原題 ; CRY OF THE BANSHEE(1970) |
監督 ; ゴードン・ヘスラー |
脚本 ; ティム・ケリー、クリストファー・ウィッキング |
音楽 ; レス・バクスター |
出演 ; ヴィンセント・プライス、ヒュー・グリフィス、ヒラリー・ヘス、カール・リグ |
ヴィンセント・プライスを主演に、邪教の女教祖に呪いをかけられた一族の末路を描いたオカルト映画。 森の奥で薄衣をまとった男女が儀式を行い、それを村人たちが監視している。 村人たちのリーダーは領主のエドワード・ホイットマン卿(ヴィンセント・プライス)。 信者たちに騎馬の兵士が襲いかかる。逃げる者は撃ち殺し、固まっている者たちは網をかけて刺し殺す。 さすがに見かねたのか、エドワード卿は女教祖ウーナら生き残りを追放にして、惨殺をやめさせる。 ウーナは深夜に儀式を始め、エドワード卿と家族に悪魔の呪いをかけた。悪魔が遣わした復讐者の青年を送り込むのだ。 エドワード卿は異教徒の賄い婦をしたマーガレットを尋問し、焼印を押したうえ街を引き回してムチ打ち、断頭台にかけてさらし首にした。 そこに羊飼いが、夜な夜な現れる悪魔の犬が羊を襲うと言って、死骸を持ってくる。 エドワード卿が宴を開いていると、二人の異教徒が連れてこられた。若い姉弟である。 後添いのパトリシアが止めるのも聞かず、エドワード卿は、男に笛を吹かせ、女をテーブルに上げて躍らせる。 エドワード卿が弟を刺し殺した。逆上した姉はフォークでエドワード卿の首を傷つけ、エドワード卿の部下に撃ち殺される。 パトリシアは人殺しとののしるが、エドワード卿や義理の息子ショーンは「後添いなどすぐに代わりが見つかる」と相手にしない。 外からは獣の雄叫びが聞こえ、迷信深い者はバンシーの叫びだという。エドワード卿は野犬の鳴き声にすぎないとかたずける。 その夜、ショーンは、パトリシアを押し倒し関係を持つ。 一方、墓守のマッキー(ヒュー・グリフィス)は、処刑された異教徒の死体から金品を奪っている。 旅に出ていたエドワード卿の長男ハリー(カール・リグ)が新任の神父を連れて戻ってきた。 エドワード卿の娘モーリーン(ヒラリー・ヘス)はロドリック(パトリック・モウワー)と恋をしている。 ロドリックは昔パトリシアが森で拾った若者で、彼女の世話係だった。 ある日、村の少女が野犬に襲われる。通りかかったロドリックがなだめると犬はおとなしくなり、少女は助かった。 居合わせた神父はロドリックのつけているメダルが気になる。 モーリーンはロドリックの寝室に忍んで行き、セックスする。ウーナは復讐者として送り込んだロドリックを思うように操ることができずず、やきもきしていた。 エドワード卿は、ハリーがホイットマン家の本当の息子ではないのだと言う。 酒場に現れたショーンと取り巻きは、まじないの品を売っている女マギーを見つけ服をはいで脅す。 マギーはウーナに関する情報を漏らした。 野犬狩りに出たショーンは、何かに襲われて命を落とす。一人目の復讐が終わり、ウーナはショーンに見立てた人形を火に放り込む。 ショーンの葬儀が行われる。エドワード卿は、自分たちに呪いがかけられていることを感じ取っていた。 兵士を使って本格的な野犬狩りが行われ、ハリーが黒犬を撃ち殺す。 ホイットマン家では祝いの宴が開催される。犬は魔物ではなく、呪いなどなかったのだとエドワード卿は安心した。 だが、吊るされた犬の首を見たパトリシアは錯乱し、この家の人間は呪われていると叫びだす。 エドワード卿はパトリシアこそ悪魔の使いだと思い込む。彼はマギーを拷問にかける。 ハリーは拷問をやめさせようとしてエドワード卿の手下を殺してしまう。 マギーはウーナの居所を話し始めるが、火に生まれ火とともに死ぬと言い残して息絶えた。 ウーナは儀式を続け、パトリシアの人形に針を突き刺す。彼女は屋敷の中で人型の獣に襲われて死ぬ。 ハリーと神父は墓地で人影を見つける。その人影が消えたあたりを探すと、空の棺があった。 棺の底には地下へと続く階段がある。二人が降りると、袋を担いだマッキーがいた。墓荒しをしていたのだ。 エドワード卿はウーナを捕まえようと、兵士、村人総動員で山狩りを開始する。ウーナの居場所を知っていると告発された女が火あぶりの犠牲となった。 モーリーンとベッドを共にしているロドリックを見つけたエドワード卿は、彼を地下室に鎖で吊るさせる。 その頃、ウーナはモーリーンに呪いをかけていた。 モーリーンは怪物に襲われる。 ハリーと神父は儀式の場所に辿り着く。 神父が儀式の場に飛び出し祈りを捧げ始めた。お前の神は無力だ、ウーナは言い切る。ロドリックがエドワードの一族を皆殺しにするのだ、と。 それを聞いたハリーはウーナの喉を掻き切った。 復讐からは何も生まれない。それでも復讐するのだ、ウーナは言い残す。 一行がホイットマン家に戻ると、ロドリックの姿はなく、モーリーンが気絶していた。 エドワード卿は、ロドリックを探して再び山狩りに出る。 一人残ったモーリーンにロドリックが声をかける。呪いは解けた。一緒に逃げよう。 モーリーンが扉を開けると、そこには元通りのロードリックがいた。二人は屋敷を抜け出そうとする。 だが、エドワード卿が現れるとロドリックは変身して襲いかかる。モーリーンは銃でロードリックを撃ち殺した。 絶叫するモーリーン。 エドワード卿は、呪いは解けた。こんな家は出ていこう、とモーリーンをなだめる。 馬車で出発する途中、エドワード卿は墓地に立ち寄った。ロドリックの死体を確認しようというのだ。 マッキーが棺の蓋を外すと中は空だった。奴はまだ生きている。怯えて馬車に戻るエドワード卿。 モーリーンとハリーは座席に座ったまま殺されていた。 馬車が走りだす。御者もすでに殺されており、手綱(たづな)を握っているのはロドリックである。エドワード卿を乗せた馬車は、何処へともなく走り続けていくのだった。 冒頭で領主か信者を虐殺しながら、一番の脅威である女教祖を見逃してやる、という展開にご都合主義を感じた。 それ以外は地味ながら、わりと良く出来た作品だと思う。 「呪われた棺」と「シンドバッド黄金の航海」くらいしか目ぼしい作品のないゴードン・ヘスラー監督だけれど、手堅い演出を見せている。 ヴィンセント・プライスは冷酷な領主を見事に演じきっているし、一族の退廃ぶりも上手く表現されていた。 バンシーっていうのは、ややこじつけっぽいが。 |