原題 ; IT CAME FROM BENEATH THE SEA(1955) |
監督 ; ロバート・ゴードン |
脚本 ; ジョージ・ワーシング・イエーツ、ハル・スミス |
音楽 ; ミッシャ・バカライニコフ |
出演 ; ケネス・トビー、フェイス・ドマーグ、イアン・キース、ドナルド・カーティス |
深海に棲んでいた巨大なタコが襲ってくる、B級怪獣映画。 特撮のレイ・ハリーハウゼンの比較的初期作品で、初めて製作のチャールズ・H・シニアと組んだ。 最新式の原子力潜水艦が巨大な物体と遭遇、戦闘態勢に入る。 放射能が検出され、海域からの脱出を図るが、艦は動かない。 ダイバー二人に異物を爆破させて何とか浮上、帰還した。 表向きに事件は単なる衝突事故として処理され、舵に絡まっていたゴム状の物体を調査するために三人の専門家が徴集される。 マシューズ艦長(ケネス・トビー)、ジョイス博士(フェイス・ドマーグ)、カーター教授(ドナルド・カーティス)だった。 物体は生物の一部のようである。13日後、生物の正体が判明。 翌日、チェイス海軍次官とノーマン提督に巨大なタコであるという結論が報告された。 水爆実験の放射能に侵された巨大なタコが、餌となる魚が放射能を感知して逃げてしまうため餌にありつけなくなり、餌を求めて移動したのだ。 だが、海軍のお偉方は、この説を信じない。 一方では巨大ダコに襲われて貨物船が沈没する。 研究チームは解散となる予定だったが、貨物船の沈没との関連を確かめるため延期された。 生存者の一人は巨大な触手が船を海に引きずり込んだと証言する。 面倒を恐れた他の生存者は何も見ていないと言い、証言した男も、内容をくつがえしてしまう。 ジョイスは身分を隠して男と接触し、巨大なタコを見たことを聞き出す。 北太平洋が封鎖され海軍が出動する。 タコの行方はつかめず、カナダ沖で気象観測船が消息を絶ち、アメリカ北西部では不漁が起きた。 さらにオレゴンの入江では母子が行方不明となる事件が発生する。マシューズとジョイスが現場を捜査、砂浜で巨大な吸盤の跡を見つけた。 夜になってカーター教授も合流、そこに巨大ダコが現れ地元の保安官が犠牲となる。 アメリカの海岸線は封鎖され、海中には機雷が配置された。 サンフランシスコに対策本部が設置される。金門橋には侵入防止のネットが張られて高圧電流を流す準備もされた。 タコは高速で移動するため、一撃で倒す必要がある。 ジョイスの発案で、銛(もり)のように刺さって抜けなくなる特殊弾頭が開発された。 タコはついにサンフランシスコに現れ、金門橋の橋げたを登り始める。高圧電流による攻撃で凶暴化したらしい。 カーター教授が電源を切りに向かい、高圧電流を切ることには成功したが、車を潰されてしまう。 マシューズが車を走らせ、カーターを救出。タコは海中へと姿を消した。 沿岸では住民の避難が開始される。そこにタコが再び姿を現した。逃げ惑う群衆。 原子力潜水艦が出動したが、攻撃するにはタコを海に追い返す必要がある。 軍が火炎放射器による攻撃でタコを海に戻した。そこに原潜から特殊弾頭の魚雷を撃ち込む。 しかし、原潜はタコの触手に捕えられてしまった。タコに放させるため、マシューズがプラスチック爆弾を持って潜水服で海中に出る。 触手を爆発させるが急所ではなかったらしく失敗。マシューズは爆発のショックで意識を失ってしまう。 次に出たカーターが急所の爆破に成功。タコは原潜を離した。 副官が魚雷の起爆を決行。タコは木端微塵となる。マシューズとカーターも無事海面に姿を現した。 後日、三人は再会を約束してそれぞれの仕事に戻っていくのだった。 allcinema onlineのよると日本では41分の短縮版で公開されたらしい。 主人公たちの活動や恋愛模様が中途半端で会話もぎこちなく、ドラマ部分は確かに出来が悪い。カットした気持ちも分からないではない。 映像特典として日本公開版も収録してほしかった気がする。 主役のケネス・トビーは、1953年に製作されたレイ・ハリーハウゼンの出世作「原子怪獣現る」にも出演している。 「OK牧場の決斗」や「ハウリング」などバイプレイヤーとしては息が長かったようなのだが、残念ながら演技で印象に残る作品はない。 ヒロイン役のフェイス・ドマーグは「宇宙水爆戦」が代表作。その後は作品に恵まれず、B級ホラー「サイコ・シスターズ」などに出ている。 放射能を原因とする怪獣映画だが、巨大化したのではなく、生態系への影響によって深海生物が襲ってきたというアイデアは、なかなか面白い。 タコは移動が速いので、一撃で仕留めなければならない、とか何度も言うわりにはクライマックスでは一撃で仕留められない。 わざわざ水中に追い返して攻撃するが、動きの鈍い地上でナパーム攻撃かなんかした方が手っ取り早い気がする。 原潜を活躍させたかったのだろうが、無理を感じさせる展開だった。最期もなんだかあっけない。 タコは6本足で作られているとのことだが、観ていて全く気にならないように演出されているのは良かった。 作品自体はB級以下だが、金門橋をタコが這い上っていくシーンはなかなかの名場面だと思う。 |