SF巨大生物の島
 原題 ; MYSTERIOUS ISLAND(1961)
 監督 ; サイ・エンドフィールド
 脚本 ; ジョン・プレブル、ダニエル・ウルマン、クレイン・ウィルバー
 音楽 ; バーナード・ハーマン
 出演 ; マイケル・クレイグ、ジョーン・グリーンウッド、マイケル・カラン、ゲイリー・メリル
ジュール・ヴェルヌが「海底二万哩」のネモ船長を再登場させた「神秘の島」の映像化。
1865年南北戦争のヴァージニア州リッチモンド包囲戦。砲撃は南軍刑務所に及んだ。
混乱に乗じて捕虜のサイラス・ハーディング大尉(マイケル・クレイグ)とその部下ネブ、ハーバート(マイケル・カラン)たちは南軍の制服を奪い、気球で脱出する。
北軍の従軍記者ギデオン・スピレット(ゲイリー・メリル)、捕虜となった南軍のペンクロフト軍曹も乗っていた。
気球は嵐で流され、ようやく下が見えた時には海上に出ていた。気球を降下させたところ、バルブが壊れて落下し始める。ハーディングが登って、なんとかバルブを閉めた。
気球に穴があき落下し始める。荷物は全て落としたが止めることができない。
島が見えてきたので一行はロープにぶら下がって、気球のゴンドラ部分を切り落とす。
途中でハーディングが海に落ちて行方不明となる。
煙が見えたので駆けつけると、焚火の脇でハーディングが気を失っていた。火を起こしたのは誰なのか分からない。
島の裏側には間欠泉があった。砂浜を歩いていると、突然砂が盛り上がる。
姿を現したのは巨大なカニ。ネブが挟まれて持ち上げられた。
ハーディングたちはカニにロープをかけ、手製のヤリで攻撃する。ヤリで突いてひっくり返し、ネブを助け出す。
カニを間欠泉に突き落とし茹でてしまう。美味しいカニで一行は腹を満たす。
岩山でヤギの群れを見つけ、何頭か捕まえた。島の周囲に陸地は見えない。
そこに一隻のボートが漂流してきた。生存者はレディ・フェアチャイルド(ジョーン・グリーンウッド)と姪のエレナ(ベス・ローガン)だった。
岩壁の中腹に洞窟を見つけ、ハーディングが登って調査する。中には人のいた痕跡が残されていた。大尉はイグアナに怯えたりして意外と小心。
奥には人骨があった。見つかった日誌によると、骨の主はトマス・アーストン。百年以上前、海賊に捕まり、島に置き去りにされたのだった。
ハーディングたちも、その洞窟に住むことにする。
木を切り倒し、脱出用の船も作り始めた。
ある日、大きな箱が漂着する。中に銃、羅針盤に海図から工具に料理道具まで必要な物が詰め込まれていた。
この道具で島の位置を割り出すことができた。
ライフルにはノーチラスという刻印がある。ノーチラス号はネモ船長の潜水艦。8年前にメキシコ湾で沈没したはずだった。
釣りをしていたスピレットが巨大な鳥に襲われる。鳥はエレナに襲いかかった。ハーバートが飛び乗って首にしがみつき、ナイフを刺す。
ついに鳥は力尽きた。これまた美味な料理となった。体内から銃弾が出てくる。鳥は何者かの銃撃により死んだらしい。
エレナはハーバートと結婚したがっている。レディ・フェアチャイルドは急いで結婚することには反対だった。
ある日、ハーバートとエレナは蜂蜜が流れ出しているのを見つける。洞窟を探すと、壁一面の巨大なハチの巣があった。
そこに巨大なハチが戻ってきてしまう。巣穴の一つに潜って防戦していると、ハチは穴をふさいでしまった。
海上に帆船が見えたが、ハーディングは慎重な態度を取る。
ハーバートはハチを撃退しようと草を燃やし始めた。
望遠鏡で見ると帆船は海賊旗を掲げていた。見つかれば最後だ。一行は戦闘準備を始めた。
ハーバートとエレナは煙の中を脱出に成功。地底湖の岸に落ちると。そこには潜水艦が停泊していた。
ノーチラス号である。二人は乗り込んでいく。声をかけるが無人だった。
潮が引いて外海へと続く出口が見えてきた。二人は泳いで外海に出る。
一方、浜辺では3人の海賊がボートで島へと渡ってきていた。ハーディングたちは隠れていたのだが、レディ・フェアチャイルドが銃につまづき暴発させてしまう。
銃撃戦が始まり、二人の海賊を撃ち殺す。海賊船が砲撃を開始。ハーディングたちにはなすすべがない。
その時、海賊船は爆発を起こし沈んでしまった。
ハーバートとエレナは海中から潜水服の男が上がってくるのを見つけた。
威風堂々とした白髪の男はネモ船長と名乗る。焚き火をたいたのも鳥を撃ったのも彼だった。
スピレットは8年前にネモ船長の記事を書いたことがあった。
ノーチラス号は航行不能の状態で島からの脱出はできない。
ネモ船長は他人と接触するたびに失望してきたので、身を隠していたという。だが、今回はハーディングたちの行動に感心し、力を借りる決心をしたのだ。
島の火山が噴火寸前であり、船長は島そのものが海中に没すると考えていた。
ネモ船長は沈めたばかりの海賊船を使う気だった。
巨大な動物たちは、戦争をなくそうと考えたネモ船長の研究成果だった。この発明で飢餓や経済競争をなくそうというのだ。
研究成果を運ぶには大型船が必要となる。ネモ船長にとってハーディングたちが作っているボートでは不十分だった。
ネモ船長は竹の筒で海賊船に空気を送り込み浮上させる計画を立てる。そのためには空気が漏れないように海賊船を密閉しなければならない。
ハーディングは計画に懐疑的ではあったが、作業に協力することにした。彼らは巨大な貝で作った潜水服で海中作業をする。
海底には古代都市の遺跡もあった。火山が噴火すれば遺跡も失われてしまうだろう。
あと一日で作業が完了するというとき、ついに火山が噴火を始めた。
ネモ船長たちは一旦噴火が治まることを祈り、ノーチラス号に避難する。
さすがのネモ船長にも打つ手がない。そのとき、ハーディングがひらめいた。
気球を船内に入れて空気を送り込めば、海賊船が密閉されていなくても浮上するのではないか。
ネモ船長も、そのアイデアに賭けることにした。
山頂では溶岩が流れ始めている。
海中で作業していると、巨大なアンモナイトが襲ってきた。ペンクロフトが触手に巻きつかれてしまう。
ハーディングはなんとか光線銃で撃退する。
ノーチラス号に残ったネモ船長がポンプを起動。気球がふくらみ、海賊船が浮上し始める。
だが、洞窟が崩れ始めてしまった。ネモ船長は脱出しようとハッチを開けるが、岩が落下してきて外には出られない。
振動でノーチラス号の鉄骨が崩れ落ち、ネモ船長は下敷きになって死んでしまう。ついでノーチラス号が爆発した。
なすすべもなく船上から島の最後を見つめるハーディングたち。彼らはネモ船長の遺志を継ぎ世界平和のために働くことを誓うのだった。
編集されたテレビ放映で見たので、ノーカット版は今回初めて見た。
ネモ船長再登場が魅力の作品だが、製作側には思い入れが少なかったのか、かなりあっさりと死んでしまう。
「神秘の島」は読んでいないのだが、「海底二万哩」におけるネモ船長は謎に包まれた復讐者として描かれていた。
今回は人間に失望しつつも世界平和のために尽力する科学者というキャラクターになっている。
食料問題だけで戦争がなくなるとは思えないけど。
本作の魅力は、やっぱりレイ・ハリーハウゼンのストップモーション・アニメによる巨大生物。
特に本物のカニの殻を組んで作ったという巨大カニは秀逸(しゅういつ)。さすがにリアルだし、茹でガニになっちゃうのも笑えた。
傑作というわけではないが、軽い娯楽作に仕上がっており、劇場未公開に終ったのは残念。
ストーリーは基本的にラストまで
紹介してあります。
この作品はDVDが発売されているので
鑑賞が可能です。御注意ください。