原題 ; STIR(1997) |
監督 ; ロディオン・ナハベトフ |
脚本 ; ロディオン・ナハベトフ、エリック・リー・ボワーズ |
音楽 ; キース・ビルダーベック |
出演 ; トレイシー・ローズ、アンドリュー・ヘックラー、トニー・トッド、カレン・ブラック |
未亡人とその息子が、亡夫の研究成果をめぐる陰謀に巻き込まれるサスペンス映画。 ケリー(トレイシー・ローズ)と生化学者ジョセフが結婚して6年。ジョセフは新婚旅行で泊まったウォルドーフ・ホテルに一人やって来た。 彼は、ここで研究を仕上げた直後に殺されてしまう。 そこにケリーとマシューの母子が泊まりに来る。死因は心臓発作で片付けられたが、彼女は事件の真相を調べようとしていた。 二人はおじのマイク(アンドリュー・ヘックラー)と合流する。 マシューは、530号室で死んでいる父、浴槽で死んでいるホテル従業員バッバ(トニー・トッド)の姿、自分が父親と紙飛行機を折っている思い出etc.を断片的に夢に見る。 マイクの紹介で、不安定なところのあるマシューをケスラー医師(カレン・ブラック)に診てもらうことにした。 ケスラーがマシューを眠らせる。マシューは父とマイクが研究している姿を夢に見た。 夢の中で父ジョセフは研究をまとめるために旅に出て、このホテルで殺されてしまう。 動揺して表に飛び出したマシューを、バッバが見つけて車に乗せる。 マイクは叔父さんと呼んでいるが、実際に血縁関係はなく、単なる夫妻の友人だった。 そのマイクは、ケスラーを仲買にしてロシアン・マフィアにジョセフの研究成果を売り渡そうとしていた。 マフィアのボスは用済みになったケスラーを射殺する。 ホテルの支配人(マイケル・J・ポラード)は、従業員のバッバがFBIの捜査員と知らされて驚いていた。 一方、マイクはロシアン・マフィアに研究を売り渡したことをケリーに告げ、研究成果を保存したディスクを渡すよう迫っていた。 ケリーがディスクの在り処を知らないと分かり、マイクは彼女を毒殺しようとする。 間一髪駆けつけたバッバがマイクを倒すが、油断して連絡しているところを起き上がったマイクに刺されてしまう。 逃げ出すケリーとマシュー。 そのころロシアン・マフィアは踏み込んだFBIに逮捕されていた。 廃ビルを逃げ回る二人。屋上に板を渡して隣のビルへと逃げる。 老朽化したビルの屋上が崩れ、ケリーとマシューは落下してしまう。マイクはさらに追うが、こぼれた毒薬が傷口から入り死んでしまう。 ビルを出るケリーとマシュー。ビルの爆破解体作業が始まり、一気に崩れ落ちていく。 バッバは病院に収容され、二人は帰途についた。 ケリーは、マシューがホテルから持ち出した枕の中にディスクが隠されているのを見つける。 こうしてジョセフの研究成果は全てケリーの手元に戻ったのだった。 過去や未来を夢に見る少年が登場。日本版ビデオはタイトルも含めてかなり「シックス・センス」を意識したものとなっている。ちなみにキャッチ・コピーは「この少年にも”それ”が見える」。 残念ながら出来ばえのほうは足元にも及ばない。 とにかく脚本が弱い。少年の夢も効果的にはストーリーに絡まないし、実際には出てこない場面の夢もある。 冒頭、ロシアン・マフィアがホテルの従業員を殺して死体を焼く場面がある。観客の疑惑をバッバに向けさせようとしたのだろうが、実際には捜査官という設定なので犯行自体が無意味になってしまっている。 また、ジョセフのもとにケリーを中傷する手紙が送りつけられていた、という話も出るが、尻切れトンボになっている。 町中でワン・カットだけトレイシー・ローズがサングラスを掛けているという編集ミスもあった。 ラストのビル爆破解体も唐突で無茶な印象を残す。 事件の根本をなす発明が、どれ程の価値なのかも明確にされないのも、見ていて盛り上がらない原因となっている。 B級サスペンスとしては、そこそこの顔ぶれなのだが、カレン・ブラックは中盤登場してあっさり殺されてしまうし、マイケル・J・ボラードは何の活躍もしない。二人とも小遣い稼ぎで数日の撮影に参加しただけなのだろう。 |