イゴーリアンズ血の虐殺集団
 原題 ; IGOR AND THE LUNATICS(1985)
 監督 ; ビリー・パロリーニ
 脚本 ; ジョスリン・ベアード、ビリー・パロリーニ
 音楽 ; ソニア・ルトスタイン
 出演 ; ジョセフ・エーロ、ジョー・ニオラ、メアリー・アン・シャクト
アメリカの片田舎で起きる殺人教団の犯行を描いたスプラッター・ホラー。
冒頭には3人の教団員が 逃げようとした女サラを捕まえ電動ノコギリで切り裂く途中のエピソードがいきなり展開。
とりあえず観客の気を引くためだけの編集と思える。
ここから本筋で、トムは妻のメアリー・アンに置き手紙を残して去る。
手紙にはトムの過去が書かれていた。彼はポールと言う男が支配する教団にいた。
教団では乱交が行われシャロンはトムの子を産んだが、教祖ポールは自分の子だと思い込んでいるらしい。
ポールは自分の法律を作りだし、教団を麻薬漬けにした。トムは嫌気がさしたがシャロンのために残っていた。
周囲に非難された教団は、さらに辺鄙(へんぴ)な場所に移転。耐えきれなくなったトムは、ついに出ていく決心をした。
トムはシャロンと街のバーで話し合おうとするが、教団員に見つかりポールにチクられてしまう。
ポールは教団を出るが、もともとポールに洗脳されていたシャロンは残ることになった。
シャロンの友人サラは教団を抜けようとして、冒頭のように殺された。
サラの殺りくに間に合わなかったイゴールは、どうして俺にやらせてくれなかったと文句をたれる。
逮捕令状が出て警察が出動。緊張感のない逮捕シーンが繰り広げられる。
抵抗したシャロンも逮捕されたが、赤ん坊は置き去りにされてしまう。
警察が去った後、敷地に入り込んだ一人の男ホークが赤ん坊を連れて帰る。
やがてポール出所の日、イゴールたちが迎えに来た。帰路で乗せたヒッチハイクの女性をイゴールがメスで切り裂いて殺害、臓器を引っ張り出す。
トムがメアリー・アンと知り合ったのは、その頃だった。
森を歩いていたメアリー・アンは教団の建物を発見。教団員に襲われそうになって街に逃げ帰る。
その夜、メアリー・アンはイゴールに襲われる悪夢を見た。
トムは町角に立って売春していたシャロンと出会う。トムは国際的な活動家になっていた。
後日、トムにテープが送られてきた。発送して元はシャロンになっている。そのテープにはシャロンがポールに殺される様子が録音されていた。
ある日、メアリー・アンは自分の敷地に逃げ込んできた教団の青年を助け、同居人のホークに連絡した。
ホークは青年を連れ帰っていく。
ポール、イゴールたちは森で絵を描いていたメアリー・アンの友人コレットを殺害。
それを通りすがりの少年ジミーが目撃。ジミーは一味に連れ去られてしまう。
メアリー・アンは警察に行くが信用されない。たまたま通りすがったトムはポールの犯行と確信して調査を始める。
ジミーの母親から捜索依頼が出て、警察は森では首筋を切られたジミーの死体を発見。
教団に家を焼かれたホークは、トムとともに教団と戦うことになった。
イゴールたちはメアリー・アンの家を襲う。イゴールが青年に気を取られた隙にメアリー・アンが鉢で殴りつけて気絶させ脱出した。
ポールと対面したトムは銃を突きつけ、青年が自分の子供であることを教える。
トムは手下に奇襲され捕まってしまう。やってきたメアリー・アンがポールの肩を撃ち、トムは逃げることができた。
トムは近所で通報を依頼するが、追い返されてしまう。仕方なく三人は、その家の納屋に隠れる。
なぜかトムは部屋を探すと言って一人で散策に出る。
気配を察した青年も姿をくらまし、一人残されたメアリー・アンはイゴールに襲撃されるが鉈で頭を割って逆襲。
それでもイゴールは這いずりながら追ってくる。だが、ホークのボウガンで脳天を貫かれ、ついに死ぬ。でもホークはどこから出てきたんだ?
一方、青年はポールに殺されていた。
そのホークもポールに鋤で刺されて倒れる。ポールはトムに襲いかかるが、メアリー・アンがボウガンで倒した。
ようやく警察が到着してポールを担架に乗せて運んでいく。
これがトムの手紙の内容だった。
新聞には行方不明になっていた警察の救急車が看守三人の死体とともに発見され、ポールが脱走したというニュースが載っていた。
メアリー・アンが階下に降りると、トムが背中を刺されて倒れている。メアリー・アンの前に姿を現したのはイゴール。トムは立ち上がるが二人ともイゴールの餌食となった。
ステーキハウスでジミーの母親がポールの脱走を嘆いていた。なぜか調理していたシェフはイゴール。
高笑いしながら襲いかかるイゴールの姿で映画は終わる。
主人公が書き置きした手紙の内容としてストーリーが進行するが、全く意味がなく、かえって混乱させている。
どっちにしろストーリーがグチャグチャで、理解不能なのたが。
教団の教祖はポールという男で、イゴールは幹部にすぎないのだが、イゴールのほうが異常な雰囲気を持っていて目立ったため、タイトルを変えてしまったのではないだろうか(それにしてもイゴーリアンズって何だ?)。
ラストも教祖が出てくるのであれば、なんとか繋がったのだが。
どちらにしても脚本、演出、演技ともに最低水準の作品。スプラッター・シーンも思いっきりチープ。ハーシェル・ゴードン・ルイスが名監督に思えてきてしまう。