原題 ; RIVER OF DEATH(1989) |
監督 ; スティーヴ・カーヴァー |
脚本 ; アンドリュー・ドイッシュ、エドワード・ソンプソン |
音楽 ; サシャ・マトリン |
出演 ; マイケル・ダディコフ、ロバート・ヴォーン、ドナルド・プレザンス、ハーバート・ロム |
アリステア・マクリーンの「死の激流」を映像化した冒険アクション。B級映画の常連が名を連ねている。 1945年4月、ドイツ東部戦線で人体実験を続けるウルフガング・マイントフ博士(ロバート・ヴォーン)は、実験をやめさせようとしたシュスター大尉を射殺する。 マイントフは、ハインリッヒ(ドナルド・プレザンス)と結託しドイツ帝国の財産を私物化していた。ナチス崩壊後もマイントフは実験を続け、ハインリッヒは南米に逃れて実業家になろうと企んでいた。いざとなるとマイントフはハインリッヒの足を撃ち、一人で逃亡してしまう。 1965年、アマゾン密林地帯のリオ・ダ・モルテ(死の河)流域。案内人ジョン・ハミルトン(マイケル・ダディコフ)は、奇病の治療のためやってきた医者とその妻アンナの案内をしていた。 一行はジョンも初めての奥地へと進む。そして謎の部族に襲撃され捕まってしまう。 ジョンはメガネのレンズで火事を起こし、村人が騒いでいる間に脱出した。逃げる途中、医者は銃弾を受けて死に、アンナも捕まってジョンだけが河に飛び込む。部族には武装した白人の指導者がいた。 ジャングルをさまよったジョンは無事救助された。彼はリカルド・ディアズ署長(ハーバート・ロム)に報告するが、白人の支配する「失われた都市」など現存しないと、相手にされない。 アンナ救出のため準備を進めるジョンは、夜の街で襲撃される。何かの警告のようだが、よく分からない。 部屋に戻るとナチ戦犯を追っているというピエールとダリアがいた。戦犯マイントフが失われた都市に潜伏しているというのだ。 一方、会社社長カール・バーゲンズも失われた都市を探している。彼の正体はハインリッヒだった。 ジョンは、ピエールたちと組みながらバーゲンズに接触する。 案内人の顔役ヒラー(L.Q.ジョーンズ)やディアズ署長の手配した調査人シラノ、バーゲンズの愛人マリアを加えた一行は2機のヘリで現地を目指す。通訳と称してピエールたちも乗り込ませた。 ヘリの1機が故障して不時着、乗組員脱出後に爆発した。だが。これは偽装でパイロットが逃げ出すための芝居だった。 取り残された一行は海賊に襲撃されるが、ジョンがロケット砲で撃退した。夜になりジョンたちは海賊のアジトに忍び込みダイナマイトで爆破して船を奪う。 今度は小舟に乗った部族の襲撃を受ける。スクリューに網が絡まるが、ジョンが潜って外し、脱出に成功した。 上流には、もう1機のヘリが到着していたが、パイロットは惨殺されていた。 バーゲンズは、自分がユダヤ人で妻の敵を討つためマイントフを探しているとジョンを騙す。 ヒラーがヘリを見張るために残り、他の生き残りは奥地へと進む。 またしても襲撃される一行。爆弾で敵を吹っ飛ばしたが、火矢の火が燃料に燃え移り船は爆発した。 徒歩で移動する一行は、食人族に囲まれてしまう。部落に招かれて歓待を受けるジョンたち。しかし、食人族はその本性を現し襲ってきた。 そこにヒラーを捕らえて追ってきたディアズ署長が到着。 銃撃して食人族を蹴散らすが、ピエール、ダリア、シラノは殴り殺された。 負傷しているヒラーを見捨てようとするディアズ署長に銃を向けるジョン。そこに武装した失われた都市の兵士が現われた。ディアズも潜伏する元ナチの一員だった。 遺跡の奥にはマイントフの研究室があり、ハーケンクロイツの旗が掲げられている。 ジョンは、医師の探していた奇病の根源がマイントフの実験であることを知る。アンナは生きていたが、病気に冒されていた。 マイントフは、劣等民族のみを殺害する毒薬を完成させていた。選ばれた民には無害だという。 マイントフに隷属していた部族の酋長は「お前こそ預言の男だ」とジョンに協力して叛乱を起こす。 ジョンは手榴弾でディアズを吹っ飛ばした。 正体を現してマイントフに銃を向けるバーゲンズことハインリッヒ。ジョンも加わって揉みあいになる。 そこに照明弾の銃を構えたマリアが現われる。彼女は敵を追うシュスター大尉の娘だった。 マイントフがマリアを射殺。倒れざまにマリアが撃った照明弾でマイントフとハインリッヒは焼け死ぬ。 生き残ったジョンは、原住民たちとともに失われた都市を後にするのだった。 かっては大作として映像化されることの多かったマクリーンだが、この時期には、かなり寂しい状態になってきている。原作を読んでいないので、どの程度忠実なのかは分からないが。 中盤までは低予算のためそれほど盛り上がらないまでもアクション・シーンを適度に織り交ぜ、それなりに見られる出来になっている。 ところが一行が食人族の部落に到着するあたりから雲行きがおかしくなった。収拾がつかなくなったのか登場した多彩な人物が、何のドラマ展開もないままに一気に整理されてしまう。 これだったら最初から登場人物を絞り込んだほうが良かったと思う。 いよいよマイントフが登場してマッド・サイエンティストぶりを披露し始めると映画はさらに冷え込んでいく。劣等人種のみを殺す毒薬って一体なんだ。マクリーンの原作に、こんな子供じみた設定があったのだろうか。 そしてクライマックス。主人公は成り行きを見守るだけで、他の登場人物は勝手に全滅。冒険映画として成立していない。結局、疫病がどうなったのかも描かれず、主人公が逃げ出しただけで終わってしまう。 |