原題 ; TALES FROM THE CRYPT(1993)
 監督 ; ラッセル・マルケイ、ケヴィン・フックス、グレゴリー・ワイデン
 脚本 ; スコット・ニメフロ、アル・カッツ、ギルバート・アドラー、グレゴリー・ワイデン
 音楽 ; ブラッド・フィーデル、ニコラス・パイク、ドナルド・マーコウィッツ
 出演 ; ヴィンセント・スパーノ、ビル・パクストン、トレイシー・ローズ
この作品はオムニバスというか、テレビのホラー・アンソロジー・シリーズ「テイルス・フロム・ザ・クリプト」から3エピソードを抜粋したもの。このシリーズは製作者にロバート・ゼメキス、ウォルター・ヒル、リチャード・ドナーといった大物監督が名を連ね、7年間続いたヒット作。
このビデオ・シリーズは、第5シーズンのエピソードをリリースしており、なぜか織田無道の霊現象解説が巻頭に付け加えられている。
第1話「よく冷えた霊柩車」(PEOPLE WHO LIVE IN BRASS HEARSES)。
ビル(ビル・パクストン)とヴァージル(ブラッド・ドゥーリフ)の兄弟は冷凍工場の売上げ金強奪を計画中。しけた犯罪だが、それだけうだつの上がらないチンピラたち。
工場に出入りするアイスクリーム屋のバード(マイケル・ラーナー)は、足を洗った昔の仲間だった。二人は、バートの売上金もついでに頂こうと話し合う。
いよいよ実行に移すが、いきなりヴァージルは工場の女性監督に重傷を負わせてしまう。発覚を恐れてとどめを刺すビル。だが、その間にバードは出発、金庫も閉められてしまった。
仕方なく二人はバードの自宅を襲撃。ここでもヴァージルが、いきなりバードを撃ち殺してしまう。
金の在り処が分からなくなり探す二人。金は冷凍庫に隠してあった。
大喜びするビルの左足をバードがショットガンで吹き飛ばす。ヴァージルはすでに殺されていた。
実はバードはお尻のところでくっついたシャム双生児だったのだ。アイスクリーム屋を続けるバード。その後ろには腐った兄弟の死体がくっついていた。
第2話「ルシファー」(TWO FOR THE SHOW)。
エマ(トレイシー・ローズ)は夫アンディ(デヴィッド・ペイマー)に離婚を切り出す。好きな相手が出来たのだという。世間体を気にしたアンディが襲い掛かり、もみ合ううちにエマの手にしたハサミが彼女自身に刺さってしまう。
騒ぎの通報があり、ファイン巡査(ヴィンセント・スパーノ)が出動した。アンディは死体の始末の真っ最中だった。彼は妻がシカゴに旅行中だと嘘をつく。
ファインが帰り、アンディは死体をバラバラに切断してトランクに詰め列車でシカゴに運ぶことにする。
そこにファインが現れた。アンディは妻と仲直りしてシカゴで会うことになったと、また嘘をつく。
アンディが列車に乗り込むと前の座席にはファインが乗っていた。彼はアンディを食堂車までつけまわす。
ファインは、麻薬の捜査でFBIが乗り込み、全ての荷物を検査すると言い出す。アンディは、慌ててトランクを車外に放り出し、別のトランクに自分のタグを付ける。
エマの恋人はファインなのか。捜査官とファインの前で、そ知らぬ顔をしてすりかえたトランクを開けるアンディ。その中には女の死体があった。
死体はファインの妻。実はエマの恋人はファインの妻だった。妻殺しの罪をアンディに押し付けたファインは、エマの死体をディスポーザーで処理するのだった。
第3話「ゾンビ製造法」(HALF-WAY HORRIBLE)。
大会社の社長ロジャー(クランシー・ブラウン)。友人で会社創始者の一人ダンが自社の防腐剤を射たれて死亡した。この防腐剤は無害で、食物を永遠に腐らなくする威力を持っている。
6年前、ロジャーはブラジルで死体の腐敗を止める秘薬を入手した。仲間のアレックスを生贄に差し出すことを条件に部族と取引をしたのだ。
だが、死亡事故で薬の認可が延期になってしまった。
ロジャーは、昔の仲間でいきさつを知るケヴィンに会いに行く。ケヴィンも殺されていた。
狂気に取り付かれたロジャーは部下のコリンズを殺してしまう。そこにゾンビとなって甦ったアレックスが現れ、ロジャーこそが事件の犯人だと言う。ロジャーは善と悪の性格に分裂した二重人格者と化していた。
アレックスの首をはねて始末したロジャーは、医師ベナロイトを呼び治療を依頼する。医師は悪の部分となった半分を消す特殊で危険な治療法があると言う。
治療の結果、ロジャーは体半分が死んで腐った状態となって生き続けるのだった。
映画「クリープショー」と同様、ホラーコミックスの実写版となっているため、「ミステリーゾーン」など他の1話完結でアンソロジーとして製作されたテレビ・シリーズに比べ、毒々しいイメージのエピソードが多くなっている。
第1話は、奇抜なオチが全てで、ストーリー全体に多少無理があっても押し切っている。
第2話は、比較的サスペンス色の強いエピソード。ひねった面白さはあるが、やはり展開にはかなり無理がある。
第3話は、ストーリーにまとまりがなく、オチもあまりピンとこない。
エピソードごとに出来不出来も、それぞれなのだが、第5シーズンとあってネタが尽きてきたのか、平均点は低めになっている気がした
ルシファー