製作 ; (1986)
 監督 ; 大賀俊二
 脚本 ; 城山昇
 音楽 ; 三枝成章
 出演 ; (声)堀内賢雄、鷹森淑乃、小林清志、天地麦人、森功至、永井一郎
「ハウルの動く城」に先駆けて動く城を舞台にしたファンタジー・アニメ、と言いたいが実際には巨大亀の背に乗って移動する要塞都市が舞台。まあ、都市ごと動くのだからスケールだけはこちらが上と言えなくもない。
原作は作・夢枕獏、画・天野喜孝によるコミック。
読んだことがないので原作のタッチは分からないが、セル画によるアニメーションは残念ながら天野喜孝イラストにある幽玄さは出ていない。
脇のキャラクターの描き方がぞんざいなのも作品全体の質を下げている。
75分という比較的短い上映時間に多様なエピソードが詰め込まれ、テンポが速くて飽きないが、その分あっけない印象も残る。
トータル的には水準以上でも以下でもないと言う程度の作品となった。
白馬に乗った白髪の戦士アモン(堀内賢雄)は、酒場で騒動に巻き込まれ戦士ガリウス(天地麦人)と出会う.
巨大な亀の背に建造された暗黒の要塞都市ヴァルヒスの兵士募集にアモンたちも参加する。
ヴァルヒスから垂らされた9本のロープ、殺しあって一人が一本を登り、その9人が採用されるというのだ。
このテストにはアモン、ガリウスの他、アルカン、ホーなど一癖ありそうな連中が合格する。
一方、草原を走る帆船団のリーダー・ダライ・セムの娘リチア(鷹森淑乃)もヴァルヒスに囚われていた。
ヴァルヒス皇帝(小林清志)は娘と引き換えに黄金の谷の地図を要求していた。
アモンはヴァルヒス皇帝に母を殺され仇と狙っていた。
夜中に抜け出して様子を探るアモンは見つかってしまうが、リチアに匿われて難を逃れる。
翌日湖でリチアが泳いでいると蛇口魚が襲ってくる。
助けに飛び込むアモンだが苦戦、ホーの放った矢が蛇口魚の目を貫いた隙をついて倒すことができた。
ダライ・セムは黄金の谷の地図をヴァルヒス皇帝に渡すが、皇帝はリチアを返さない。
再び宿舎を抜け出すアモン、警備兵に見つかるがガリウスが倒してしまう。
アモンは皇帝に戦いを挑む。
一方、ダライ・セムの密使だったアルカンはリチアを救出しようとしていた。
皇帝に敵わなかったアモンは、アルカンたちと合流して翔馬に乗りヴァルヒスを脱出する。
その後、リチアが黄金騎士にさらわれ、アモンたちが追ってゴーストタウンに入ると黄金騎士は操り人形だった。
そこにいたのは敵ではなく王国の生き残りである僧侶たちで、王の血筋を引く最後の者であるリチアを守ろうとしていた。
僧侶から黄金の谷の伝説を聞いたアモンたちは、ヴァルヒスを追って黄金の谷に向かう。
幻術で攻撃してくるヴァルヒスの配下・マボー(永井一郎)を僧侶の協力で倒し、再びアモンはヴァルヒス皇帝と対決。
アモンの投げた剣が皇帝の額に突き刺さった。
黄金の谷は崩れ始め、全ては地の底へと呑み込まれていった。
ホーは、アモンの師である吟遊詩人エナクの仲間で、アモンを影ながら守っていたのだった。
アモンはリチアに別れを告げ旅立つことになった。
白馬に乗ったアモンに、ガリウスとアルカンが同行して草原を去っていく。
主を失った巨大亀は永い眠りにつこうとしていた。
アモン・サーガ