原題 ; WACHO(1983)
 監督 ; グレイドン・クラーク
 脚本 ; ダナ・オルセン、マイケル・スパウンド、ジム・コウフ
 音楽 ; アーサー・ケンペル
 出演 ; ジョー・ドン・ベイカー、ステラ・スティーヴンス、ジョージ・ケネディ
最低監督として名高いグレイドン・クラーク監督の代表作。
テレビ、ヒッチコック劇場のテーマ曲を多用したパロディ版スプラッター映画。
決して決して上質な作品ではないが、ヒッチコックやデ・パルマ作品のオマージュといえなくもない。
ヒロインの恋人ノーマンのフル・ネームがノーマン・ベイツだったりして、けっこう凝った部分もある。
全体的には外したギャグの方が多いのだが、アイデアの出し惜しみをしていないので一応楽しめる作品となっている。
ジョー・ドン・ベイカー、ジョージ・ケネディ、ステラ・スティーヴンスという名のある俳優を起用しているが、凡庸な演技で成功とは言えない。
13年前、ハロウィンの日に姉パムをカボチャ頭の「芝刈り機殺人鬼」に殺されたメアリ(ジュリア・ダフィー)。
父親ドクター・グレーブス(ジョージ・ケネディ)は娘の部屋を覗いては「芝を刈っていただけだ」と言い訳をする産婦人科医。メスの代わりにナタを使って手術したりする。このドクターは単なる本名で、実は無免許医、父の名前はナース・グレーブスだったりする。
ちなみにメアリの弟はダミアン、額に666と書き込んでる場面もある。
一方、看護婦殺人事件が起こり出動した刑事ハービンジャー(ジョー・ドン・ベイカー)は13年ぶりに殺人鬼が復活したのではないかと疑う。
ハービンジャーは、13年前の事件から不眠症にかかり、夜は酒を飲み続けていた。毎年ハロウインが近づくと殺人鬼の復活だと騒いでヒンシュクを買っている。
メアリの恋人ノーマン(スコット・マッギンズ)は、興奮すると芝刈り機のような唸り声を出す奇癖の持ち主。
メアリの通うアルフレッド・ヒッチコック高校では、デ・パルマ高校とのフットボール試合が迫っていた。
いよいよ試合当日、選手たちは生物学教師ドクター・モローの作った野獣パワーの血清を注射して試合に臨む。獣人に変身する選手たち、しんがりには白い布を被ったエレファント・マンが続く。
ハロウィン当日、ノーマンは、グレーブス家の夕食に招かれ、ミイラとなった母親ベイツ夫人も連れくる。
母親グレーブス夫人(ステラ・スティーヴンス)同伴でハロウィン・パーティに向かうメアリとノーマン。
途中、ノーマンはグレーブス夫人を橋から落としていく。
パーティ中の学園にカボチャ男が現れ、教頭とメアリの親友バンビが犠牲となる。
次の犠牲者は食堂でいちゃついていたロージーとトニーだった。
バンビを捜しに出たメアリはカボチャ男に襲われる。国旗の竿を突き刺してもカボチャ男は死なず、メアリは教頭室に逃げ込む。
教頭は死んでいたが、部屋にあった猟銃で反撃、でも死なない。
カボチャ男はメアリをパーティ会場まで追ってきて力尽き倒れる。
カボチャを取ると犯人はハービンジャー。殺人鬼の復活を主張しても誰も聞いてくれないので、信じさせようと殺人事件を起こしたのだ。
事件が終わり、ノーマンの結婚したメアリ。だが、ノーマンの腹を食い破ってミニチュア芝刈り機が出現する悪夢に悩まされ続けるのだった。これはデ・パルマ監督お馴染みエンディングのパロディー。
グレーブスが芝刈り機を押して新婚夫婦の寝室を覗きに来る。「芝を刈っているだけだ」
なぜか芝刈り機に、こだわった作品ではある。
余談=ジョー・ドン・ベイカーは、「ウォーキング・トール」シリーズでアメリカの正義を演じ人気を博した。その後パッとしなかったが、一時期007シリーズにレギュラー出演していた。
ステラ・スティーヴンスは「砂漠の流れ者」と「ポセイドン・アドベンチャー」があるので一流女優のように思えるが、それ以外は殆んどがB級映画。クレオパトラ・ジョーンズとかワンダー・ウーマンとか、正義のヒロインとキャット・ファイトして負ける悪役が多かった気がする。
ジョージ・ケネディは「暴力脱獄」でアカデミー助演男優賞を受賞、「エアポート」シリーズにもレギュラー出演して頼りになる男を演じたが、大失敗作「エアポート80」でシリーズが終了した頃から最低映画界の住人となった。小遣い稼ぎで出ているのか、演技も凡庸になった気がする。
でも、お年にめげず3人とも現役で活動している。たいしたものだと思う。(日本に紹介される作品は少ないのだが)
死霊のかぼちゃ/13回目のハロウイン