製作 ; (1954) |
監督 ; 穂積利昌 |
脚本 ; 小川正 |
音楽 ; 万城目正 |
出演 ; 若杉英二、藤乃高子、須賀不二夫、高山武男、諸角啓二郎、桂小金治 |
「怪人二十面相」に続く明智小五郎シリーズ第二作。こちらは1本約30分の4部作で製作された。 怪人二十面相と小林少年が替わったが、他は同じ配役で作られている。 第一部 青銅の魔人が次々に時計店を襲う事件が続出。駆けつけた刑事たちが発砲しても平気、そのうえ忽然(こつぜん)と姿を消してしまう。 中村捜査課長はその神出鬼没ぶりに怪人二十面相(諸角啓二郎)を疑う。 次に骨董品の英国製時計を持つ水野家が襲われ、夫人が誘拐されてしまった。 夫人は魔人と手下の道化師(桂小金治)に監禁されていた。 水野元侯爵は時計にまつわる秘密が解ければ事件解決の糸口がつかめるのではないかと考える。しかし秘密のヒントを書いた文書も青銅の魔人に盗まれてしまう。 青銅の魔人は元侯爵の弟・昌一に脅迫状を渡す。やはり魔人の狙いは家宝の時計だった。 名探偵・明智小五郎(若杉英二)が事件解決に乗り出す。 水野家に赴いた明智は時計の中から地図を取り出す。それは2枚の地図の片方で、揃えば金鉱やウラニューム鉱の場所が分かるという。 明智は、この秘密を怪人二十面相のアジトに残されていたメモで知ったのだ。彼も青銅の魔人の正体が二十面相だと睨んでいた。 時計をエサに魔人をおびき寄せる計画を立て、明智と警察が張り込む。 青銅の魔人は予告どおりに現われた。小林少年(高山武男)が納戸(なんど)に閉じ込めるが、明智たちが駆けつけると姿を消していた。 今度は金庫室が襲われる。明智は魔人と向き合う。その時、電気が消え、点いた時には魔人も時計も消えていた。 魔人は電波で道化師に指令を送り水野夫人を火あぶりにする指令を出す。 明智は魔人に不意をつかれ首を絞められてしまうのだった。 第二部謎の夜光時計 明智は青銅の魔人を振りほどく。 逃げていく魔人を小林少年と昌一が発見、尾行する。 アジトを突き止めた小林少年は、少年探偵団と明智に連絡した。 歩き出した魔人は、警官隊が発砲する中、悠然と工場の煙突を登っていく。 煙突のてっぺんに腰かける魔人。消防隊の放水が始まり魔人は墜落、地面に激突してバラバラの機械部品と化す。 その中には復讐を誓う手紙が残されていた。 小林少年が誘拐され、魔人のマスクをかぶせられたうえ監禁されてしまう。 道化師はやはり仮面をつけられた昌一に引き合わせ、明智も近いうちに閉じ込めると宣言した。 さらに道化師は二人に意識を失った水野夫人を見せ、脅して言うことを聞かせようとする。 明智と助手の高安玲子(藤乃高子)は二十面相がニセのマンホールを掘って身を隠し逃亡したことを突き止めていた。 逃げ出そうとした小林少年と昌一は落とし穴に落され、水責めにあってしまう。 水野家に青銅の魔人が現われ、元侯爵の首を締めて気絶させさらっていく。 張り込んでいた明智と玲子が追跡する。魔人はスイッチを押すと水が引く仕掛けになった井戸へと姿を消した。 明智も地下へと入っていく。彼は小林少年と昌一を見つけて水を止めた。 魔人は水野に残り半分の地図も在りかを聞き出そうとする。 そこに透明人間が出現した。透明人間はウラニューム鉱の地図を奪う。 さらに透明人間は道化師を銃で脅し、小林少年と昌一を救出して去っていった。 玲子の通報で警官隊が到着。明智を先頭に井戸へと入る。明智と中村課長は落とし穴の罠にはまってしまう。 すると左右の壁が動き出し二人を押しつぶそうとするのだった。 第三部恐怖の天守閣 明智と中村はスイッチを見つけて壁を止め脱出。 二人は銃撃戦の末、魔人の手下三人を追いつめるが抜け穴に逃げられてしまう。 縛られていた水野元侯爵が見つかる。明智は水野こそ二十面相の変装と見破った。 二十面相は捨てゼリフを残して逃げていく。 警官が二十面相を捕らえたと報告してくるが、今度は本物の元侯爵だった。 二十面相は明智に変装して正門から自家用車で去っていく。その車には明智の指示を受けた小林少年が忍んでいた。 小林少年は無線で連絡するが、二十面相に見つかり捕らえられてしまう。 アジトを警官隊が包囲した。逃げる準備をはじめる二十面相たち。 透明人間が荷造りの邪魔をする。彼は二十面相に銃を突きつけた。 警官隊が突入。二十面相はアジト屋上の足場から手下の操縦するボートに飛び移る離れ技で逃亡する。 昔水野家に仕えていた赤星(多々良純)という老人がもう一つの地図について知っているかもしれない。明智たちは佐賀に向かう。 赤星老人も残りの地図は知らないと言う。蔵にある遺言状に何か書いてあるかもしれないと探すが、すでに奪われた後だった。 その夜、赤星も青銅の魔人にさらわれてしまう。 城の天守閣で赤星を訊問する青銅の魔人。そこに明智が現われた。 青銅の魔人に銃を突きつけるが、魔人は電撃で攻撃。天守閣の屋根へと逃れた明智に魔人が襲い掛かった。 第四部決闘獅子ヶ島 天守閣で青銅の魔人に踏みつけられる明智。小林少年が魔人の足に投げ縄をかける。魔人はお堀へと落ちていった。 明智たちは獅子ヶ島に渡る。明智と水野は、玲子、小林少年、昌一を見張りに残し、命綱を手に洞窟へと入っていく。 隠し戸の裏に獅子の像があり、その下に地図の隠し場所を記したなめし皮が埋められていた。 そこに大蜘蛛が現われ、水野の手からなめし皮を奪っていった。 この場面に登場する大蜘蛛は全く正体不明。まさか二十面相の変装ではないのだろうが。他の映画で使ったモンスターがたまたま残っていたので、ワンシーンだけ流用したのかもしれない。 岩崩れが起き二人ははぐれてしまう。 心配した玲子が洞窟に入る。玲子と出会った明智が洞窟を出ると、二十面相と手下たちが生き埋めになったはずの水野を漁船に乗せてさらっていった。 明智、玲子、小林、昌一の4人は置き去りにされてしまう。夕刻になると胸騒ぎがしたという赤星が舟で様子を見に来て救出される。 なめし皮に記された大磯の邸宅地下で地図が見つけられなかった青銅の魔人と道化師は、他の人間に地図を見つけられるくらいならと爆弾に火を点ける。 駆けつけた明智たちの目前で爆発が起こる。伏せている小林少年の傍らに獅子の像が飛んできた。無茶で都合よすぎる展開。 その中に地図の片方が隠されていた。明智は地図の半分を入手したことを公表する。 情婦のサリー(草間百合子)は二十面相に水野を人質に明智と取り引きするよう勧める。 二十面相の元に透明人間からも連絡が入った。待ち伏せする二十面相の手下を無人の車が追いかける。 透明人間は水野の縄をほどき助け出した。だが、二人は落とし穴に落ちてしまう。 二十面相は透明人間と取り引きする。透明人間の要求をのんで二十面相は水野を解放した、 透明人間の正体は明智だった。遠くからパトカーのサイレンが迫ってくる。 明智は二十面相と一騎打ちするといってサリーを見逃してやる。 表では中村課長率いる数十人の警官隊と二十面相の手下4人が銃撃戦を繰り広げていた。 少年探偵たちは煙幕弾を投げて悪人たちをいぶり出そうとする。 窓からマシンガンで攻撃する手下を、少年探偵が投げ縄を掛けて引きずり落す。 逃げる手下も少年たちが捕まえた。 アジトの中では明智と二十面相が撃ち合っている。弾の尽きた二十面相は倉庫の屋上へと逃げていく。 追いつめられた二十面相は手榴弾で自爆した。 魔人の鎧は弾丸を跳ね返す特殊合金製。内側には小型発電機が設置され鉄のシャッターを破るパワーを生み出していた。 明智が透明になったのは黒いマスクと黒手袋で肌を隠し服だけを見せていたのだった。 ついに事件は解決、明智と玲子はトランクにまで少年を乗せた違法運転でドライブに出かけるのだった。 突っ込みどころは前作以上の多い。 第一に青銅の魔人のデザインがダサすぎる。当時はこの程度で通用したのだろうか。 地図がどの時計に隠されているのか分からないので、片っ端から骨董時計を狙うというのも無茶な話。 前作も同様だったが、狙われているのが分かっていて地図をそのままにしたり、せっかく地図を盗んでも写しを取らずに奪われたりと、双方オマヌケに見える。 透明人間の種明かしは子供ですら納得しないだろし、何回も落とし穴に落ちる場面が出てくる展開も工夫がない。 二十面相のキャスティングは変わったが、情婦サリーは再登場。出番は少ないが相変わらず二十面相を小バカにしたような態度を取っている。 フェミニストぶりを発揮してサリーを見逃す明智だが、実は彼女のほうが犯罪者として大物だったのではないかという気がしてくる。 レンジく活劇では主人公の危機一髪で終わり、次のエピソードでは拍子抜けするほど簡単に危機を脱するというのが常套手段だったらしい。 この作品でも同様なのだが、水野夫人の火あぶりのように無かったことにしてしまうのは、さすがにどうかと思う。 |
青銅の魔人