マジック・クエスト/魔界の剣
原題 ; THE SWORD AND THE SORCERER(1981) |
監督 ; アルバート・ピュン |
脚本 ; トム・カーノウスキー、ジョン・スタックメイヤー、アルバート・ピュン |
音楽 ; デヴィッド・ホイッテカー |
出演 ; リー・ホースリー、キャスリーン・ベラー、ジョージ・マハリス、リチャード・リンチ |
「影武者」のロケに参加したことから、自称黒澤明の弟子というアルバート・ピュンの監督デビュー作。 剣と魔法の時代、トゥーム島に一団の兵士が上陸した。 一行は遺跡の洞窟へと入っていく。奥の祭壇で同行してきた魔女が呪文を唱えると、魔人ズシア(リチャード・モール)が甦って来た. 兵士を率いるのはアラゴンの王クロムウェル(リチャード・リンチ)。ズシアの力を借りてエイダンを征服しようというのだ。 エイダンはリチャード王が治める平和な国だった。 エイダン軍はクロムウェルの侵攻により壊滅。クロムウェルは用済みになったズシアを刺し殺そうとする。 深手を負ったズシアは崖下へと転落した。 エイダン軍は都を守る一隊だけとなった。 リチャード王は息子タロンに三枚刃の剣を託し前線へと出陣する。 王は倒され、幼い娘を連れて逃げようとした女王マリアもクロムウェルによって斬り殺された。 タロンはクロムウェルの追撃を逃れ姿を消す。 11年の年月がたち、タロン(リー・ホースリー)は傭兵たちとともに復讐の機会を待っていた。 一方、ズシアもまたクロムウェルへの報復を狙っている。 クロムウェルはアラナ姫との婚礼を準備していた。 リチャード王側近の息子でアラナ姫(キャスリーン・ベラー)の兄マイカ(サイモン・マッコーキンデール)はエイダンの王位を継承しようとしている。クロムウェルの配下マチェリ(ジョージ・マハリス)はマイカへの協力を申し出た。 マイカがアラナ姫たちとともに反乱の計画を練っていると、クロムウェルが部下を連れて現れた。 マチェリはクロムウェルのスパイだったのだ。マイカは捕らえられてしまう。 クロムウェルの部下に襲われていたアラナ姫を、タロンが助ける。 マイカの仲間50名も敵の襲撃を受けているとの知らせが入った。タロンはアラナ姫の身体を報酬に、マイカと仲間の救出を約束する。 洞くつに立てこもる反乱軍をクロムウェルは油をまいて火攻めにしようとする。 背後から忍び寄ったタロンは兵士たちの足元に油を流して火を放った。炎に巻かれ逃げまどうクロムウェル軍。反乱軍は助かった. クロムウェルは反乱の背後にズシアがいるのではないかと疑い、マイカを拷問する。マイカはズシアのことなど知らないのだが、クロムウェルは信じない。 タロンたちは地下水路を通って牢へと向かう。途中でネズミの大群に襲われたりしながらも、城の地下に到達した。 番兵を殴り倒して牢に囚われた者たちを解放する。囚人の中には城の設計者もいた。 城の構造を知ったタロンは、マイカが拷問されている場所に向かう。 タロンは、協力者である娼婦エリザベスとマイカを助け出す。 だが、タロンは兵士たちに追いつめられてしまう。タロンをズシアの化身と思い込んだクロムウェルが戦いを挑む。 タロンにとって母親の仇を討つチャンスだった。 すぐに剣を弾き飛ばされ、慌てて逃げるタロン。クロムウェルとともに地下水路に落ちて戦っているところを、背後からマチェリに殴られて気絶してしまう。 タロンの処刑が決まり、彼に助けられた者たちや戦友が救出の準備を始める。 クロムウェルは婚礼に参列する王侯貴族の抹殺を企んでいた。 宴が始まり、タロンは磔(はりつけ)にされていた。英雄の危機に、一部の王族たちは彼の救出を決意する。 クロムウェルとアラナ姫の婚礼が開始された。 タロンの味方についた城の女たちが地下牢の囚人を解放する。 アラナ姫が結婚を宣誓したときに殺戮が開始される手はずだった。その直前、タロンは自らの力で磔を逃れた。 攻撃開始が命令されるが、兵士たちに反乱を起こした囚人が襲いかかる。 外部からの反乱軍も加わって城内は混戦状態。 アラナ姫を連れ去ろうとするクロムウェルたちの前にタロンが立ちふさがった。 クロムウェルは部下に闘わせて逃げ出す。マチェリはクロムウェルを葬って自分が王になる算段だった。 アラナ姫はマチェリに従うふりをして油断させ、股間を蹴りあげるが効果なし。 マチェリこそズシアの化身だった。クリーチャー化して正体を現すズシア。 クロムウェルが斬りつけるが敵わない。駆けつけたタロンが三枚刃の剣で挑もうとするが、妖術で動きを封じられてしまう。 だが、剣には刃を射出する機能があった。ふいを突かれたズシアは串刺しになる。 タロンは、もう一本の刃を捨てクロムウェルと一騎打ちを始めた。 長剣の刃を折られてしまうが、中には短剣が仕込んであった。 クロムウェルの力に押され、劣勢に立つタロン。クロムウェルはとどめと斬りかかる。そのとき、タロンのグラブに仕込まれた短剣がクロムウェルを貫いた。 タロンは瀕死のクロムウェルに、リチャード王の息子だという自分の身分を明かす。 そのときズシアが起き上がって襲いかかるが、短剣のひと刺しで片がついた。 エイダン国を取り戻したタロンは、ロンボシャ王国を救うため、マイカたちとともに旅立つのだった。 エンドロールではタロンの次の冒険「古代帝国物語」が予告されるが、製作されることはなかった。 低予算でB級な冒険ファンタジーではあるが、アルバート・ピュン作品中では比較的まともな出来に属するのではないかと思う。 とはいえ、脱力系には違いない。ヒーローであるはずのタロンは、正々堂々とした戦いではやたらと弱く、剣の刃を発射したり隠し武器を使ったり、ひたすら不意打ちで勝利する。 「キャプテン・アメリカ」も同様なのだが、ヒーローがヒーローに見えなくなってしまうのが特徴となってしまっている。 マカロニ・ウエスタンによくあった、主人公がラストで意外な戦法をつかって勝利するという展開を勘違いしてマネしているのではないだろうか。 まあ、アルバート・ピュン監督の存在自体が勘違いの上に成り立っている気がしないでもないが。 |