原題 ; THE ART OF DYING(1992)
 監督 ; ウィングス・ハウザー
 脚本 ; ジョセフ・メルヒ
 音楽 ; ジョン・ゴンザレス
 出演 ; ウィングス・ハウザー、キャスリーン・キンモント、マイケル・J・ポラード
ザ・モンスター」の悪役で強烈な印象を残したウィングス・ハウザーが監督主演した超ボンクラ・ポリスアクション。
ちなみにボディ・マニアも裸体監禁も出てこない。
冒頭からして夫婦喧嘩の仲裁に入った主人公のジャック刑事(ウィングス・ハウザー)が、相棒を刺した奥さんを窓から放り投げて殺すというとんでもない展開。
場面変わって「ディア・ハンター」を真似たロシアン・ルーレットの撮影シーン。銃には実弾が仕込まれており、俳優の青年は死亡。監督ロスコー(ゲイリー・ワーンツ)は素晴らしいと感激する。
ロスコーの手下ジェリーはタレントのスカウトに精を出すが、ジャックに妨害される。
ジャックは風俗で働いていた未成年の少女ジャネットを故郷に送り返す。彼が自宅に帰ると銃を構えた女が待ち構えていた。以前逮捕されて自殺した犯人の姉だという。実はお遊びで、その女は恋人のホリー(キャスリーン・キンモント)だった。
ジャネットは故郷に帰らず、うろうろしているところをジェリーに捕まってしまう。
ロスコーのスタジオでシャワーを浴びていたジャネットは「サイコ」の再現で惨殺される。
この間、ジャックはホリーとヤリ続けていた。ヤリ疲れて寝ているところを起こされてジャックが現場に向かうと、被害者はジャネットだった。
ジェリーがただのポン引きではないと察したジャックは、彼を捜し始める。
ジャックの同僚デルバート刑事(マイケル・J・ポラード)は鑑識結果から、犯人が映画関係者と推理するが、ジャックは鑑識結果など無視だ、と取り合わない。空前のボンクラぶりである。
次に二人の男がチェーンソー殺人場面の餌食となるが、ジャックは海岸でバーベキューしている。
首吊り殺人、手をナイフで突き刺して背後から絞殺ち続くが、ここらへんになると元ネタも分からない。
ようやくジャックはデルバートの意見を受け容れるが、やっぱりホリーといちゃついている。
捜査を開始したジャック(ただ町をぶらついているだけにしか見えない)は、たまたまジェリーを発見。走って追いかけるが、転んでしまう。ジェリーは車にはねられて死ぬ。
ジャックは、ジェリーを逮捕して、やってけたと事実とはまったく違う話をホリーにする。
事件解決と報告したのに殺人は続き、無能なジャックは休職処分。彼は黒人の上司を人種差別バカ呼ばわりする。どっちがバカか。
海岸で飲んだくれるジャックのもとに記者を装ったロスコーが現れる。何が目的だったのか分からずじまいだが、ここで彼はホリーに目を付ける。
不審に思ったジャックは、車のナンバーを調査、登録されている住所に向かう。彼はそこで新たな死体を発見した。
一方、ホリーは自宅で襲われ誘拐される。ロスコーからジャックへの招待状が残されていた。
指定の映画館に行くとホリーが「ジャンヌ・ダルク」の再現で磔にされていた。
ロスコーに脅され銃を捨てるジャック。ジャックの目前でホリーを火焙りにしようとするロスコー。なぜか足が縛られていなかったため、ホリーは自ら松明を蹴とばして窮地を脱出。
ビルの屋上にロスコーを追い詰めたジャックは、彼を蹴落として殺すのだった。
粗筋にするとコメディみたいだが、本人は大真面目に撮っている。
映画の名場面を模した殺人、というアイデアも腰くだけ。シャワールームのシーンなど、これまで無数に撮られた「サイコ」物まねの中でも特に気合の入らない出来栄え。後半になると元ネタすら分からなくなる。
これほど主人公がマヌケに見える刑事ドラマも珍しいのではないかと思う。結局、警察の捜査(捜査の場面自体が少ないが)が事件解決にほとんど役立っていなかったりする。
本人は捜査シーンよりもベッドシーンが演じたかったのかもしれない。
余談=「スーパーマン」シリーズのサラ・ダグラスが、主人公の同僚役で出演しているが、何の見せ場もない。署内の場面にしかでていないので、撮影1〜2日の小遣い稼ぎだったのではないかと思う。「スーパーマン冒険編」の悪役では強い印象を残したが結局ブレイクせず、この手の最低映画で時折顔を見る程度の女優になってしまった。
ボディ・マニア裸体監禁