原題 ; TIME TRAX(1993)
 監督 ; ルイス・ティーグ
 脚本 ; ハーヴ・ベネット
 音楽 ; ゲーリー・マクドナルド、ローリー・ストーン
 出演 ; デール・ミドキフ、ピーター・ドーナット、エリザベス・アレキサンダー、ミア・サラ
予算もアイディアも今ひとつ足りなかったSFドラマ。
1993年のワシントン、スミソニアン博物館女子トイレに現れた2193年の捜査官ダリアン・ランバート警部(デール・ミドキフ)。
彼は、母親に捨てられた過去を持つ少数民族の白人でIQ204と知能は平凡だったが、運動能力は優れていた。
2193年、犯罪者の失踪が相次ぎ、ダリアン警部はカード型の世界最小コンピューター・セルマ(エリザベス・アレキサンダー)とともに調査を開始する。
国連議会が開催される中、町に潜入した殺し屋セプ・ディートリッヒがスミソニアン博物館でリンカーン暗殺の銃を「盗んだことが判明。
ダリアンは会議場に向かうが議長は射殺されてしまう。
事件の影には天才科学者モーディカイ・サンビ博士(ピーター・ドーナット)がいた。
逮捕された殺し屋セプが監獄から消失。開発が中止されたはずの物質転送薬が残されていた。
誰かが物質転送と時間旅行を実用化したのか。
そんな時、サンビ博士の助手イリッサ・ノックス(ミア・サラ)がダリアンを訪問する。
イリッサはサンビ博士を疑っていた。ザンビ博士は、200年前の時代に一度だけ往復できる時間旅行を実現していた。
イリッサは警察に協力してサンビ博士が100人以上の犯罪者を過去に逃亡させたことを突き止める。
サンビ博士は自らも過去に行き支配者になることを計画していた。
一旦は逮捕されたサンビ博士だが、隙をついて過去に逃亡、巻き込まれたイリッサは死んでしまう。
イリッサと肉体関係を持っていたダリアンは彼女の遺言を守って過去に行き犯罪者たちを捕まえる決意をする。
1993年のアメリカでサンビ博士は仲間たちと要人を暗殺し権力を奪取する計画を進めていた。
というわけで冒頭の場面に戻りダリアンはイリッサ瓜二つの博物館職員アニー・ノックス(ミア・サラ二役)と出会う。
さっそくアニーとデートするダリアン。ニュースで大統領のハワイ訪問を知ったダリアンは、セプも暗殺のためハワイに向かったことを突き止めるが、慌ててレストランを飛び出したため車にはねられてしまう。ちょっとマヌケ。
アニーの看病で復活、改めてハワイに向かうダリアン。
下水道から大統領のセレモニー会場に忍び込んだダリアンはSPに逮捕される。
ダリアンが連れて行かれた先にはアニーがいた。彼女はFBI捜査官だった。
ダリアンはカー・アラームのリモコンに見せかけた銃でアニーを眠らせ脱出。
セプが大統領に近づいた瞬間、ダリアンは宙を飛んで妨害に成功、逃走したセプを海中まで追いかける。
セプを乗せるはずだったボートは暴走して座礁、ついでに爆発。
再び陸に戻った二人は、いきなり山中の断崖で対決、「ドラゴン世界を征く」みたいな場面転換に唖然としている間もなくセブを未来に送り返す。
アニー捜査官はダリアンを信用して逃がし、マスコミにはボートの爆発で死んだと発表する。
ダリアンはサンビ博士を追うため過去に残るのだった。
前半は悪くないのだが、後半は工夫が足りず普通の捜査物ドラマを未来兵器で安易な展開にしただけという印象を受けてしまった。
家庭教師風の中年女性としてホログラム投影される(捨てられた主人公が母性に憧れているためこの姿になったらしい)コンピューターのキャラは面白いのだが。
小物の殺し屋を片付けただけで終わるので1本の作品として見ると不満が残る。
実は長い間パイロット版のテレフューチャーで、この程度の出来ではシリーズ化されなかっただろうと思い続けていたのだが、今年になってBSフジで放送が始まった。
慌てて調べたところ本作はテレビ・シリーズの第一話スペシャルだったらしい。
何回か見てみたが小規模な犯罪が多く、コンピューターを除けば普通の探偵物とさほど変わらない。結局はリモコンで犯人を未来に送り返して終わりなので変化も乏しい。それでも人気があったのか2シーズン続いたようだ。
「レジェンド/光と闇の伝説」のミア・サラがゲスト出演しているのがちょっとポイント。
余談=ルイス・ティーグ監督は、スティーヴン・キング原作の「クジョー」から最新作「バミューダ呪われた財宝」まで決め手に欠ける凡作ばかり。強いていえばスティーヴン・キング原作のオムニバス「キャッツ・アイ」がちょっとマシか。
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