原題 ; NOT OF THIS EARTH(1988) |
監督 ; ジム・ウィノースキー |
脚本 ; R.J.ロバートソン、ジム・ウィノースキー |
音楽 ; チャック・シリノ |
出演 ; トレイシー・ローズ、アーサー・ロバーツ、レニー・ジュリアーノ、ロジャー・ロッジ |
こちらは年齢を上に詐称していたトレイシー・ローズの主演作。 トレイシー・ローズは姉の運転免許証を使って年をごまかし、未成年でハードコア・ポルノのトップスターになってしまう。 これがばれて事件に発展し、業界には逮捕者も出たとか。 それで失踪していたトレイシーを引っ張り出して一般映画でカムバックさせたのが本作。 その間にジーンズだか何だかのカタログ・モデルをしていたという記事もあった。 カーセックスにはげむカップルが、、黒服にサングラスのの男ジョンソン(アーサー・ロバーツ)に襲撃される場面から作品は始まる。 ジョンソンがサングラスをはずすと目が青く光っており、人間は精気を吸い込まれて死亡、その死体から血を抜き取ってしまう。 タイトルバックにはモンスターの暴れるシーンが数種類流れるが、すべて過去のロジャー・コーマン製作作品からの流用、本編には一切登場しない。 ジョンソン(アーサー・ロバーツ)は病院を訪れ、看護婦ネディーン(トレイシー・ローズ)にいきなり輸血を求める。 医師を催眠状態にして輸血したジョンソンは、毎日輸血が必要だといってネディーンを雇う。 ジョンソンは、ボディガード兼料理人というジェレミー(レニー・ジュリアーノ)と暮していた。 ジョンソンはダバナ星から来た宇宙人。 ダバナ星は血液が崩壊して乾燥してしまう奇病のために滅びかけていた。 ジョンソンは地球人の血を調べて特効薬となるなら地球を征服するという使命を帯びていた。 掃除機の訪問販売員を殺して血を抜き地下室の焼却炉で焼くジョンソン。 ネディーンは立ち上る煙を見て地下室に不審を抱く。 更にジョンソンは3人の売春婦を殺害、一方ネディーンは恋人の警官ハリー(ロジャー・ロッジ)をベッドに連れ込んで楽しんでいた。 ネディーンが、ジョンソンのコップに残った赤い液体を検査すると、それは極めて特殊な栄養素であることが分かる。 そのころ、ダバナ星から一人の女がやってきた。ジョンソンは病院に忍び込んで女に輸血するが、それは恐水病に感染した検査用の血液だった。 凶暴化した女は殺人を犯したうえ、病院に駆け込んで死ぬ。この殺戮シーンも他のスプラッター映画からの流用。 女がネディーンが持っていた注文服を着ていたことからハリーはジョンソンに目をつける。 ネディーンとジェレミーは家捜しして奇妙な装置を発見、更に焼却炉からは白骨が。 帰宅したジョンソンにジェレミーは殺され、ネディーンは逃げ出す。 ジョンソンはネディーンを追い詰め、催眠術をかけてダバナ星に転送するよう指示する。 自動車で逃走するジョンソンは白バイの音にやられて橋から墜落、ネディーンは転送寸前にジョンソンが死んだため意識を取り戻す。 なぜかラストシーンはジョンソンの墓参りをするネディーンとハリー、二人が立ち去ると背後から黒服にサングラスの男が歩いてきてクエスチョンマークつきのジ・エンドが表示される。 余談その一=ジム・ウィノースキーは超低予算でB級映画を撮り続けている。変に気取らず娯楽作品に徹している点は好感が持てるが、豪放な正確らしく細部を気にしないためトホホ感にあふれた作品が多い。とにかく多作で、テレビやビデオ用の作品まで含めると20年のほどのキャリアで50本以上の監督作を持つ。 余談そのニ=本作はロジャー・コーマンが1957年に監督した日本未紹介作のリメイク。たいしたストーリーではないと思うのだが、手っ取り早いリメイクと続編が大好きなロジャー・コーマンは1995年に3度目のリメイク「ウォーニング」を製作した。水中戦の得意なエイリアンが女占い師に化けて血を狙う、やっぱり珍作だった。ロジャー・コーマンは製作者・監督としてアメリカB級映画界最大の巨人。城のセットを借りてホラー映画を製作したときに、早撮りで予定より二日早く撮了したので、あわててもう一本作ってしまったというエピソードが有名。 余談その三=本作のビデオジャケットには「可憐なヒロイン像を作り上げているトレイシー・ローズは、ブロードウェイで「屋根の上のバイオリン弾き」「ピーターパン」など数々のヒット・ミュージカルに出演。テレビでも活躍し、ヘミングウェイ原作「老人と海」のテレフューチャー版にも出演している。若いファンの間ではアメリカのシンボルと呼ばれ、人気を博している」と書かれているが、どう考えても全て大嘘。なにしろ本番女優だったから演技はほとんど出来ない。ジョン・ウォーターズの「クライ・ベイビー」とか「ブレイド」のカメオ出演とかもあるが、基本的にはB級映画専門。それでもテレビ・ドラマ「プロファイラー」や「ファースト・ウェーブ」でレギュラーの座を手にしたのだから大健闘とはいえるのだろう。 |