ムービー・マンスリー2005年5月
英語完全征服
正統派ラヴコメ。字幕、吹出しからアニメまで交えて楽しませてくれる。ヒロインは、日本でいえば市川実日子のキャラか。溌剌としたところが魅力。クライマックスの地下鉄の場面が、もたついてスマートに決まらなかったのが残念ではあるが、ストーリーもきちんとまとまった好編。韓国ではエルビスを「エルビスゥー」と語尾で鼻に抜ける発音をすることを知った。
レジェンド三蔵法師の秘宝
三蔵法師の遺骨にたどり着けるのは、究極の技を持つ曲芸師だけ、という冒険映画。ミシェル・ヨーの新作ということで期待したのだが、残念なことにテンポが良くない。ストーリーは単純なのだから、もう少し短く編集した方が良かったと思う。悪役もインパクトに欠け、クライマックスも盛り上がらない。それでも、それなりに楽しませてくれるのが香港アクションの良いところではあるが、ミシェル・ヨー主演でなければ劇場公開されない作品という気がする。
シングルス
韓国製のトレンディドラマ。やっぱり多少泥臭い部分もあるが、なかなか魅力的な作品に仕上がっている。30才を目前に恋も仕事も不調というヒロインを軸に、3人の男女の転換期を描いていく。ひょろっとした感じのチャン・ジニョンが、韓国の今(実態は知らないので、あくまで雰囲気ということではあるが)を感じさせるヒロイン像を作り上げている。恋は後回しにして友情と仕事を選ぶのも興味深かった。
品行ゼロ
韓国製の不良学生物ラヴコメ。優等生のイム・ウンギョン(靴のかかとを踏んでペタペタ歩く姿が可愛い)とスケバンのコン・ヒョジン、二人のヒロインは良いのだが、肝心な主人公がピンとこない。あまりカッコ良くないし、強そうにも見えない。男気を感じさせないのが致命的。アナログレコードの時代らしいので20年くらい前が舞台だと思うのだが、こだわりは感じなかった。これだったら織田裕二と江口洋介の「湘南爆走族」の方がはるかに面白い。
阿修羅城の瞳
滝田洋二郎監督の「陰陽師」シリーズに次ぐ伝奇時代劇。奔放なアイディアの舞台劇を原作にダイナミックな映像が展開する。キャスティングも舞台に負けず劣らず魅力的で、なかなか楽しめる作品に仕上がっている。ただ、ストーリーをかなりはしょったため、多少大味な印象。特に渡り巫女については殆ど説明されていないため、単なる旅の泥棒一座にしか見えない。クライマックスも瀕死の主人公が次の場面で完全復活していたりする。もう少し上映時間が長くなっても、じっくり描き込んだ方が大作として充実したのではないかと思う。
コックリさん
「友引忌」「ボイス」とホラーにこだわる監督の新作。さすがに恐怖描写は手慣れたものなのだが、ストーリーは支離滅裂。コックリさんで呼び出された怨霊の話と、リーインカーネーションの話とが入り乱れて、収拾がつかなくなっている。ヒロインは美少女なんだけど、大きすぎるくらいの黒目をギョロリとさせる表情はなかなか恐い。ただし、この目をむいた顔は多用し過ぎで、仕舞いには食傷気味になってしまう。それにしても目つきの悪いのがウリの名子役って、どうなのだろうか。
ハイド・アンド・シーク暗闇のかくれんぼ
青白い顔色で目の周りに隈を作ったダコタ・ファニングが、楳図かずおの恐怖漫画に出てくるヒロインのようで、雰囲気を盛り上げる。えらく年の離れた親子なので、何か出生の秘密が、と思ったが考えすぎだった。脇を固める女優陣も良い配役だと思う。演出や音楽もムードがあってイギリスやヨーロッパのサスペンス・ホラーを思わせる。残念なのは、事件の真相が序盤で見当ついてしまうこと。周囲に怪しげな人物を配するとか脚本に少し工夫してほしかった。主人公が心理学者に見えないのも難点。
人生の逆転
冴えない証券マンの主人公が、パラレルワールドで国民的人気ゴルファーになっている自分と入れ替わるというロマンチック・コメディー。主人公を演じるキム・スンウの二枚目半ぶりも良かったが、これまでホラー映画でしか見たことのなかったハ・ジォンのヒロインぶりが鮮やかで感心した。韓国映画には時空を超えたメロドラマが、けっこう多い気がする。これまで見たその手の作品は、なんだか湿った展開ばかりだったが、今回はカラリとした味わいで楽しかった。
Shall We Dance?
演技者としては一番達者なスーザン・サランドンが妻役ということもあって、家族の描写が増え、夫婦の絆を前面に押し出したのが成功している。オリジナル版のテーマともいえたダンスにおけるパートナーシップというドラマの陰影部分を切り捨てたため、味わい深さには欠けてしまったが、ハリウッドらしいスマートな娯楽作に仕上がっている。はまり役のリチャード・ギアは身のこなしも軽やかで、初心者に見せるのが一苦労だったろうと思う。
レモニー・スニケットの世にも不幸な出来事
家族向けのファンタジー映画ながら、ダークで沈んだトーンに統一された異色作。セットやCGを含め、映像的には凝っており、完成度も高い。一流の役者たちによる怪演も見物だが、やはり子役にはかなわない。暗い雰囲気が災いしたか、ジム・キャリー作品としては「グリンチ」ような大ヒットにはならなかった。いっそカルト映画の線を狙った方が正解だったかもしれない。オルフ伯爵なんて「ロッキー・ホラー・ショー」のキャラっぽいし。全体的には見所も多いし悪くないのだが、娯楽作としては弾みに欠けてしまった気もする。エンド・クレジットもなかなか凝っているが、ちょっと長すぎに感じた。
炎のメモリアル
身を挺して人命救助に尽くす消防士の生きざまを描いた力作。派手な見せ場はなく地味な印象ではあるが、ヒロイックな描写を極力廃しながら、ヒロイズムを描いたというふうに感じた。主人公3人も良いのだが、性格は悪いが現場では頼りになるヴェテランを、すっかりオヤジになったロバート・パトリックが好演している。ハリウッド調のハッピーエンドにしていないところが渋かった。
オー!ブラザーズ
ウダウダ暮らしているチンピラと、早老症で12才なのに外見は大人という腹違いの弟との交流を描いたハート・ウォーミング・ストーリー。弟役は、もう少しオヤジ顔の方が効果的だったように思えたが、あどけない表情も必要なので難しいところ。人捜しが捜査場面なしでいきなり見つかっていたり、悪徳刑事のエピソードが大ざっぱであっけなかったり、細かい部分は適当だが、気楽に楽しめるし、後味が良いのが魅力だった。
セックス・イズ・ゼロ
下品なギャグ満載の韓国製バカ大バクハツ映画。主人公を始めとしてオヤジ顔の大学生ばかりなのが悲しい、と思ったら、主人公は兵役を終えて入学した28才という説明があって納得した。(軍隊行って30近くなって、こんなバカやっててどうする、という気もするが)超がつくオバカだが、純情一筋というのは、昔ハナ肇が得意としたキャラクターみたいで懐かしくもあった。主人公は武道(らしきもの)同好会の所属だが、技といわずネタと呼ぶあたり限りなく電撃ネットワークっぽかったりする。ハ・ジォンも魅力的だし、見ている間は楽しませてくれる作品。
イン・ザ・プール
昔なつかしいナンセンス・コメディという言葉を思い出した作品。慢性勃起症、強迫神経症、プール依存症。それぞれの登場人物が生活に破綻をきたしていく有様が気の毒にも可笑しい。対する医師と看護婦は本気で治療に取り組んでいるようには、まるっきり見えない。脇の登場人物も一風変わっていて、現代人少しくらいヘンなのは当り前で、どのように生活と折り合いをつけていくかだと感じた。涼しい表情で起ちっぱなしのオダギリジョー、のほほんとした役が多い市川美和子の神経症ぶりが特に可笑しかった。見逃してしまったが原作の続編は阿部寛主演でテレビ化されていた。同じヒゲ面でも本作の松尾スズキとは随分雰囲気が違う。ビデオが出たら見てみたい作品。