原題 ; PSYCHO SISTERS(1972) |
監督 ; レジナルド・ル・ボーグ |
脚本 ; トニー・クレチェイルズ |
音楽 ; ジョニー・ペイト |
出演 ; スーザン・ストラスバーグ、フェイス・ドマーグ、シドニー・チャップリン |
リー・ストラスバーグの娘で「女優志願」が代表作のスーザン・ストラスバーグと「宇宙水爆戦」のフェイス・ドマーグが姉妹を演じたサイコ・サスペンス。 「SO EVIL、MY SISTER」の別タイトルあり。 一人の男(シドニー・チャップリン)が自動車事故で死亡する場面から始まる。このオープニングで男が殺人を覚悟したようなモノローグが流れるのだが、意味不明。 一方、ヘイズ警部はバイクで逃走するブロックを追跡していた。ブロックは私立探偵で事件を起こし逃亡している。 廃ビルに追いつめられたブロックが発砲。銃撃戦となって撃たれた彼は、ウォルトンがスタンレーを告訴しようとしたと言い残して死ぬ。 スタンレーに雇われたブロックは、ウォルトンとの交渉にあたったが、もみあいになって死なせてしまったらしい。このウォルトンがどういう人物かも不明。 冒頭の事故で死んだ男がスタンレーだった。スタンレーの妻ブレンダ(スーザン・ストラスバーグ)は警官から知らせを受け、姉のミリー(フェイス・ドマーグ)とともに警察に行く。 焼けただれた死体を見てブレンダは気絶してしまう。 スタンレーはミリーの管財人をして、彼女の財産20万ドルを横領していた。ミリーは妹を傷つけたくないと横領事件の訴訟に同意しない。 ヘイズ警部は事件の捜査続行を決める。 ミリーは神経症の治療を受けており、副作用のある薬を服用していた。 ブレンダが海岸で日光浴していると、ヘイズの部下ジェリーがサーファーのふりをして声をかけてくる。 ブレンダが悪夢から目覚めると、見知らぬメガネの男が入り込んでいた。彼女は表に飛び出してミリーに助けを求める。二人で家に戻ると男はミリーが雑役婦として雇っているウッディだった。 翌日もジェリーはブレンダに声をかける。ヘイズはブレンダを疑っているのだ。 ミリーはブレンダの飲み物に薬を盛っていた。 ブレンダは夫の声を幻聴したりする。ミリーは肉体は滅んでも魂は永遠に生き続けるのだと説明する。 夜中に庭でウッディが何者かに襲われて怪我をした。その直後、ジェリーが車が故障したと言って懐中電灯を借りに来る。 ミリーはウッディにジェリーが怪しいので見張るようにと命令した。 ブレンダが気を失う。服用している薬を怪しんだジェリーはこっそり持ち出す。 ジェリーを待っていた刑事のビルが何者かにロープで首を絞められる。ジェリーが来たので犯人は逃げ出すが、結局ビルが撃ち殺されてしまう。 このあたり画面が暗くて、何が起きたのかセリフで説明されるまでよく分からない。 ブレンダは海岸で出会った夫の顔が突然ぐちゃぐちゃな死体に代わる悪夢で目を覚ます。今度はベッドを蛇が這いまわる幻覚に襲われて絶叫する。 うなされたブレンダは介抱しようとしたミリーの首を絞め、我にかえって謝る。 ミリーはブレンダが自殺する恐れがあるから外に出さないようウッディに命じて病院に行く。医者にブレンダの異常行動を訴えて入院させるよう頼むが、医者は必要ないと判断する。 ブレンダはカミソリで喉を切ったふりをしてウッディを動揺させ、その隙に家を抜け出した。 ブレンダを探していて、海岸でジェリーに尋問されたウッディは激昂してジェリーを殴り気絶させる。 その頃、ミリーは海岸でウッディの死体を見つけていた。驚いて家に帰ると、ブレンダは自分を閉じ込めた罰があたったのだと平然としている。 血のついたミリーがシャワーを浴びているとスタンレーの死体が襲ってきた。発作を起こして意識不明になったミリーは救急車で運ばれていく。 ブレンダはミリーの財産70万ドルを自由にできると喜んでいた。傍らにはスタンレーの姿がある。 死体のゴムマスクでミリーを脅していたのだ。 ジェリーは監視を続けていた。スタンレー夫婦が高跳びする前にカタをつけなければならない。彼は家に乗り込んでブレンダを問いつめる。そこに銃を構えたスタンレーが現れた。 ウッディはスタンレーの顔を見てしまったため殺された。スタンレーは行きずりのヒッチハイカーを身代わりにしたが、目の色が違ったために警察が気づいたのだ。 スタンレーはジェリーを気絶させ車に詰め込む。パトカーが到着する前に二人は2台の車に分乗して出て行ってしまう。 スタンレーはジェリーを始末しようと車を崖っぷちに止める。そこで意識が戻ったジェリーはスタンレーと格闘を始めた。倒れたはずみに運転席に飛び込んだスタンレーは車ごと崖から墜落。 車は炎上してスタンレーはゴムマスクと同じ焼死体になり果てた。ブレンダの絶叫がこだまする。 ブレンダは廃人同様で車いすの身となった。ミリーはブレンダを心配して自分の鎮静剤をこっそり分け与えていただけだった。 医者にすすめられてミリーはリオにバカンスに行くことにするのだった。 監督のレジナルド・ル・ボーグは40年代からホラー、サスペンスを撮っているベテランだが、代表作はない。残念なことに本作の演出も凡庸。 そのうえ脚本が弱い。序盤の展開は内容が把握しづらいし、中盤の刑事殺害も意味がないように思える。 夜の場面では何が起こっているのかイマイチ判別できないのも難点。ショック演出も、終盤のシャワー室以外は妹の悪夢ばかりで、真相が分かってから考えると犯行がマヌケなものに見えてくる。 だいたい幽霊のふりをして脅すというアイデア自体が古臭い。 せっかく起用した二人の女優が生かされていないし、シドニー・チャップリンも見せ場なく終わる。 |