原題 ; 8MILLION WAY TO DIE(1986) |
監督 ; ハル・アシュビー |
脚本 ; オリバー・ストーン、デヴィッド・リー・ヘンリー |
音楽 ; ジェームズ・ニュートン・ハワード |
出演 ; ジェフ・ブリッジス、ロザンナ・アークェット、アンディ・ガルシア |
ローレンス・ブロック作マット・スカダー・シリーズの映画化。 地味なスーツと形のくずれた帽子でニュー・ヨークの町を彷徨うマット・スカダーが、洒落たジャケットやアロハで陽光まぶしいロスを闊歩する口ヒゲのタフガイ、ジェフ・ブリッジスになっただけでも、原作ファンからすれば「どこがマット・スカダーやねん」と突っ込むのに十分だろう。 個人的には、この作品を観て興味を持ちマット・スカダー・シリーズを読み始めた経緯があるので、ある意味思い出深い作品。 ストーリーは殆どオリジナルで、主人公が元警官のアル中で、足を洗いたい売春婦からヒモへの口利きを依頼されるが女は殺されてしまう、という部分だけ原作を使用している。 その結果、原作には登場しないヒロインをめぐって原作には登場しない犯人と原作にはない戦いを繰り広げる内容となった。 ちなみに警察をやめアル中になるきっかけとなった事件も原作とは違っている。 まあ、原作と映画のストーリーが全く違うことは珍しくないのだが。 ロス市警の麻薬捜査官マット・スカダー(ジェフ・ブリッジス)は、売人の住居に踏み込み、バットを振り回して抵抗した男を射殺してしまう。 この事件がきっかけでマットはアルコールに溺れ、警察を辞め妻子とも別れることになる。 アル中患者の集会に参加してリハビリを続けるマットに一軒の依頼が舞い込む。 足を洗いたい売春婦サニー(アレキサンドラ・ポール)が、ヒモのチャンス(ランディ・ブルックス)に口利きして欲しいというのだ。 チャンスは、マットが以前逮捕したことのある黒人で交渉は成功したかに見えた。 だが、空港に向かう途中に立ち寄った店の駐車場でサニーは拉致されてしまう。 マットはタイヤの引き裂かれた車で追跡するが、サニーは惨殺されていた。 ショックを受けたマットは再び酒に手を出し、意識を失って病院に運び込まれる。 退院したマットは調査に乗り出し、サニーの遺留品から住所を書いたメモを見つける。 そこは振興のギャング、エンジェル(アンディ・ガルシア)が経営するマーケットだった。 マットはサニーに友人でエンジェルの愛人でもあるサラ(ロザンナ・アークエット)と知りあい次第に愛し合うようになる。 一方、エンジェルがサニーと同じ宝石を身に着けていたことから、マットはエンジェルが犯人と確信、麻薬取引を装って接触を図るが、サラを連れ戻されてしまう。 エンジェルはマーケットに仕入れた薪に麻薬を仕込んで密輸していた。 サニーはこの取引に関わっており、本当に足を洗いたかったのはこの犯罪だった。 マットは、チャンスたちとマーケットの倉庫に忍び込み、麻薬の詰まった薪を盗み出す。 なぜそれほど重要なブツを隠した倉庫に見張りがいないのかは全く不明。 マットは麻薬とサラの交換をエンジェルに交渉、受け渡し場所の倉庫には麻薬捜査班を待機させる。 マットは麻薬に火をつけエンジェルを脅してサラを解放させる。 警察が踏み込んで銃撃戦になりチャンスは命を落とすが、エンジェルは逃亡してしまう。 チャンスの売春宿に引き上げるマットとサラ。 そこには復讐心に燃えたエンジェルと一人残った手下が待ちかまえていた。 マットは撃ちあいの末、エンジェルを倒す。 マットは再び集会に参加してリハビリに努め、サラと幸せな時を過ごすのだった。 当時売り出し中だったアンディ・ガルシアを含め配役は悪くないが、ストーリーには隙間が目立ちハル・アシュビー監督で脚本にオリバー・ストーンがか加わった作品としては物足りない出来栄だった。 |