原題 ; AMSTERDAMNED(1984)
 監督 ; ディック・マース
 脚本 ; ディック・マース
 音楽 ; ディック・マース
 出演 ; ヒューブ・スタペル、モニク・ファン・デ・フェン、ヒデ・マース、ヴィム・ソマー
劇場公開時のタイトルは「アムステルダム無情」。
「悪魔の密室」と、そのリメイク「ダウン」で知られるディック・マース監督によるポリス・アクション。
脚本だけでなく音楽まで手がけているところはジョン・カーペンターを彷彿とさせる。
アムステルダムの運河を効果的に使って見ごたえを増している。
アムステルダムで売春婦が殺され、橋桁に死体が吊るされるという事件が発生。水上バスに死体がぶつかる場面も運河が、うまく使われている。
子持ちの刑事エリック(ヒューブ・スタベル)が担当者として捜査に当たる。
目撃者はホームレスの老婆ただ一人。犯人は犯人は水中から現れた巨大な爪の黒い怪物と証言する。
次の犠牲者は水質調査を行っていた二人の男。この部分の描写は「ジョーズ」を意識しているように思えた。
。捜査にはエリックの旧友で水上警察のジョン(ヴィム・ソマー)も加わり、犯人の遺留品と思われる水深計が発見される。
犯人は黒いウェットスーツにフィンをつけたダイバーらしいと想定される。
エリックはダイバーの調査を始め、その中でローラ(モニク・ファン・デ・フェン)と知りあいデートするようになる。
ローラは、カウンセリングを受けているルイスデール(ヒデ・マース)に勧められてダイヴィング具を始めたが、ルイスデール本人は友人の事故がきっかけでダイヴィングをやめていた。
さらにゴムボートで日光浴していた女性が犠牲となり、再選を狙う市長はイラだって警察に圧力をくわえる。
通報により容疑者が浮上、男はバイクで逃走を試みるが、跳ね橋が上がったため逃げ切れず逮捕された。
警察内には事件解決のムードが漂うが、エリックには男が犯人とは思えなかった。
その夜、一艘の漁船が、何者かに沈められ船長が殺害される。
翌日、単なる事故と見た警察はジョンを検証に潜らせるが、船内には船長の死体が漂っていた。
ジョンは潜んでいた犯人にメッタ刺しにされて殺されてしまう。
海上にいた警察は、水面に出る泡を追跡。行き止まりの水路に追い込みポンプで水を抜くが、川底から出てきたのは捨てられたボンベのみ。犯人はいち早く逃走していた。
そこに民家から侵入者の通報があり、エリックは現場へと向かう。
犯人は停泊中のモーターボートを奪って逃走、エリックも後を追う。
ここで運河を最大限に生かしたデッドヒートが展開。犯人のボートは運搬船に激突して炎上。
だが、エリックは犯人が排水路に逃げ込んだのを見逃さなかった。
さらに追うエリックに犯人の放った水中銃のモリが撃ち込まれるが、銃で反撃。ゴーグルは割れたものの、犯人が負傷したかどうかは分からないままに気を失ってしまう。
エリックは病院で目を覚ます。
エリックの怪我が浅かったことに安心したローラは、カウンセリングのためルイスデールを訪れるが家には誰もいない。
ローラは船付室(とでも呼ぶのだろうか、この作品を観るとアムステルダムの個人住宅には地下というか水上部分に直接ボートなどで乗りいられる部屋があることが分かる)で割れたゴーグルを発見。エリックに連絡を取ろうとするが、ルイスデールが帰ってきてしまう。
看護婦からの伝言を聞いたエリックは曜日からローラに居所を推理してルイスデールの元に向かう。
一方、ルイスデールに見つかったローラはオールで殴りかかりルイスデールを倒すが、水中からウェットスーツの男に襲われる。
駆けつけたエリックが発砲すると犯人は逃走、ローラは救出される。
犯人はルイスデールの旧友で、ダイバーをしていて水中に沈んだ化学I廃棄物回収を請け負うが、漏れていたウランで被爆してしまい身体だけでなく精神にも異常をきたしてしまったのだ。
エリックたちは犯人の家に急行するが、すでに犯人は水中銃で自殺してしまっていた。
余談=ディック・マース監督には上記のほかに「小さな目撃者」があり、こちらも運河を生かしていた。どの作品も小品だが、とにかくエンタテインメント志向の強い作風で楽しませてくれる。
アムステルダム怒りの追撃