タイム・トラベラーズ
 原題 ; THE TIME TRAVELERS(1964)
 監督 ; イブ・メルキオー
 脚本 ; イブ・メルキオー
 音楽 ; リチャード・ラサール
 出演 ; プレストン・フォスター、フィリップ・ケリー、メリー・アンダース、ジョン・ホイト
TV放送時のタイトルは「原始怪人対未来怪人」。
その時は戦闘で上半身だけになってうごめくアンドロイドの不気味さが強く印象に残ったが、今回ノーカット版で見直すと、低予算ながら工夫を凝らして楽しめるSF映画に仕上がっている。
とある研究所でタイムマシンの実験が行われていた。
スティーヴ(フィリップ・ケリー)はクビ覚悟だと言って限界以上の電圧をかける。
装置が火を噴き、大学のキャンパスを映し出していたモニターには荒野が広がっていた。
それは107年後の光景だった。偶然にも時を超える装置が出来上がってしまったのだ。
しかもモニターは映像ではなく、現実の空間へとつながっていた。
電気技師ダニーが別世界に飛び出して行ってしまう。
責任者であるエリック・フォン・スタイナー博士(プレストン・フォスター)が追いかけていく。
画面に怪しげな人影が映り、スティーヴも入っていく。
残されたキャロル(メリー・アンダース)。モニターに二人のミュータントが向かってくる。キャロルは消火器で撃退したが、映像が不安定になって来た。
キャロルは中に入ってスティーヴとスタイナーを呼ぶ。二人は戻るが、三人を異世界に残したまま時間の窓は消滅してしまう。
そこに怪人の集団が襲ってきた。逃げ出す三人。
三人はダニーと合流、石を投げてミュータントを撃退し洞窟に逃げ込む。
ミュータントたちが洞窟の入口に殺到するが、中に入ることができず引き上げていく。
いつの間にか洞窟の入口に電気バリアが張られていたのだ。
洞窟の奥からガドラという女がアンドロイドを引き連れて現れ、4人をバーノ総督のもとに連れていく。
総督によれば、ここは2071年の地球。人類は核戦争により滅亡に瀕し、この基地以外には残っていないという。
他にはミュータントと化した者たちだけだった。
総督は生き残った者たちでアルファ銀河に存在する地球環境に似た惑星を目指す計画を推進している。
そのための宇宙船も完成間近だった。
4人は基地内を案内される。工房では手作業でアンドロイドが組み立てられていく。
基地は飢えたミュータントたちに狙われていた。戦闘で破壊されたアンドロイドが修理される。
工場に残ったダニーは美女リーナにデートに誘われたり、アンドロイドの手につかまれたり。
スタイナーたちは元の時代に戻って人類に警鐘を鳴らそうと考える。総督は歴史を変えることは不可能だという意見だった。
娯楽室で光と音を操るシンセサイザー風楽器の演奏を楽しむダニーとリーナ。
ミュータントによる攻撃の警報が鳴り、キャロルは倉庫に迷い込んでしまう。
そこでキャロルは一人の侵入者と出会う。彼女は男を助けようとするが、総督の腹心ウィラードは殺そうとする。
キャロルが総督を説得して、男は助けられることになった。
総督は瞬時に果実をならせる実験を披露。ついでにキャロルとリーナの入浴シーン(ヌードは見せないけど)。
総督は宇宙船に4人を乗せる余裕がないことを通達する。
スティーヴは解決策を考えようと提案するが、計画変更には時間がかかりすぎるため、ウィラードは受け入れない。
生き延びるためには時間の窓を再現するしかない。リーナもダニーについていくという。
宇宙船の発進予定日が近づいてきた。
いよいよ乗船時間となった。積み込まれた食料を狙ってミュータントが攻撃してきた。
基地に立てこもる人間たち。
総督やスティーヴたちが見守る中、乗り込んだ者たちが宇宙船発進を試みる。
だが、宇宙船は爆発してしまった。
スタイナー博士が時間の窓を稼働させる。懐かしいキャンパスの映像が現れたが、何かおかしい。静まりかえっている。
その時、ドアを破ってミュータントが侵入してきた。4人と総督ら生き残った者たちが時間の窓に飛び込み、外から破壊してミュータントの侵入を防いだ。
4人は無人のキャンパスを走って実験室に戻る。そこには制止した4人の姿があった。すべてが固まったようになり、何一つ動かすことができない。
過去に戻りすぎた4人は時の流れを混乱させ、時間の外に浮いた存在となっていた。
時間の流れが違ってしまったのだ。止まって見える者たちの1秒が彼らの1年以上になっていた。
この世界にいることはできない。実験室の時間の窓は十万年後につながっている。スティーヴが窓の中に入っていく。それだけが残された道だった。
4人と未来の生き残りたちが十万年後に行くと、そこでは緑が復活していた。
実験室の中では時間が動き出し、物語は永遠にループしていくのだった。
少ない予算でキャストも一流ではないのだが、B級SFとしては、なかなか良くできている。
迷い込んだ倉庫で外部から侵入した青年を助けるエピソードは蛇足だった気がする。前に正常な人間は外部に生き残っていないとうセリフがあったし、その後青年の話はは登場しないのでない方がすっきりしたと思う。
細部の欠点はあるが、全体的なストーリーは当時のセンス・オブ・ワンダーを感じさせるものになっている。