原題 ; DRACURA'S WIDOW(1988) |
監督 ; クリストファー・コッポラ |
脚本 ; クリストファー・コッポラ、キャサリン・アン・トーマス |
音楽 ; ジェームズ・キャンベル |
出演 ; シルヴィア・クリステル、レニー・フォン・ドーレン、ジョセフ・ソマー |
フランシス・コッポラの甥で「プロフェッショナル」のクリストファー・コッポラ監督が「エマニエル夫人」のシルヴィア・クリステル主演で撮ったヴァンパイア・ホラー。 ハリウッドにある蝋人形館、館主はレイモンド・エヴェレット(レニー・フォン・ドーレン)。 ルーマニアのドラキュラ伯爵邸から骨董品が届けられた。5箱のはずが、届いたのは6箱。 蝋人形館に本物の骨董品は不要なので、館主の趣味ということなのだろう。 バーにやって来た黒髪の女ヴァネッサ(シルヴィア・クリステル)。彼女をナンパした男は血を吸われてしまう。 蝋人形館に二人組の泥棒が侵入。一人が何者かに襲われ、もう一人は逃げ出していく。 レイモンドが映画「ノスフェラトウ」を見ていると、手から血を滴らせた女が入ってきた。ヴァネッサである。 怯えるレイモンドに、彼女は「お前は私のもの」と脅しをかけて喉に噛みつく。 翌朝、レイモンドはヴァネッサが吸血鬼であることに気づき、杭とカナヅチを用意するが、彼女に愛を感じ始めていたため殺すことができなかった。 殺人事件の捜査を担当する署長代理のラノン警部補(ジョセフ・ソマー)は、現場でバー、青い天使のマッチを見つけた。 レイモンドの恋人ジェニーが訪ねてきた。彼は血を吸いたいという衝動に駆られる。 ヴァネッサはレイモンドを運転手にして殺戮を重ねる。彼女はドラキュラ伯爵の妻であった。 レイモンドはドラキュラ伯爵がヴァン・ヘルシングによって滅ぼされたことを教える。 ジェニーは偶然レイモンドとヴァネッサがキスしている現場を目撃してしまう。 泥棒の片割れが捕まり、相棒が怪物に惨殺されたことを訴える。 たまたま邪教の集会を見つけたヴァネッサは、そこに入っていく。中では生贄の儀式が始まっていた。 縛り付けられた女が切り刻まれる。異様な興奮状態の中、ヴァネッサは正体を現してクリーチャー化。殺戮を始めた。 あまりの惨状にレイモンドは気を失ってしまう。 ラノンがレイモンドを訪ねてきた。ラノンは泥棒の件を話し、レイモンドに心当たりを聞く。 途中で邪教集会の事件で連絡が入った。現場に駆けつけたラノンは、犯人を知っていると言う老人と出会う。 老人はヘルシングの孫で、吸血鬼を追っていた。 死体置き場に案内されたヘルシングはラノンの目の前で死体に杭を打ち込む。死体は叫び声をあげて滅んでいく。 レイモンドは鳥の血をすすって飢えをしのいでいた。ジェニーは彼に呼び出されてやってきた。 様子の変わったレイモンドに怯えるジェニー。レイモンドは彼女に十字架のペンダントを渡す。 レイモンドがジェニーと会ったことに気づいたヴァネッサは怒り狂う。 ヴァネッサがナイフを手にジェニーが入浴中のバスルームに忍んで行き、その裸身にナイフを突き立てる、という幻覚を見たレイモンドはジェニーの元へ車をとばす。 十字架を付けたジェニーは無事だった。 ヴァネッサはヘルシングの古美術店を訪れる。彼の祖父が夫のドラキュラ伯爵を滅ぼしたという事実を確認するためだった。 ヘルシングは大型の十字架を掲げてヴァネッサに迫るが、床を踏み抜いて転倒。十字架を落としたため餌食となる。 ラノン警部補は部下が血を吸われているのを見つけ杭で止めを刺す。彼は古美術店で吸血鬼と化したヘルシングに襲われ、2階の回廊から杭に突き落とし串刺しにして倒す。 警官隊によって蝋人形館の捜索が開始され、ラノンと手柄争いをしているブラッドにレイモンドは逮捕される。 訊問を受けるレイモンド。彼は無罪を主張し犯人は女吸血鬼だと言うがブラッドは取り合わない。 ラノンはレイモンドと面会しヴァネッサの居所を聞き出そうとするが失敗。一人で蝋人形館を調べているとジェニーがやって来た。 二人で探しても手がかりは見つからず、留置場でレイモンドを見張ることにする。 ヴァネッサは下水道に潜んでいた。彼女は警察著へと入っていく。レイモンドは私立病院へ移送されていた。 救急車の隊員にコウモリが襲いかかる。生き残った隊員が発砲するが、コウモリからクリーチャーに変身したヴァネッサに殺されてしまう。 そこにラノンとジェニーが駆けつけた。ジェニーが襲われそうになったため、レイモンドは背後からヴァネッサに杭を打ち込む。 ヴァネッサは溶けて滅んだ。吸血鬼の呪いから解放されたレイモンドはジェニーを抱きしめるのだった。 クリストファー・コッポラ監督の作風は豪放といえば聞こえはいいが実のところ大ざっぱなB級タッチ。 ストーリー展開は場当たりだし、登場人物の言動もいい加減に思える部分が多い。なんだかジム・ウイノースキーのタッチに近い気がする。 ハマー映画のムードまでは望むべくもないが、ドラキュラの未亡人が醜いモンスターに変身する設定には、こだわりのなさを感じる。 アクション・ホラーとしても盛り上がりに欠けていた。ヴァン・ヘルシングの末裔(まつえい)が、やけに弱いのも情けない。 黒髪のシルヴィア・クリステルというのもピンと来なかった。オカッパっぽい髪形もヘンだし。 |