原題 ; THE GOLDEN VOYAGE OF SINBAD(1973) |
監督 ; ゴードン・ヘスラー |
脚本 ; ブライアン・クレメンス |
音楽 ; ミクロス・ローザ |
出演 ; ジョン・フィリップ・ロー、キャロライン・マンロー、トム・ベイカー |
レイ・ハリーハウゼン特撮によるシンドバッド物の第2作。 シンドバッド(ジョン・フィリップ・ロー)の一行は、空を飛ぶ魔物から黄金のプレートを手に入れた。 迷信深い船員は悪魔のものだから捨てるようにと進言するが、シンドバッドは聞き入れず、それを自分の首に掛けてしまう。 船は嵐で航路を外れ、マラビアへと到着した。 上陸したシンドバッドの首にかかるプレートを見とがめた黒衣の男が、それは私の使者が盗まれた物だから返せと言う。 シンドバッドは抵抗して逃げ出す。男は街で悪魔の王子と怖れられるクーラ(トム・ベイカー)だった。 シンドバッドは城下に逃げ込みサルタンに保護される。 サルタンは仮面をかぶっており、奇跡の秘密に至る二つの鍵を所有していた。 その一つは壁画だった。秘密を解こうとしたサルタンは、クーラの魔法で攻撃され顔を焼かれてしまったのだ。 もう一つはプレートだった。それはシンドバッドが手に入れた物と組み合わせることが出来た。しかしまだパーツが足りない。 シンドバッドは壁画にプレートの影を投影すると海図になることを発見する。 二人の会話はクーラの使い魔によって筒抜けになっていた。 双方が船を仕立てて、海図で示された島へと出航する。 シンドバッドの船には商人ハキムから預かった息子のハロインと、手に目の刺青をした奴隷のマリアンナ(キャロライン・マンロー)も乗船していた。 海図が示す島は、上陸して戻った者がいないと伝えられる幻の島レムリアだった。 クーラの追跡に気づいたシンドバッドは、霧の海域を通ってまこうと計画する。 クーラは魔術でシンドバッドの船に舳先に飾られた船首像を動かし、船員を襲わせ海図を奪い取ろうとする。 シンドバッドは火で対抗するが、逃げられてしまう。 クーラは魔力の使い過ぎで消耗し顔も老いてしまったが、海図を入手することが出来た。 シンドバッドはレムリアに到着。 一方、クーラは新たな使い魔を創り出し、シンドバッドを捜させる。 上陸したシンドバッドたちは多面像のある神殿を見つけた。番人に二枚のプレートを見せる。 番人が呪文を唱えて井戸に身を投げた。すると炎の中に全知の預言者が浮かび上がり、秘密を解く謎を教える。 第3のプレートは北方の地にあった。多くの手を持った女神が守る異教徒の神殿に存在するというのだ。 クーラが神殿を爆破したため、シンドバッドたちは閉じ込められてしまう。 シンドバッドは皆のターバンと帯でロープを作り、かがり火の台座を矢にして打ち、天井の穴に引っ掛ける。 シンドバッドがロープを登ると使い魔が邪魔してくる。ハロインが見事に矢で射落とした。 脱出したシンドバッド一行は、クーラたちの後を追って島の北へと向かう。 異教徒の原住民たちに連れられ神殿へと入ったクーラは、魔術を使いカーリ像を動かす。ひれ伏す原住民。 クーラは原住民を追い出すとプレートを捜しにかかる。 追いついたシンドバッド一行も神殿の中に入っていく。 クーラはカーリ像にシンドバッドを攻撃させる。 六本の手に六本の剣。さすがのシンドバッドも押されぎみ。部下たちが加勢するが、歯が立たない。 だが、ハロインが体当たりして突き落とし砕くことに成功した。その中から3枚目のプレートが出てきた。 クーラが率いる原住民たちが襲いかかる。奪ったプレートを組み合わせると、プレートを持って運命の泉を訪れた者には若返りと富と王冠が与えられるというメッセージが読み取れた。 さっそくクーラは泉に向かう。 シンドバッドは原住民に処刑されそうになる。手を広げて止めようとするマリアンナ。 その手の刺青を見た原住民は、、マリアンナを魔神の仲間と思い込み、ケンタウルスに生贄として捧げようとする。 ケンタウルスの姿に気を失って連れ去られるマリアンナ。 サルタンが仮面を取って焼け爛(ただ)れた顔を見せた。一行は原住民がひるんだすきに脱出してケンタウルスを追う。 しわだらけになったクーラは、ついに運命の泉にと辿り着いたが、力尽き倒れてプレートを泉に落としてしまう。 シンドバッドはマリアンナを見つけた。彼女さえ助かれば、財宝がクーラに手に落ちても後悔はなかった。 シンドバッドも泉に着く。クーラは若返っていた。 ケンタウルスがシンドバッドに襲いかかる。そこにグリフォンが現われ、ケンタウルスと闘い始める。 クーラがグリフォンを斬りつけ、戦いはケンタウルスの勝利に終わった。 シンドバッドたちに襲いかかるケンタウルス。シンドバッドはケンタウルスの背中に飛び乗り、短剣でメッタ刺しにして倒した。 剣を交えるシンドバッドとクーラ。クーラはかざす者を透明にする暗黒の盾で姿を消して攻撃する。 クーラはシンドバッドに止めを刺そうとするが、滝の乱反射で姿が半透明に見えてしまう。 シンドバッドの剣がクーラを貫く。クーラは泉の中へと落ちていった。 泉の中を覗き込んだシンドバッドとマリアンナは、王となったシンドバッドの姿を見る。しかし二人は口をつぐみ、浮かんできた王冠をサルタンに渡す。 サルタンが王冠をかぶると、仮面は消え去り顔が元通りになっていた。 なぜ王位と財宝を取らなかったのかを問うマリアンナに、シンドバッドは俺は自由を選ぶと答えるのだった。 シンドバッドを演じた三人の中で、今回のジョン・フィリップ・ローが一番二枚目。 キャロライン・マンローは他の作品のヒロインとはタイプの異なる野性派。 ということでアクセントのあるキャスティングになっている。 権力や財宝よりも自由を選ぶラストも、正統派の冒険者らしくて格好良い。 「7回目の航海」を初めて見たときほどのインパクトはなかったものの、なかなか完成度の高い作品だと思う。 最大の見せ場は、六本の剣で攻撃してくる戦いの女神カーリ像。 バリバリと背中部分の木材をはがして動き出す船首像も迫力あった。 「ベン・ハー」など大作史劇を多く手掛けたミクロス・ローザによる厚みのあり音楽も魅力の一つだと思う。 |