原題 ; THE SILENT SCREAM(1980) |
監督 ; デニー・ハリス |
脚本 ; ケン・ウィート、ジム・ウィート、ウォレス・C・ベネット、デニー・ハリス |
音楽 ; ロジャー・ケラウェイ |
出演 ; レベッカ・ボールディング、イヴォンヌ・デ・カーロ、バーバラ・スティール |
海辺に建つ下宿屋の舞台にしたサイコ・スリラー。 大学の寮に入り損ねたスコッティ・パーカー(レベッカ・ボールディング)は一人オープンカーに乗って下宿探し。 何軒かを回ってダメだったが、丘の上にある屋敷を見つけて訪ねてみると住人のドリスが大家のエンゲルス夫人(イヴォンヌ・デ・カーロ)に頼んでくれるという。 屋敷の住人は他にエンゲルス夫人の息子メイソン、ジャック、彼女と同時に入居したピーターがいる。スコッティはメイソンの姉が使っていたという部屋を選んだ。 ベッドで休むスコッティを天井の通気口から覗く者がいた。 屋根裏部屋に荷物をしまいに行ったスコッティは、エンゲルス夫人に出会う。夫人は押し黙ったままだった。屋敷の裏手には海岸が広がっている。 歓迎会の後、良いムードになったスコッティとジャックは廊下でキスをした。それをドアの影から見つめるメイソンの姿があった。 酔って海岸で寝込んでいたピーターが何者かにナイフでメッタ刺しにされる。 マクガイバー警部(キャメロンン・ミッチェル)の取り調べにメイソンは、母親は病気がちで、姉ヴィクトリア(バーバラ・スティール)は東部で暮らしており、父親は死んだと答える。 ジャックはスコッティを海水浴に誘う。スコッティは彼の態度を無神経に感じたが、結局泳ぎに行く。 ピーターの父親が有力者なので警察上層部はピリピリしている。 マクガイバー警部はヴィクトリアが過去に事件を起こしていることを突きとめた。裏切った男を襲って捕まった前科があるのだ。 ドリスはアパートを探して、この下宿を出ると言いだす。 その夜、スコッティとジャックはベッド・イン。地下室で通気口から漏れてくる喘ぎ声に気付いて聞き耳を立てていたドリスは、何者かに襲われナイフでメッタ刺しにされる。 屋根裏部屋には血まみれで髪をとかすヴィクトリアがいた。部屋の隅にはブーケで飾られたドリスの死体もある。 スコッティはドリスの姿が消えたことに気づくが、床の血は見落としてしまう。 懐中電灯を手に屋敷を探すスコッティは、屋根裏部屋でヴィクトリアに襲われ、駆けつけたエンゲルス夫人に助けられた。 ジャックがスコッティを探しはじめる。屋根裏では夫人とメイソンがスコッティの口を押さえていた。 エンゲルス夫人はメイソンにヴィクトリアが、彼の本当の母親であることを明かす。 16歳で妊娠したヴィクトリアは首つり自殺を図って失敗。精神に異常をきたしてしまったのだ。 メイソンは事実を受け入れられず部屋を飛び出していく。物音に気づいて声を掛けたジャックをメイソンは殴り倒す。 メイソンは父の形見と思い込んでいた祖父の軍服や銃を取り出す。 警察は15年前にヴィクトリアが母親の手で療養施設から連れ出され、それ以来行方不明になっていることを突きとめた。 ヴィクトリアが屋敷にいると判断したマクガイバー警部たちが出動していく。 軍服に身を固めたメイソンが夫人の部屋に乗り込んでいく。精神に異常をきたし、軍人であった祖父になりきっている。 メイソンがクローゼットに縛られたスコッティに銃を突き付けた。夫人が銃を取り上げようとしてもみ合いになる。 銃が暴発。壁に穴があき、レコード・プレイヤーが吹っ飛ぶ。一発がエンゲルス夫人の胸を貫いた。 夫人の死体にかがみこむメイソン。彼にナイフを握りしめたヴィクトリアが忍び寄る。 気付いたメイソンが引き金を引くが弾はカラ。あわてて弾倉を交換するメイソン。 ゆっくりと近づくヴィクトリアを撃ったメイソンは、自分の顎に銃口をあてて引き金を引き自殺する。 階下ではジャックが意識を取り戻していた。 スコッティはようやくロープをほどいたが、ナイフを手にしたヴィクトリアが立ち上がり襲ってきた。 間一髪でクローゼットを閉めるスコッティ。ナイフの刃がドアに挟まる。 ヴィクトリアはそのままナイフを下げていく。刃がノブを押さえるスコッティの手にあたった。 思わずノブを放してしまうスコッティ。その時、ドアを破ってジャックが飛び込んできた。 警官隊も屋敷に到着して乗り込んでいく。 ジャックに向きなおったヴィクトリアに、スコッティが後ろから体当たりをかます。壁にぶつかったヴィクトリアの胸にナイフが突き刺さった。 次々と死体を発見するマクガイバー警部たち。 屋根裏部屋の奥にはジャックと彼の胸で泣き続けるスコッティの姿があった。 クライマックスまでの展開はさほど新味を感じさせないが、弟までが狂気に取り付かれてしまう件は多少ひねりが効いている。 殺人鬼役にバーバラ・スティール、その母親役にイヴォンヌ・デ・カーロを配したことが効を奏している。 演出そのものは平凡でショック描写も少ないのだが、二人の醸(かも)し出す怪しいムードのおかげで、月並みなスプラッタ・ホラーとは一線を画した味わいを持つことができた。 IMDbによれば監督のデニー・ハリスは映画にかかわったのは本作のみ。ヒロインのレベッカ・ボールディングは、テレビの仕事がほとんどで「チャームド〜魔女三姉妹」にはセミ・レギュラーで出演したらしい。 |