原題 ; BAD DREAMS(1988) |
監督 ; アンドリュー・フレミング |
脚本 ; アンドリュー・フレミング、スティーヴン・E・デ・スーザ |
音楽 ; ジェイ・ファーガソン |
出演 ; ジェニファー・ルービン、ブルース・アボット、ハリス・ユーリン、リチャード・リンチ |
「エルム街の悪夢3/惨劇の館」のジェニファー・ルービン主演によるホラー・タッチのサスペンス映画。冒頭のカルト教団集団自殺は、実際の事件に想を得ているのだと思う。 劇場公開時は「悪夢の惨劇」のみのタイトルだった。 教祖ハリス(リチャード・リンチ)率いるカルト教団が集団自殺を決行した。 ただ一人の生き残りシンシア(ジェニファー・ルービン)は昏睡状態が続き、13年後に目を覚ます。 シンシアはカーメン医師(ブルース・アボット)のもとで集団セラピーに参加し、リハビリすることになる。 カーメン医師は他の患者への影響を心配するが、上司の医師部長ベリスフォード(ハリス・ユーリン)は問題ないという。 シンシアは時として教祖ハリスが「教団は不滅だ」と迫ってくる幻覚を見て錯乱する。彼女はセラピーに参加せず、片隅に座っていた。その時も集団自殺当日の記憶が甦って叫び声を上げる。 シンシアは皆がガソリンをかぶって火をつけた時、不安になって逃げ出し爆風に吹き飛ばされたのだ。 これまで原因不明とされてきた事件の真相が分かり始め、担当のワッサーマン警部が乗り出してくる。 患者の一人ラナ(エリザベス・デイリー)は、シンシアと友達になろうとするが拒絶されショックを受けた。 シンシアは自分ひとりが生き残ったことに罪悪感を感じ、ハリスに殺される幻覚を見る。教祖は「君が来ないなら、代わりの者を呼ぶ」と言った。 目を覚ましたシンシアは、プールにラナの死体が浮かんでいるのを見つける。 自殺らしいのだが、シンシアはハリスの仕業と思い込んでしまう。 元雑誌記者の患者ミリアムは教団のことを記事にしたがる。ミリアムの乗ったエレベーターにハリスの姿を見たシンシアは慌てて階段で追うが、彼女はビルから堕ちて死んだ。 もともと自殺願望のあったミリアムだが、シンシアはハリスの仕業だと主張する。 さらに患者のエドとコニーが、機械室で大型換気扇の回転翼に飛び込んで死ぬ。通風孔から血が流れ出し病院はパニックになる。シンシアも血まみれになった。 残った患者に対して厳重な警備体制が敷かれる。患者のラルフは警備員を倒し病室を抜け出た。シンシアは彼の後を追う。 書類倉庫で暴れ出すラルフ。いつものストレス解消法なのだが、今日は落ち着くことができない。 自傷癖のある彼は、メスで自分を傷つけ始める。カーメン医師とワッサーマン警部が駆けつけると、ラルフは自分の胸を刺して自殺した。 ベリスフォードはシンシアの隔離を決定する。カーメンは隔離は彼女の病状を悪化させると主張するが、ベリスフォードに解雇されてしまう。 隔離病棟に向かうシンシアは、教団の屋敷に入っていく幻覚を見ていた。 荷物をまとめたカーメンは落ち着こうと薬を飲む。そのころ生き残った患者のギルダが服毒自殺していた。 車に乗ったカーメンは、帰宅するベリスフォードを見つけ車をぶつける。狂ったように何度も何度も。そして漏れ出たガソリンに引火してカーメンの車は爆発した。 これはカーメンの幻覚だった。薬に原因があると感じた彼は病院の薬局に飛び込む。集団セラピーを受けていた患者たちの処方を調べると、全てベリスフォードが行っていた。 使われていた薬剤は、精神に悪影響を及ばす劇薬ばかりだった。 シンシアの危機を知ったカーメンは非常ベルを鳴らして隔離病棟に駆け込む。 ベリスフォードは自らの理論を証明するため、患者たちに薬を盛って錯乱させ自殺に追い込んでいたのだ。 カーメンは背後からベリスフォードに殴られ気絶してしまう。 ベリスフォードはシンシアを屋上に連れ出す。駆けつけたカーメンが止めるが、彼女は飛び降りてしまう。 幻覚の中でシンシアは教団の屋敷に入っていく。中では教祖ハリスが出迎えた。 カーメンは屋上から乗り出しシンシアの手首をつかんだ。意識が朦朧(もうろう)としているシンシア。カーメンは愛を告白し、ハリスと思っているのは医師部長にすぎないと説得する。 ベリスフォードはカーメンを落とそうとするが、そこにワッサーマン率いる警察部隊がやって来た。 ベリスフォードはカーメンに罪をなすりつけようとしたが、不利と見るとワッサーマンの銃を奪いカーメンを狙う。 その姿とハリスとを交錯させたシンシアが体当たりしてベリスフォードを突き落とす。 カーメンは、まだ幻覚に怯えるシンシアを抱きしめるのだった。 B級作ながら、なかなか完成度の高い作品。 多少強引な部分もあるが、ヒロインが現実と妄想を交錯させていく展開で、見ている側にも果たして教祖の霊が襲っているのかと迷わせる構成がうまい。 B級映画専門女優の感が強いジェニファー・ルービンだが、くっきりした目と眉が印象的な美人。もっと伸びても良かったと思う。 リチャード・リンチの怪演ふりも楽しめるし、ブルースアボット、ハリス・ユーリンといった中堅のほか、脇の配役もなかなか良い。 |