原題 ; THE PLAGUE OF THE ZOMBIES(1966) |
監督 ; ジョン・ギリング |
脚本 ; ピーター・ブライアン |
音楽 ; ジェームズ・バーナード |
出演 ; アンドレ・モレル、ダイアン・クレア、ブルック・ウィリアムズ、ジョン・カーソン |
ハマープロには珍しいゾンビ映画。ロメロ作品以降主流となった伝染性のあるリヴィンク・デッドではなく、ブードゥー教の呪術によって作り出されたゾンビが描かれている。 不気味な儀式が行われ、粘土の人形に血がふりかけられる場面で映画は始まる。 コーンウォール地方で謎の伝染病が流行り、ピーター・トンプソン医師(ブルック・ウィリアムズ)は恩師ジェームズ・フォーブス教授(アンドレ・モレル)に助力を求める。 フォーブスは娘のシルヴィア(ダイアン・クレア)を伴い、田舎の村へと向かう。 村に着いた二人は、いきなり葬式に出くわす。 ピーターの妻アリス(ジャクリーン・ピアース)はシルヴィアの旧友だった。アリスは手首に包帯を巻いている。 村では12人の死者が出ていた。ピーターが病気の正体を突き止められずにいるため、彼をなじる村人もいた。 村人が遺体の解剖を拒むことも原因がつかめない一因でもある。 村は地主のクライヴ・ハミルトン(ジョン・カーソン)が支配していた。 フォーブスは今日埋められた死体を、無許可で掘り返す決意を固める。 一方、アリスは夜更けになると夢遊病者にように出て行ってしまう。気づいたシルヴィアが追っていく。 シルヴィアは昼間狐狩りをしていた騎馬のチンピラたちに連れ去られる。 チンピラどもはカードで順番を決めて輪姦しようとする。そこに入って来た中年男がチンピラのリーダーを張り倒して追い出す。 中年男はハミルトンだった。彼は地主の名誉のため、シルヴィアに口止めする。 チンピラのリーダー、デンバーはハミルトンの手下だった。 ハミルトン邸からの帰途、シルヴィアはアリスの死体を抱えた怪人に出くわす。怪人は死体を放り投げて姿を消した。 フォーブスとピーターは墓を掘り返すが、二人の警官に見つかってしまう。 棺は空だった。フォーブスは原因究明のため警官に協力を求める。家族を今回の病気で亡くしている警官は48時間報告を遅らせると約束した。 シルヴィアはピーターの家に辿り着いたところで倒れ込んだ。 妻の死を悲しむピーターにフォーブスは死体の解剖を申し込む。なぜか死体には死後硬直が起きていなかった。 アリスの死体付近で酔って寝込んでいたマルティナスが逮捕される。彼は埋葬した兄が歩いているのを見たという。 解剖の結果、フォーブスは何もつきとめられなかった。 マルティナスの証言を聞いたフォーブスは、シルヴィアを問いつめ、目撃した怪人が埋葬された男だったことを突きとめる。 フォーブスはピーター、巡査とともにシルヴィアが事件に遭遇した採掘場に向かう。 ハミルトン邸には幽霊が出るという噂があった。 シルヴィアが留守番をしてると、ハミルトンがアリスのお悔やみを告げに来る。 ハミルトンはわざとグラスを落として割り、シルヴィアが指を切るように仕向ける。彼はこっそりとシルヴィアの血液を持ち帰った。 アリスの葬儀が行われる。時を同じくして血の儀式が再び行われていた。 フォーブスは牧師に頼み黒魔術について書かれた書籍を借りる。彼はカリブ島のハイチで信仰されるブードゥー教をつきとめた。 シルヴィアが見たのはブードゥー教の呪術による歩く死体、ゾンビなのだ。 アリスにも同様の呪いがかけられているに違いない。フォーブスらは交代で墓地を見張ることにした。 白いローブに仮面をつけた男が牧師を襲撃、騒ぎの最中に同様の扮装をした男たちがアリスの墓を暴く。 フォーブスとピーターが駆けつけたため死体は無事だった。二人の目の前でアリスが目を開き歩き出す。 フォーブスはスコップで首をはね、アリスを止める。ショックを受けたピーターは墓地の死体が次々と地中から蘇り、襲ってくる悪夢を見た。 巡査の協力で墓を暴くと棺はどれも空だった。フォーブスはマルティナスに面会しようとするが、留置場から姿を消していた。 前日、ハミルトンが現れてマルティナスに面会したという。そのときも彼はグラスを割っていた。 フォーブスはピーターにシルヴィアを見張るよう頼んで外出する。 ハミルトンが犯人と見抜いたフォーブスは、地主と面会し問いつめる。追い返されてしまうが、夜中に窓から侵入した。 鉱山ではハミルトンの手下どもが鞭をふるい、ゾンビたちを働かせていた。 ハミルトンが儀式を始めるとシルヴィアの様子がおかしくなる。彼女はピーターに水を取りに行かせ、その隙に家を抜け出す。 フォーブスはハミルトンの家で呪術用の粘土人形を見つけて持ち出す。手下に襲われ格闘となりナイフで刺し殺す。 だが、格闘の最中に火事が起き、フォーブスは燃える屋敷に閉じ込められてしまう。 一方、鉱山に気を失ったシルヴィアが連れ込まれていた。 フォーブスは運よくハミルトンの召使が入って来たので炎上する屋敷を出ることができた。 坑道のゾンビが煙を上げ始める。ハミルトン邸に残された粘土人形が燃え始めたのだ。 儀式を始めたハミルトンが短剣を振り上げる。刃がシルヴィアめがけて振り下ろされる寸前、ピーターが駆けつけた。 そこに火のついたゾンビが現れる。逃げまどう人間たち。 フォーブスがエレベーターで坑道に降りてきた。ピーターとシルヴィアは、そのエレベーターに乗って脱出する。 取り残されたハミルトンにゾンビが襲いかかる。 炎に包まれる坑道。脱出した三人の目前でゾンビも悪党も呑み込んで坑道は崩れ落ちるのだった。 この作品のゾンビは、食事も賃金もいらない便利な労働力としてこき使われる気の毒な存在で、邦題とは異なって血を吸ったりはしない。 どちらかというとサスペンス色の濃い作りで、ゾンビの暴れる場面は少なめだが、アリスの死体を抱えたゾンビが現れる場面や多数のゾンビが襲い掛かる悪夢の描写は、なかなか良い効果をあげている。 アリスがゾンビ化していくメイクも、当時としては怖かったのだろう。 今見ると少々地味な印象ではあるが、ジェームズ・バーナードによる音楽も含めて、ハマー映画らしい魅力を感じさせる仕上がりになっている。 |