雑記帳(2004)
12/31 今年最後に観た映画(ビデオ)は「ダミー」。
「戦場のピアニスト」のエイドリアン・ブロディが突然一念発起して会社を辞職、腹話術氏を目指す風変わりな青年を演じるロマンチック・コメディ。
ミラ・ジョボヴィッチが歌手を目指す友人役で出演。ちょびっと歌声も聞かせてくれる。
ヒロインのヴェラ・ファーミガも良い。
登場人物は皆変人なんだけど、魅力的に描かれている。
なかなか味のある作品で楽しめた。
12/15
先日レンタルで見た「ピース・ピープル」。
平和な人々かと思ったら、ヘアピース(カツラ)のセールス合戦を描いたコメディだった。
監督は「レインマン」のバリー・レヴィンソン。どちらかというと実力派の俳優を集めて演技力で見せてしまうタイプの作品を得意とする。無名俳優が揃った今回は、ちょっとキツいか。
主人公二人に魅力が欠けるのも難点。
ストーリーにアイルランド解放戦線、カトリック、プロテスタントの確執が絡んでいることも、個人的には分かりづらかった。
ストレスで脱毛症にかかった兵士たちにカツラを高値で売りつけて荒稼ぎするラストも笑えなかった。
11/3 今週は姉の飼っている小型の老犬二匹を預かっているのだが、そのうち一匹の雑種は特に細くて軽量。クッションに戦いを挑んで引っかき、勝利を確信したところで上に乗って寝る。弾力の強いクッション相手では軽いため、はね返されてしまい勝利できずに、すごすごと去っていく。
10/24 「エクスプロイテーション映画」
エクスプロイテーションは搾取、利用という意味の言葉です。
映画では、話題作りだけして観客を集められれば作品の出来なんてどうでもいい、といった考え方を指すようです。
第一に「有名スターの親戚を引っ張り出す」という手があります。
全くの素人だったショーン・コネリーの弟、ニール・コネリーを主役の祭り上げた「ドクター・コネリー/キッドブラザー作戦」が有名です。
以前紹介したブルース・スプリングスティーンの妹とマーティン・シーンの娘共演の「レディ・ジェイソン/地獄のキャンプ」なんか典型的です。
こうしてデビューして本人を超えちゃった珍しい例がジュリア・ロバーツで、彼女は人気スターだった兄エリック・ロバーツの撮影を見に来ててスカウトされたそうです。
有名人に低額のギャラで1、2日撮影に付き合ってもらい、ほんのちょっと顔を出させ、あたかも準主役級で出演しているかのように宣伝しちゃうという手もあります。カメオ出演という奴ですね。
場合によっては主役に見せかけてしまったりもします。そのうち紹介する予定の「イントレピッド」は数シーンしか登場しないジェームズ・コバーンがトップにキャスティングされています。
ちょっと違うけどオールスターの顔見せ大作なんか、この発想の延長線にあります。「キャノンボール」シリーズが代表ですね。
低予算早撮りを得意とするジェームズ・グリッケンハウス監督は「ザ・ソルジャー」のとき、適当に撮影を進めて余った予算でクラウス・キンスキーの出演シーンを1場面追加、映画にハクがついたと喜んでいました。
ヒット作をパクっちゃうというのもよくある手で、香港、イタリアが得意としました。
「ジョーズ」がヒットしたときはサメや熊が襲ってくる映画が山ほど作られました。
凝り性のジェームズ・キャメロンが「アビス」を撮ったときは、本物の公開前にまねっこの低予算海洋映画が何本も先行公開されてしまったそうです。
芸術映画も例外ではなく、低予算で撮って映画祭の賞を狙い荒稼ぎするケースが多いとか。自称インテリ層をカモにするわけです。
まあ、映画に見世物的な面白さは必要ですし、どんな良心的な監督でも大赤字では次が撮れません。
話題作りの仕掛けそのものが悪いというわけではない気もします。
要は出来上がった作品が面白ければいいのですが、残念なことに志が低ければ出来も最低というのがほとんどです。それでも個人的には東京竹の家のネタにもなるし出来の悪い子供なりの可愛さというのも感じます。でも年に1,2本しか映画を観ない人がこんなのにぶち当たったら不幸のドン底です。
「映画秘宝」には究極のエクスプロイテーションというのも紹介されていて、それは「映画を作らない」、つまり適当な企画をぶち上げて出資を募り、会社を潰してしまうというもの。こうなると完全に詐欺行為です。実際にカンヌ映画祭で各国に権利を売った後でセールス会社が夜逃げした事件もあったそうです。いやはや。
10/15 先日、稲垣吾郎版金田一耕助の「八つ墓村」を観た。
原作は連続殺人のミステリーに地下迷宮の冒険、宝探し、ラヴロマンスを織り込み、横溝正史作品中でも特にエンタテインメント性の高い内容となっている。
横溝正史再評価も、少年マガジンにコミック版「八つ墓村」が連載されたことがきっかけ。この劇画の人気に後押しされるかたちで講談社が横溝正史全集を刊行した。この作品がなかったら金田一耕助も忘れ去られていたかもしれない。
映像化作品の中には1時間枠に無理矢理収めたテレビドラマなんてのもあった。
野村芳太郎監督の「八つ墓村」は原作の娯楽要素を全て無視したうえ鬼女とコウモリの群れが暴れる珍作。市川昆監督作品もピンと来ない出来だった。
今回の作品は制約の多いテレビドラマという事で無理をせずに作ったことが、かえって功を奏したか、比較的原作の持ち味を生かした出来栄えとなった。
ところで原作にはヒロインが二人登場する。
娯楽作品として、途中でヒロインが死んでは寂しいという作者のサービス精神の表れなのかもしれない。
ドラマ構成が複雑になるためか、これまで観た映像化作品では、どれも死ぬほうのヒロイン一人しか登場しない。
その方が横溝正史作品らしいドロドロした雰囲気が出るのだろうが、一作くらいもう一人のヒロインとの恋と冒険をメインにノーテンキな「八つ墓村」が登場してもいいんじゃないかと思う。
10/5 最近混乱していることは、大好きなハリー・ベリーの名前について。最初はハル・ベリーと呼ばれていたのが、本当の発音はハリー・ベリーが近く、だから日本人はダメなんだとか大騒ぎして一時期ハリー・ベリーに統一されているようだった。ところが最近の「キャットウーマン」なんかの表記はハル・ベリーに戻ってしまった。いったいどっちが正しいのだろうか。個人的には分かればどっちでもいいという気もするのだが。そういえば「ナイト・オブ・コメット」に出演していたキャサリン・メアリー・スチュアートもメリーと書かれている場合がある。もしかしたら実はマリーかもしれないとか迷ったりして、なかなか難しい。
4/19 ようやく東京竹の家も2年目に突入しました。
アクセス頂いている方々には、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今後も是非よろしくお願いします。
1年間のアクセス数は約3100。人気のサイトなら1日で達成してしまいそうな数字ですが、それでも予想以上の数字です。誰も検索しなさそうなマイナー映画ばかり紹介しているわりには、まあまあではないでしょうか。
新企画として月一回25日更新の予定でサントラ盤紹介のコーナーを作ってみます。また、第一土曜日に更新していた「ムービー・マンスリー」は5日の更新にします。
暫定的な面もあり変更の可能性もありますが、その際は何卒御容赦ください。
3/14 最近、文芸名作のダイジェスト本がベスト・セラーになっているとか。まあ、活字離れした人たちが手っ取り早く楽しみたいということもあるのだろうが、文芸名作が意外と入手しにくくなっているという実情もあるのだと思う。ただ、いずれにしても、それだけで作品の評価が決められてしまうというのは不安も感じる。私の最も好きな小説の一つにデュマの「ダルタニヤン物語」があり、この作品も現在は高価なハード・カバーでしか入手できない。とはいえ絢爛たる3部作の面白さがダイジェストで伝わるとも思えない。「東京竹の家」も、ストーリー紹介に力をいれ、結末まで書いている。これも現在DVD化されておらず、見るチャンスの比較的少ない作品を中心に掲載しているためで、サワリだけ教えて結末は内緒、と言うのではかえって不親切になると思ったからだ。でも、「東京竹の家」で紹介しているのは概要にすぎないし、本当に面白い作品はストーリーを知っていても楽しめる。このホームページで興味を持った作品があって、見る機会があったら、ぜひ本編に接してもらいたいと願っている。
2/15 先週はマーク・トウゥエインの「不思議な少年」を読んだ。マーク・トウェインの作品は、これまで「トム・ソーヤ」シリーズと「アーサー王宮廷のヤンキー」しか読んだ事がなく、皮肉な視点は持っていても基本的にはおおらかでユーモラスな作家、という印象だったので、この作品は衝撃だった。晩年ペシミズムに捕らわれたということも今回初めて知った。そういえばSF小説の祖ともいえるジュール・ヴェルヌも晩年はペシミズムに陥っていたらしい。1590年のオーストリアを舞台に主人公テオドールが天使サタンと出会う、という物語だが、全編に宗教不信と厭世観が満ちている。サタンの行動は、人間が幸せになるには早く死ぬか発狂するしかないという考えから発していて、テオドールもこの考えに(反発するときもあるが)共鳴していき、ついには世界そのものが幻であったとなっていく。ちょっとやりきれない内容なのたが、大量殺戮兵器でエスカレートしていく戦争についての記述など、1916年に書かれたとは思えない見事な洞察を見せている。終盤に人間の100人に99人は正しい心を持っているのだが、ほんの一握りの悪しき声の大きい存在に操られてしまう、という記述があった。このあたりに、まだ人間に対する希望を汲み取ることが出来きるようなS気がする。
1/27 先日の大阪国際女子マラソンは、予想外のスロー・ペースな試合でした。2時間25分を超えたので、アテネ代表の決定は先送りかと思いましたが、坂本直子が内定のようです。そうなると、最後の一人はやっぱり高橋尚子に決めて、アテネでは2人で1,2位を独占。スポーツ新聞の見出しは「これがホントの坂本Q」、とか。
1/4 とりあえず4日間の更新が無事終了して一安心です。まあ、たいしたボリュームではないのですが。年末は、何かとバタバタして予定したほど原稿書きが進みませんでした。今年も相変わらずの自転車操業になりそうです。
1/2 トップページの更新履歴が、うっとおしくなってきたのでリストにまとめました。紹介作品も90本を超え、100本まであと一息です。今のところジェームズ・コバーン出演作以外は未DVD化にこだわっていますが、いつまでこの方針が続くかは未定です。けっこうネタはあるので当分はこのままと考えています。
1/1 あけましておめでとうございます。今年も「東京竹の家」をよろしくお願いします。1月1日から4日間連続の更新という予定ですが、先ず元旦は通常の作品紹介です。少しおめでたい気分を、ということで比較的知名度の高い作品を紹介してみました。膨大といってもいいくらいのタイトル数がDVDでリリースされていますが、意外な名作がもれていたりします。景気はよくなってほしいけど、DVDの価格はもっと下がってほしいと思う今日この頃です。