原題 ; 976−EVIL(1988) |
監督 ; ロバート・イングランド |
脚本 ; レット・トファム、ブライアン・ヘルゲランド |
音楽 ; トム・チェイス、スティーヴ・ラッカー |
出演 ; スティーヴン・ジェフリーズ、サンディ・デニス、マリア・ルベル、ジム・メッツラー |
電話星占いを装った悪魔の罠にはまり、破滅していく男を描いたホラー映画。 一人の男が突然鳴り出した公衆電話で感電のうえ発火、吹き飛ばされるというメインのストーリーには全く関係ないオープニング。 スパイク(パトリック・オブライアン)は不良たちとのポーカーで大負けした。彼の従弟ホークス(スティーヴン・ジェフリーズ)は母ルーシー・ウィルモス(サンディ・デニス)に甘やかされているダサい男。スパイクはウィルモス家の離れに住んでいる。 スパイクは、たまたま見かけたチラシの電話星占いにかけてみる。 暗黒の帝王と名乗る占い師は、借金はじき片づく危険を恐れず幸運を掴み取れと言う。 スパイクはルーシーの家に忍び込み金を盗もうとするが見つかってしまう。ルーシーはスパイクが21歳になったら相続する姉の遺産を管理していた。 突然空から魚が降り出し、ルーシーは神の奇跡だと大喜び。電話星占いは雨が降れば借金は片づくと告げていた。 事件を聞きつけた雑誌記者マーティ・パーマ(ジム・メッツラー)ーがルーシーを訪ねてくる。 何とか不良たちに金を返したスパイクは、いじめられていたホークスを助け出す。 電話星占いは「欲しい物を奪い取るガッツを持て」とスパイクをそそのかした。彼は20ドルする本革のグラブが欲しいのだが、盗むことは断念する。 公衆電話に星占いが勝手にかかり、スパイクが出ると先ほどと同じセリフが繰り返される。最後には道路の横断に注意と言われた。 その直後、スパイクは轢かれそうになり、マーティに助けられる。 ホークスはスパイクと恋人スージー(レズリー・ディーン)のセックスを覗き見したりしていたが、彼も星占いに電話してしまう。深夜映画に行けば女が見つかると言われる。 スパイクが不良仲間に誘われてポーカーを始めたので、仕方なくスージーは一人で映画館に行く。 映画館でスージーと出会ったホークスは、彼女ののヤケ食いにつきあわされた。だが、そこで彼はまたしても不良たちにいじめられる。しかもポケットから盗んだスージーのパンティが見つかり、あきれた彼女は帰ってしまう。 残されたホークスに星占い電話がスージーに仕返ししろとそそのかす。塩で円と星の魔法陣を描き、毒グモで復讐しろと言うのだ。 さっそく部屋に魔法陣を描くホークス。いつの間にか毒グモに悪魔草なんてアイテムまで用意している。 そのころスージーは家のレンジでレトルト食品を温めていた。食べようとしたら毒グモの群れが出てきて大騒ぎ。 ホークスは事の重大さに気づいて儀式をやめるが手遅れ、スージーは毒グモに噛まれて死んでいた。 高額の電話代請求が来て怒ったルーシーはホークスの電話使用を禁じる。逆恨みするホークス。 一方、マーティは女教師アンジェラ(マリア・ルベル)にスパイクのことを訊ねていた。 ホークスは、うっかり口をすべらせてスパイクにスージー殺しを知られてしまう。スージーが不良のボス、マーカスと寝たので脅かすつもりだったと嘘をつく。 スパイクはショックを受けるが、完全には信じられないのか通報はしない。 星占いのことを知ったマーティは事務所を訪ねる。そこではいくつもの有料電話番組が運営されていたが、星占いは数か月前に中止されたという。 ホークスは身体に変調をきたしていた。彼が二人の不良にからまれると、指が変形し爪が鋭く伸びる。その爪で不良の顔を裂く。もう一人は怯えて逃げて行った。 ホークスの部屋でクモのカゴを見つけたスパイクは、ホークスの話が本当らしいと思い始める。 ルーシーは、ホークスが電話を持ち出すのを見て止めようとする。ホークスはガタガタぬかすと殺すと妙な声で脅すのだった。 占い電話は、気に入らない奴らを皆殺しにしろと言ってホークスに力を与える。 ホークスは不良たちの溜まり場に乗り込む。 二人の不良がやっつけてやると表に連れ出すが、ホークスは二つの心臓を手に戻って来た。彼の顔は醜く変わっている。 マーカスの手を切りおとし、屋上に逃げた男にネオン管を突き刺す。トイレに隠れたマーカスにとどめを刺し、自宅に戻って口うるさい母親も殺してしまう。 マーティがアンジェラを連れてやってくる。彼は2階の窓から侵入しようとして、ホークスに驚かされ落下、気絶してしまう。 戻ってこないマーティを心配したアンジェラが玄関から入っていく。2階からママが病気だという声がしたので階段を上がる。 2階ではルーシーの死体を猫がかじっていた。驚くアンジェラをホークスが階段から突き落とす。 室内は凍りつき床が崩れていく。 スパイクがマーティーの意識を取り戻させた。二人が家に入ると、床は隅の部分しか残っていない。 縁をつたって逃げようとしたアンジェラは、足を滑らせてぶら下がってしまう。なんとかマーティが引き上げた。 マーティとアンジェラは逃げ出し、残ったスパイクにホークスがハルマゲドンを宣言。 ホークスはスパイクを叩きのめすと、シューターのパイプをつたって逃げようとしているマーティたちを落とそうとする。 庭が突然火の海になった。スパイクは首をしめるホークスに、二人でバイク旅行しようと話しかける。俺のバイクをやるからと。 一瞬、ホークスに自分の心が戻って来た。だが、悪魔はすぐに身体を取り戻し「ホークスは自分のものだ渡すものか」と言う。 ついにスパイクがホークスを窓から突き落とした。ホークスは庭に広がる炎の深淵に墜落し消えていくのだった。 悪魔がメンフィスの青年を次の獲物に選ぶ場面で映画は終わる。 監督は「エルム街の悪夢」シリーズのフレディ役で知られる俳優のロバート・イングランド。 特に新味はないが、B級ホラーとしてはそこそこの出来栄え。 脚本には「L.A.コンフィデンシャル」でアカデミー賞を受賞したブライアン・ヘルゲランドが名を連ねているが、特に際だった部分はない。 悪魔の誘惑に打ち勝った者と屈した者の闘いというのが、アメリカらしい気はする。 クライマックスで唐突に宣言されるハルマゲドンがちょっと虚しい。 |