原題 ; MONSTER DOG(1985) |
監督 ; クライド・アンダーソン |
脚本 ; クライド・アンダーソン |
音楽 ; ディクトミア |
出演 ; アリス・クーパー、ヴィクトリア・ヴェラ、カルロス・サンチュリオ |
時々映画に出演するアリス・クーパーだが、主演作はこれ一本ではないかと思う。 表向きアメリカ映画だけど、スタッフ、キャストの大半はメキシコ人、監督+脚本がイタリア出身なので仕上がりはマカロニ・ヴァイオレンス風。まあ、国際色豊かといっておこう。 ロックスター、ヴィンセント・レイヴン(アリス・クーパー)は、プロモーション・ビデオに斬新な映像を加えるため、故郷の実家の屋敷で撮影することになった。 実家と斬新な映像のつながりは不明。 20年ぶりの帰郷だが、そこでは犬の群れによる連続殺人が起きていた。 途中でヴィンセント一行は、保安官から「村人は20年前のことをを忘れていないぞ」と不思議な忠告を受ける。 保安官は直後に犬に襲われる。 次には「お前たちは全員殺される。もうお前たちは死人だ」などとわめく謎の老人と遭遇。 ようやく辿り着いた屋敷で女優アンジェラが、ヴィンセントが人狼となって皆を殺す悪夢を見て怯える。 ヴィンセントは恋人でもあるサンドラに、20年前同様な犬による事件が続き夢遊病で朝に仔牛の死体と眠っているところを発見された父が犯人として村人にリンチを受けスキで刺し殺されたうえ焼かれたという、すごすぎる過去を告白する。 やがて撮影が開始されるが、二階から老管理人ジョシュの死体が落下、パニックになったアンジェラは屋敷を飛び出す。 後を追うヴィンセント。その留守にハンターの集団が乗り込んでくる。 今度の犯人はヴィンセントに違いないので撃ち殺してしまおうというのだ。 ハンターは、ヴィンセントの説得で戻ったアンジェラを誤って撃ち殺してしまう。 こうなったら皆殺しだ、とヴィンセントを追うハンターたち。 ヴィンセントは猟銃で逆にハンターたちを血祭りにあげていく。 そこに犬の群れが襲撃、ヴィンセントの仲間たちは次々と犠牲になる。 ついに人狼も登場するが、このモンスター最後までハッキリ映るシーンがない。 演出効果というより、予算が無くてマトモに映せるだけの造型ができなかったというのが真相と推測される。 生き残ったのはヴィンセント、サンドラ、メリールーの三人だけ。 犬の群れもなぜかヴィンセントの前ではおとなしくなる。 車で逃げ出す三人。いつの間にかメリールーが血まみれの死体と化していた。 人狼が後部座席に隠れていたのだ。 今度はヴィンセントに噛みつく人狼。ヴィンセントはサンドラを脱出させると、車を衝突させる。 サンドラが、事故現場に行くと謎の老人が負傷しており、「わしは20年前、ヴィンセントの父親に噛まれた。次の後継者はヴィンセントだ」と言って息絶える。 その先にはヴィンセントが座り込んでおり、サンドラに自分が人狼になる前に撃ち殺してくれと懇願する。 最初はためらっていたサンドラだが変身するヴィンセントの姿を見てついに引き金を引くのだった。 このクライマックスにおける変身中のヴィンセントが、悪い病気に掛かったオッサンみたいでものすごく情けない。なにを血迷ったのか、このシーンをビデオジャケットに使用しているので、ホラー映画ファンもアリス・クーパー・ファンも借りるのをやめちゃったんじゃないかと思う。 余談=イタリア出身のクライド・アンダーソンは、クラウディオ・フラガッソなどいくつかの名前を使って映画に携わっている。フィルモグラフィーを見ると、監督もしくは脚本で関わった作品には「女囚エマニュエル」「イレブン・ナイツ」「ゾンビ4」「サンゲリア2」「バトル・ヘルハウス」「トロル2」といったタイトルが並ぶ。まさしく最低映画街道まっしぐらだ。 |