ねる。彼は父親を窓から突き落として殺したということになっていた。
ホリーは、その事件の犯人もフレッド本人ではなくドッペルゲンガーなのだと言う。
隣人が荷物を預かっているというのでパトリックが取りに行くと、そこにはFBI捜査官と称するスタンリー・ホワイトがいた。
ホワイトは、ホリーを母親殺しの容疑者として捜査していた。どうやら冒頭の殺人らしい。遺産目的の犯行で現場からホリーの指紋が発見されたが、アリバイがあったため逮捕できなかったのだ。
ウルフから電話で脚本書き直しの依頼がある。パトリックはエリーを連れて待ち合わせの場所に向かう。
同時刻、黒衣のホリーがフレッドへの面会を求めていた。時間外なので断られると彼女は裏から忍び込み、フレッドを包丁でメッタ刺しにする。
ウルフに待ちぼうを食わされたパトリックが帰宅すると、ホリーがフレッド殺害未遂容疑で連行されていた。
フレッドは一命を取り留めていた。
ホリーの主治医ヘラー医師(デニス・クリストファー)と面会したパトリックは、状況証拠のみなので起訴はされないと聞かされる。
ヘラーは、ホリーのいうドッペルゲンガーが、彼女の現実逃避の一手段だと分析していた。
また、FBIにホワイトという捜査官がいないことも判明する。
パトリックとエリーがホワイトのいた部屋に行くと、そこではパトリックの飼い猫が殺されていた。
パトリックは引っ越しを決意する。そこにヘラー医師に連れられ、釈放されたホリーが戻ってきた。
結局パトリックは残ることにした。彼はホリーをエリーに預け、テレフォン・セックスの会社を経営するシスター・ジャン(サリー・ケラーマン)と面会する。
シスター・ジャンは超常現象に詳しく、ドッペルゲンガーと本体を再結合させるには愛が重要だという。
道路に黒衣のホリーを見たパトリックがエリーの家に電話するとホリーはいた。彼が後を追うと、トンネルで男に襲われる。
なんとか逃げ延びたパトリック。男は死んだホリーの父親の顔をしていた。
ホリーにドッペルゲンガーから、実家で面会したいと電話が掛かってくる。
実家に向かうホリー。パトリックとエリーが尾行する。
ドッペルゲンガーはホリーを注射で眠らせた。屋敷に侵入したパトリックはホリーの父、ホリー、ホワイト、ウルフなどの人形が置かれているのを見つける。
そこに黒衣のホリーが襲ってきた。パトリックがマスクをはがすと、犯人はヘラー医師だった。
ホリーに邪(よこしま)な愛情を抱いたヘラーは、彼女を精神異常に仕立て上げて隔離し自分だけのものにしようと企んでいたのだ。
そのとき、横たわっていたホリーが叫び声を上げ、2体のモンスターに変身した。
茫然として「何の用だ」と間抜けな言葉を発するヘラーを、モンスターが投げ飛ばす。彼は窓を突き破って落下、フェンスに突き刺さって死ぬ。
モンスターは、もう一体と合体し元のホリーに戻る。彼女は重傷を負っていた。そこに警官隊が突入してくる。
後日、ホリーの葬儀が行われた。悲しみにくれるパトリック。そこにもう一人のホリーが現われて抱きついてくる。すると彼女はモンスターに変身した。
パトリックが叫ぶと、それは夢で彼はホリーの病室にいた。最後に意識を取り戻したホリーがオルゴールを壊すのだが、意味が分からなかった。
サスペンス描写が手ぬるく盛り上がらないままに終始している。果たして本当のドッペルゲンガーなのか、二重人格なのか、という興味が湧いてこない。
しかも終盤の展開は支離滅裂。デニス・クリストファー扮する医者がドリューに変装していたというだけで無理があるし、ワンシーン出ただけの修理人に成りすます理由がどこにあるのか。動機自体も説得力に欠ける。
唐突にヒロインがモンスターに変身するのも理解不能。2体というのは善と悪に分裂したという設定なのだと思うが説明不足で効果をあげていない。
カメオ出演のサリー・ケラーマンも作品にハクをつけるには至っていない。
アヴィ・ネッシャー監督はB級作専門でほとんどが未公開。数少ない公開作の「タイムボンバー」が代表作ということになる。こちらはマイケル・ビーン主演で、意外と楽しめる映画だった。
ドッペルゲンガー/憎悪の化身