原題 ; UNDERWORLD(1996) |
監督 ; ロジャー・クリスチャン |
脚本 ; ラリー・ビショップ |
音楽 ; アンソニー・マリネリ |
出演 ; デニス・リアリー、ジョー・マンテーニャ、アベ・ヴィゴダ、トレイシー・ローズ |
父親を植物人間にされた男の復讐物語なのだが、スタイリッシュを気取った展開が大ハズレ。
訳の分からない作品になってしまった。
冒頭は倉庫とクラブでの虐殺。聖ヴァレンタイン・デーの虐殺みたいにホールド・アップした人間をマシンガンで皆殺しにする。この目的が仇の営業妨害だけというのだから、オープニングからデタラメ。登場人物の関係が明かされないままストーリーが進み、結局よく分からないまま終ってしまう。 フランク・ガヴィラン(ジョー・マンテーニャ)は、ジョニー・クラウン(デニス・リアリー)と名乗る男から覚えているかと言われるが思い出せない。 ジョニーが虐殺の犯人だった。彼はネッド・リンチ(ラリー・ビショップ)とリチャード・エセックスの二人を殺す予定だと言う。 ジョニーは、フランクをガールフレンドのドクター・リア(アナベラ・シオラ)、元妻のジュリアンの元に連れて行ったり、父親に会わせたりする。 彼はフランクから正体不明の男リチャード・エセックスの情報を聞き出したがっているらしいのだが、よく分からない。 その間にジョニーは、スタンという男を父親の仇として撃ち殺したりする。 一方、ジョニーの虐殺により商売を台無しにされたネッドは復讐を誓う。 ジョニーは、仲間の裏切りで重症を負った父の仇を討とうとしていた。ネッドは病院で昏睡状態のジョニーの父親を射殺する。 ジョニーとネッドは病院の駐車場で鉢合わせとなる。二人とも、そ知らぬ顔を決め込む。ネッドは、フランクの正体がリチャードかも知れないと忠告する。ここらへんの展開も不自然なのだが、よく考えると全編展開がおかしいって気もする。 その頃、酒場ではジョニーの企みで集められた6人の悪党が殺し合いを演じ、生き残ったのはフィル・フォックス一人だった。 アンダーワールドでジョニーとフランク、ネッドとフィルが対面する。ネッドは、フランクこそがリチャード・エセックスでジョニーの父親殺害を命令した男だと言う。 だが、フィルはネッドの言うことは嘘で命令を出したのはネッドだと言い出す。 四つ巴で銃を構える4人。生き残ったのはジョニーとフランクだった。ジョニーは、フランクことリチャードに銃を突きつけ、父親殺しに関わったかどうか問いただす。 フランクは逆に、ジョニーに真実を思い出せと言う。 二人は肩を組んで去っていくのだった。どうやら二人は幼馴染だったらしいのだが、それもよく分からない。 タイトルのアンダーワールドは、クライマックスの舞台となる元クラブみたいなガランとした廃屋。 ガイ・リッチー作品あたりだと、なるほどと唸らされて、もう一度見直したくなったりもするのだが、本作やアルバート・ピュン監督の「クレイジーシックス」となると、ただ消化不良でイライラさせられるだけ。
演出力の足りない監督はストレートな展開で作らないと悲惨な結果になるという見本だと思う。 余談=トレイシー・ローズが序盤で殺されるネッドの愛人のクラブ歌手役で出演している。カメオ出演といったところか。この時期トレイシー・ローズは歌手としてアルバムを発表している。そのためか「ヴァーチュオ・シティ」、本作と歌手役のカメオ出演が続いた。 |