原題 ; TERROR EYES(1981)
 監督 ; ケン・ヒューズ
 脚本 ; ラス・アバーゴン
 音楽 ; ブラッド・フィーデル
 出演 ; レオナード・マン、レイチェル・ウォード、ドリュー・スナイダー
「NIGHT SCHOOL」の別題あり。
セクステット」「新ドミノ・ターゲット/恐るべき相互殺人」のケン・ヒューズ監督の遺作となったが、有終の美を飾ることは出来なかった。
名のある監督が演出したとは思えない緊張感に欠ける展開で、チープなスプラッター映画となっている。
夕暮れ時、ジャック&ジル保育園の前庭で保母助手のアンが黒いライダースーツの殺人鬼に殺される。
休日だった刑事ジャッド(レオナード・マン)が急きょ呼び出された。
死体は首が切断され、その首はゴミバケツに捨てられていた。
前の週に続き同じ手口で2度目の殺人事件だった。
ジャッドは、アンが夜学に通っていた大学を訪れ、友人キムから年上の恋人がいたことを聞き出す。
同じ学校に通うアジャイ(レイチェル・ウォード)は、近くのレストランで皿洗いをしているゲアリーにつきまとわれていた。
帰宅したアジャイがシャワーを浴びているとカーテン越しに迫ってくる男、という何千回目か分からない「サイコ」のパロディがあって、現れたのはミレット教授(ドリュー・スナイダー)。
二人は愛人関係にあった。
水族館バイト中のキムが第3の犠牲者となる。ナタのようなナイフで切り裂かれ、首が水槽に投げ込まれた。
ミレット教授のオフィスを訪れるジャッド刑事。生徒との関係を問いただすが、ミレットは否認する。口とは裏腹に、ミレットの正体は片っぱしから生徒と関係を結ぶ色魔だった。
妊娠したアジャイは結婚の話をするが、ミレットは当然とぼける。
次にレストランのウェイトレス・キャロルが殺され、首は流しのシンクに沈められていた。
変質者のゲアリーに嫌疑がかかる。だが、ジャッドには、ゲアリーが覗きに下着泥棒が精一杯の小物にしか思えない。
そのゲアリーが大学の学部長ヘレンの家に現れた。張り込み中のジャッドと相棒のタージが様子をうかがう。
家の中ではレズ関係を楽しんでいたヘレンが殺され、首はトイレの便器に入れられていた。それを発見したレズ相手も殺される。
物音にジャッドは踏み込むが、犯人はジャッドを突き飛ばしオートバイで走り去る。
犯人はゲアリーではなかった。
ミレットの家に現れた犯人がヘルメットを取るとアジャイだった。
驚くミレットに、アジャイは顔色も変えず、子供が生まれるのでミレットの過去を消す必要があったと言う。
警察がミレット邸に到着すると、オートバイが飛び出した。
追跡が開始され、包囲されたオートバイはパトカーに突っ込む。首の折れたライダーのヘルメットを取るとミレットだった。
ミレットの葬儀が行われ、参列帰りのアジャイをジャッドが見送るのだった。この場面は「第3の男」のラスト・シーンのパクリだが、メチャクチャ無理がある。
数日後、車に乗り込んだジャッドの後部座席から黒いヘルメットの男が襲いかかった。と思ったら相棒タージの冗談だった。って犯人野放しでアホなオチつけてどうする。
ミレットとアジャイが寝ていた同時刻に水族館の殺人が起きたように演出されていたりして、雑な印象が残る。
登場人物の描写も通り一遍で面白みがない。殺人の動機も説得力がないし、教授がいきなり身代わりになるのも不自然。
余談=レイチェル・ウォードは、この作品の後「シャーキーズ・マシーン」「カリブの熱い夜」で注目を集めるのだが、何だか2本だけで終わっちゃった人という印象が強い。今でも活動しているようなんだけど。
テラー・アイズ/恐るべき瞳