原題 ; INSPECTOR CLOUSEAU(1968)
 監督 ; バッド・ヨーキン
 脚本 ; トム・ウォルドマン、フランク・ウォルドマン
 音楽 ; ケン・ソーン
 出演 ; アラン・アーキン、フランク・フィンレイ、デリア・ボッカルド、バリー・フォスター
ピンクパンサー・シリーズのクルーゾー警部をアラン・アーキンが演じた番外編。
監督もバッド・ヨーキンにバトン・タッチしている。
とはいえ、オープニングにはお馴染みアニメーションがちゃんと使われている(ピンクパンサーは登場せず、クルーゾー警部のみだが)。
スコットランド・ヤード総監は連続する列車強盗事件解決のためにクルーゾー警部(アラン・アーキン)を招く。
雨の空港に到着したクルーゾーは着ないで靴を脱いだまま降り立ってしまい、ひと騒ぎ。
警察のウィーバー(フランク・フィンレイ)とショックリーが出迎えるが、クルーゾーはあくまで観光客のふりをすると主張。税関で銃と手榴弾が見つかって連行されてしまう。
クルーゾーを呼んだのは首相の要望だった。警察は一味のうち12人を逮捕していた。総監は署内にスパイがいる可能性があるので誰も信じるなという。
クルーゾーは逮捕された犯人の一人アディソン・スティール(バリー・フォスター)に面会する。スティールは。ジョニー・レインボウに会えと言う。
スティールはクルーゾーに麻酔薬をかがせ、ダスターシュートから脱獄してしまう。
クルーゾーは発炎筒、レーザー光線ライター、シガレットケース型受信機、ベルトのバックルに仕込んだミニ・ミサイルなどの支給を受ける。
ウィーバーに夕食に招かれたクルーゾーは、助手をする美人の刑事リサ・モレル(デリア・ボッカルド)を紹介される。
ウィーバー夫人はスコットランド祭りがあるといってクルーゾーたちを無理矢理連れ出す。
会場にはクルーゾーを狙うフレンチーの姿もあった。クルーゾーがラッキー賞に当たって喜んだはずみにミニ・ミサイルが暴発、銃を構えたフレンチーを倒す。
ウィーバーは検死、リサは急用で出てしまい夫人と二人きりになったクルーゾー。色目を使って迫ってくる夫人にクルーゾーが退散しようとすると夫人は足にしがみつく。
幸い総監から迎えが来たのでおばさんの魔手を逃れることができた。
クルーゾーは総監の葉巻に火を点けようとして発炎筒をたいてしまい、総監が大切にしていたウィスキーで消す。
総監は激怒するが、クルーゾーはどこ吹く風。口笛を吹きながら去っていく。
夜、ドライブしていたクルーゾーは車が故障して困っていた女性をひろう。女は伯父が経営するという旅館に彼を誘い、黒い下着姿で誘惑する。
すっかりその気になったクルーゾーは写真を撮られまくる。よそ見した間に女が入れ変っても気にせずいちゃつく。睡眠薬で眠らされて顔型まで取られてしまった。
次の任務はフレンチー葬儀の張り込み。受信機が壊れて大きな音を出してしまい、クルーゾーは敵の仲間に見つかってしまう。
追われたクルーゾーをリサがに救出。彼女の正体は国際警察の警部補だった。
クルーゾーとリサは敵の隠れ家を盗聴。そこにはスティールもいる。だが、クルーゾーに聞こえているのはテレビの西部劇のセリフだった。
隠れ家にクルーゾー警部が入ってくる。色めき立つ悪党ども。だが、それはゴムマスクをかぶった刑務所長の息子。彼こそジョニー・レインボウなのである。
ジョニーはスイスの大銀行13行を同時に襲う計画をたてていた。全員にマスクをつけさせ、クルーゾーに罪をきせようというのだ。
ウィーバーは組織の手下二人をクルーゾーの銃で射殺。ポケットにチューリッヒ行きの切符を入れる。これはクルーゾーをチューリッヒに行かせるための罠。ウィーバーも組織の一員だった。
ウィーバーはクルーゾーを列車から突き落とし、ゴムマスクをかぶって入れ替わった。
ニセクルーゾーは強盗から守るためとだまして各銀行の金を装甲車に積み込ませたうえ、別のトラックに積み替えてしまう。
そのころ一味は札束を工場に持ち込みチョコレートの包装をしていた。盗んだ金をスイスチョコレートとして海外に持ち出そうというのだ。
ようやく到着したクルーゾーは、容疑者として逮捕された。買収されて一味に協力したチョコレート工場の守衛が金をネコババしたことから捕まり、ウィーバーの正体もばれてしまう。
ゴムマスクをかぶったウィーバーと本物のクルーザーが対決。ウィーバーは守衛にブロンズ像で殴られて死ぬ。
クルーゾーが札束がチョコに偽装されたことを公表したため世界中でチョコの奪い合いが発生。
スティールを見つけたクルーゾーは車で追跡。スティールの車は水陸両用。追って海に入ったクルーゾーの車は沈んでしまう。
浮かんだところをクルーゾーは捕まる。彼がジョニー一味の船に連れ込まれると、リサも捕らえられていた。
クルーゾーはライターのレーザー光線で船底に穴を開けてしまう。
沈み行く船。ジョニーやスティールは水陸両用車で脱出。海面を漂うクルーゾーとリサは警察の船に救出された。
リサと再会を約束してクルーゾーはフランス行きの旅客機に乗り込む。なんと隣りにはウィーバー夫人が座っていた。またしても迫られたクルーゾーはパラシュートで脱出するのだった。
代表作のないバッド・ヨーキンの演出はメリハリがなく凡庸。アイデアとしては面白い部分もあるのに残念。
ウィーバー夫人なんて、もっとインパクト強く描かないとラストのオチが生きてこない。
銀行襲撃の顛末は「ルパン三世/どっちが勝つか三代目」の元ネタかと思う部分もあったが、違うんだろうなあ。
クルーゾー警部シリーズは、それほど見ていないのだが、見た中では「暗闇でドッキリ」が一番好き。シリーズをブレイクさせたのは「ピンクパンサー2」だと思うが、予告編が良かったので期待して見に行ったら、予告編で大笑いすると、もう笑う場所があまり残っていない作品だった。
人間味あふれるキャラクターを得意とするアラン・アーキンだが、得体のしれないフランス人はかってが違ったのか、トボけた味は出してはいるものの、ピーター・セラーズのアクの強さに比べると印象が弱い。
後に「デアボリカ」などイタリアのB級ホラー、アクションで活躍するデリア・ボッカルドが(デビュー作ではないが)新人として紹介され、魅力を発揮している。
クルーゾー警部