原題 ; BLESS THIS HOUSE(1988) |
監督 ; ロニー・ユー |
脚本 ; クリフトン・コー |
音楽 ; リチャード・ユエン |
出演 ; タン・ピョウ、ロレッタ・リー、デボラ、スティーヴン・ホー、ブルース・リャン |
香港製コメディ・ホラーとしては、わりとしっかりした出来の作品。 壁紙に隠された絵とか三輪車とか、ダリオ・アルジェントを真似した場面もあるが、もちろんテイストは全く違う。 後にエロス路線に転向するロレッタ・リーが初々しい姿を見せている。パンフレットによると、当時のキャッチ・フレーズは「香港の薬師丸ひろ子」だそうな。 中年の設計技師チャン(タン・ピョウ)は、妻(デボラ)と二人の娘アチャン(ロレッタ・リー)とイェンイェンの4人で狭いアパート暮らし。 幸運にも昇進のうえ、社長の別荘に住めることになる。 立派な家具に大喜びするが、社長はケチだった。家具は全て運送屋に運び去られ、電気も止められてしまう。 従兄弟でアチャンのボーイフレンドのタイカオ(スティーヴン・ホー)もまじえて本格的な引越し作業。家具を買い揃えて整理していると、倉庫には京劇に小道具や以前の住人の家族写真があった。 怪しげな隣人(ブルース・リャン)は越してくるなと警告する。 家では夜に男の歌声が聞こえたり、壁にシミができたりと妙なことが続く。 アチャンがシミの浮き出た壁紙をはがすと、下には不気味な絵が描かれていた。 チャンは、絵は子供の落書きにすぎないと言って片付ける。 泊まりにきたタイカオが、夜中にアチャンと思って抱きついたのは男の幽霊。気を失った彼は自家用車の後ろに寝かされ、危うく轢き殺されそうになる。 タイカオは、大学の先輩で道士という男を連れてきてお祓いをさせるが、掃除機に乗り移った霊に襲われ返り討ちになる。 チャンは幽霊を撮影しようとカメラを用意するが、そううまくは出てこない。やがて彼は様子がおかしくなり、夜中に京劇の扮装で踊ったりし始める。 本人は気付いていないのだが、寝ていないので仕事も手に付かない。すると同僚も、あの家は出たほうがいいと言う。 さらにチャンは、家族の前でも怒りっぽくなり、突然踊りだす。次にはイェンイェンが妻の浮気でできた私生児だなどと言い出す。 正気に戻って出社したが、描いたはずの設計図が紛失しておりクビになってしまった。 アチャンは家が祟られていると警告するが、家族で喧嘩をしてしまう。 チャンは同僚から、あの家で10年前、住んでいた家族が死んだことを告げられる。俳優だった住人は事故で車椅子の生活となり引退。やがて発狂して妻子を殺し家に火を放ったというのだ。 アチャンが当時の事件フィルムを調べていると、例の隣人が写っていた。 隣人は悪霊を退治しようと機会を待っていた道士だった。 悪霊は自分が解放されるための身代わりとしてチャンを殺そうとしているのだ。道士は悪霊との戦いに向かい、タイカオは悪霊を滅ぼす力があるという同士の師匠の遺骨を掘り起こしに行く。 チャンと妻はイェンイェンを連れて逃げようとするが、事情を知らないアチャンが家に入ってしまった。アチャンを助け出そうと戻るチャン。とりつかれたチャンは、事件を再現して家族を焼き殺そうとする。 やって来た道士の力で悪霊はチャンを離れるが、今度は実体化して襲ってくる。こうなると道士でも歯が立たない。 そこにタイカオが、師匠の遺骨を持ってやってきた。 チャンは扇風機で遺骨をかけようとするが、コンセントが抜けて失敗。あわやというときにイェンイェンがコンセントを挿し、遺骨を浴びた悪霊は滅び去った。 職を失って住む場所もなくなったチャン一家だが、そこにホテル建設の仕事が舞い込み大喜びするのだった。 派手な見せ場もスプラッター描写もないが、細かい見せ場を積み重ねる展開で楽しませてくれる(香港映画らしいベタな部分も多い)。ハッピーエンドなのもコメディーらしくて良かった。 |