原題 ; CRAZE(1972) |
監督 ; フレディ・フランシス |
脚本 ; エイベン・カンデル、ハーマン・コーエン |
音楽 ; ジョン・スコット |
出演 ; ジャック・パランス、ダイアナ・ドース、トレヴァー・ハワード、マーティン・ポッター |
「シェーン」の迫力のある殺し屋ぶりが印象強いジャック・パランスが狂信的ないけにえ殺人鬼を演じたサイコ・スリラー。 「THE INFERNAL IDOL」「DEMON MASTER」の別タイトルあり。 ニール・モトラム(ジャック・パランス)は邪神チュクを崇拝する集団の教祖。 セミヌードの女信者が自ら腹を裂いていけにえとなる。 ニールを除名された巫女ミュリエルが訪ねてくる。ニールと言い合いになり、もみあったはずみに彼女の喉に神像の槍が刺さり死んでしまう。 ニールの表の顔は骨董商だが、自転車操業の状態らしい。 ミュリエルの死体が見つかったとべラミー警視(トレヴァー・ハワード)とウォール警部(マイケル・ジェイストン)がやって来た。 ニールはチュクに祈りを捧げているのを聞きつけた使用人のロニー(マーティン・ポッター)は、いけにえ殺人を知る。 店にあったチェストの隠し引き出しに金貨が隠されたいるのを見つけたニールは、チュクの御利益だと大喜び。この出来事をきっかけにロニーも信者の仲間入り。 ニールは観光客のヘレナを引っかけ、ベッドで楽しんだ後でチュク像の前に連れていく。気味悪がって逃げようとするヘレナを気絶させ、ボイラーで生きたまま焼き殺す。 ニールは嫌がるロニーに手伝わせて死体を始末する。 不良在庫だった明朝の壺が高値で売れ、ニールはこれもチュクのおかげだと言いだす。 ヘレンの死体が見つかる。高価な指輪をつけたままだったので、ウォール警部は物盗りではないとにらむ。 ニールは昔の恋人ドリー・ニューマン(ダイアナ・ドース)が経営する宿屋に泊まる。 ドリーに睡眠薬入りのブランデーを飲ませ、眠ったところでニールは抜け出す。 ルイーズ叔母さんの家に行ったニールが怪物のゴムマスクをかぶって脅すと叔母さんは心臓麻痺で死亡。ニールはチュクに捧げるとナイフを突き立てる。 昼近くにドリーが目を覚ますと、横にいたニールは忘れられぬ夜だったと言って出ていく。 ニールはルイーズ殺人事件でべラミー警視に呼び出される。叔母の死を聞いても冷静なニールに警視は不信感を抱く。 ウォール警部は、ドリーと寝ていたというニールのアリバイを確かめに行く。ニールが3年ぶりに突然現れたというドリーの話を聞いて、ウォール警部はニールこそ殺人犯と見抜いた。 事務弁護士(ヒュー・グリフィス)がルイーズの遺言書を公開する。財産の大半はニールのものとなった。 警察はニールのアルバイを調べるが、崩せなかった。ウォール警部は再びドリーと面会する。 ドリーは前につきあったときニールに惹かれたが、黒魔術を信仰する彼が不気味で別れたのだという。 ウォール警部はニールの黒ミサを覗き見する。だが、黒魔術崇拝だけでは殺人の証拠にならない。 次にウォールはロニーを尋問する。ロニーはすっかりビビってしまう。 ロニーは遺産を処分すれば、店などやめて好きなだけ旅行できると主張するが、ニールにいけにえ殺人をやめる気はない。 ニールは風俗マッサージ嬢のサリー(スージー・ケンドール)に偽名で予約を入れる。 警察はニールとロニーを尾行していた。気づいたニールは警察をまいてからサリーの部屋を訪ねる。彼女の部屋にはSM用具も用意されていた。キスしながらサリーを絞め殺す。 酔って帰ったロニーは良心の呵責に耐えきれず、チュク像を叩き壊そうとする。戻って来たニールともみあいになった。 ニールはロニーを窓から放り出すと、チュニ像に助けを求める。 騒ぎを聞きつけた警察が踏み込んでいく。斧を手に暴れるニールを、ウォール警部が銃撃した。 「これが最後のいけにえだ」負傷したニールは自らチュクの槍を喉に突き立てて息絶えるのだった。 Imdbではホラー・コメディに分類されている。商売が少し上手くいくと邪神の御利益にしてしまう主人公の姿は確かに滑稽(こっけい)ではあるが、狙って作ったギャグはない。 主演のジャック・パランスを始め、「第三の男」にも出たベテラン脇役のトレヴァー・ハワード、B級作への出演も多いが「ベン・ハー」や「おしゃれ泥棒」でも印象的だったヒュー・グリフィス、B級ホラーの出演作が多いダイアナ・ドース+スージー・ケンドールと、顔ぶれは作品内容のわりには揃っている。 監督が「テラー博士の恐怖」「帰って来たドラキュラ」を撮ったホラー映画のベテラン、フレディ・フランシスであるためかもしれない。残念ながら演出のほうはイマイチ冴えがない。 ジャック・パランスも主人公の狂気を十分に表現したとはいえないし、ほとんど一人で行動している主人公に二度の集会シーンだけ信者がいるのも疑問。 警察の捜査も中途半端なままクライマックスを迎えてしまう。脚本が雑なこともあって盛り上がらずに終わってしまう。 |