原題 ; SOMEONE'S WATCHING ME!(1978)
 監督 ; ジョン・カーペンター
 脚本 ; ジョン・カーペンター
 音楽 ; ハリー・サクマン
 出演 ; ローレン・ハットン、デヴィッド・バーニー、エイドリアン・バーボー
ジョン・カーペンター監督が出世作「ハロウィン」の同年に撮ったテレフューチャー。
必ずしも完成度は高くないが、いち早くストーカー問題を取り上げた作品ではある。
ロスのマンションに転居したテレビ・ディレクターのリー(ローレン・ハットン)は、早速仕事が見つかり、アシスタントのソフィー(エイドリアン・バーボー)とともに料理番組を担当する。
その日帰宅すると閉めたはずのドアが開いていた。
不審に思いながら入ったリーの背後を人影がよぎる。
リーは通路の様子を見ると誰もおらず気のせいかと安心するが、部屋にはすでに盗聴器が仕掛けられていた。
その後、無限旅行社という会社から送付するヒントから行き先を当てればヨーロッパ旅行に招待するという通知が届く。
また、リーはバーで哲学教授だというポール(デヴィッド・バーニー)と知り合う。
無限旅行社からヒントとして望遠鏡、ビキニが届き、それと前後してイタズラ電話がかかるよううになる。
エレベーターや電灯が異常な動作をすることもあった。
リーに相談されたポールが調べると無限旅行社は架空のものであることが分かった。
だが警察はイタズラ電話程度では動かない。
旅行の行く先を相談するので駐車場に降りてこいという怪しい電話がかかり、リーはナイフを持っておもむく。
リーは排水口の鉄格子にナイフを落としてしまう。
拾おうとしていると怪しい人影が現れ、リーは排水口に潜り込んでやり過ごす。
ポールと寝た翌朝、イタズラ電話が着ているものの話をしたことからリーは覗かれていることに気づく。
カーテンを閉めると、旅行社からあなたは失格したので抹殺しますという通知が届いた。
それでも警察は何かが起こるまで動きようがないという対応だった。
向かいのマンションの様子をうかがうリーたちは一台の望遠鏡を見つけた。
その部屋に住む男はパートの電気工でマンションの電気系統に細工することも可能だった。
今度は警察が動き、男は無罪を主張するが、街から退去させる処分が取られた。
ところが「直ちに抹殺手続き開始」の通知が届き、イタズラ電話もかかり続ける。
リーがさらに調べると別の部屋から覗く望遠鏡があった。
リーは、自室から望遠鏡で監視するソフィーとトランシーバーで連絡を取りながら、その部屋に侵入する。
部屋にはテープレコーダー、望遠鏡のほか、通話に関するメモがあった。
望遠鏡を覗くと確かにリーの部屋に向けられていた。自分の部屋では何者かがソフィーの背後に迫っていた。
トランシーバーから響くソフィーの悲鳴。リーが慌てて戻ると部屋はもぬけの空だった。
警察に通報して犯人部屋を捜索させるが、すでに機材は運び去られていた。
部屋の主は旅行中で、ソフィーの行方不明も予約した飛行便があったことから旅行と片付けられてしまった。
「誰もお前を信じない」リーの部屋には犯人からのメッセージが。
犯人からの電話に目まいがして倒れたリーは偶然盗聴器を発見する。
電気系統に細工できるのはビル・システムの監視を請け負っているスタイルズという男と判明した。
スタイルズは旅行中だが、ポールが調べるとスタイルズの管理するビルで若い女性の自殺が数件起きていた。
リーはスタイルズの自宅に侵入して、部屋から消えた機材や盗聴器のカタログを発見。
ポールに一時間後に警察で落ち合うことを連絡して「まだやることがある」とマンションに戻る。
部屋は電気系統が細工され電灯がつかない。机の上にはリー名義の遺書が置かれていた。
自殺に見せかけて殺そうと襲いかかるスタイルズ。
リーは、危うくビルから落とされそうになるが、割れた窓ガラスの破片でスタイルズの首筋を刺すことに成功。
ふらついたスタイルズはビルから墜落したのだった。
警察が動かないということはあるのだが、それにしても主人公の行動が無謀で不自然に見える。
犯行の方もソフィーの身代わりに誰か女を乗せたとか、単独犯にしては大掛かりで御都合主義に感じてしまう。なんで自分が見つかるかもしれないのに(実際見つかる)望遠鏡を送りつけたりするのかも不明。
ソフィーが襲われるシーンはデ・パルマ監督だったらバリバリのヒッチコック・タッチで迫ったところだろうが、カーペンター監督はあっさりとした演出ですましている。
余談=結局死体も見つからない気の毒な役を演じたエイドリアン・バーボーは、後にジョン・カーペンター監督と結婚・離婚することになるが、この作品が出会いではないかと思う。
姿なき脅迫