原題 ; DEMOLITION HIGH(1995)
 監督 ; ジム・ウィーノスキー
 脚本 ; スティーヴ・ジャンコウスキー
 音楽 ; ケヴィン・カイナー
 出演 ; コリー・ハイム、アラン・チック、ジェフ・コーバー、ディック・ヴァン・パッタン
「ダイ・ハード」は、アクション映画の流れに多大な影響を与えて一つのジャンルを作り出してしまった。なにしろ「テロリストに占拠された○○には最強の××がいた」。この○○に適当な施設名、××に適当な職業名を入れれば、プロット一つ出来上がってしまうのだ。
しかも、二番煎じではあるが無い知恵絞って考えた作品より面白い場合が多い。
本作もジム・ウィーノスキー監督作品としてはマトモな方で、これまでに紹介した「美女とエイリアン」「ダイハード・ビクセン地獄の巨乳戦士」なんかよりは、はるかにまとまりのある作品となっている。
もちろん比較論の問題で、突っ込みどころ満載のZ級アクションにしているのが、ウィーノスキー監督の面目躍如というところか。
一応、高校の設備を利用して戦うなど工夫の跡も見られる。
ニューヨークから転向して来たレニー(コリー・ハイム)は、早速不良たちに目をつけられてしまう。
その高校に核弾頭の小型ミサイルを強奪したテロリストが、警察に追われて逃げ込んでくる。
テロリストは警備員を射殺、脅された校長は放課後に残っていた生徒をホールに集合させる。
警察のスレーター署長(アラン・チック)は、レニーの父親だった。
事件に気づいたレニーは、公衆電話で外部に連絡しようとするが小銭が足りなかった。体育館に残っていたステーシーとエディーを逃し、自分が残って戦おうとするが、ステーシーたちも残ると言い出す。
校長室で銃を捜す三人。だがマイクがONになったままだった。会話を聞きつけて捕まえに行こうとするテロリストを止めようとした校長は、女テロリスト、タニヤに射殺されてしまう。
テロリストのボス、ルーサー(ジェフ・コーバー)の要求は、軍と警察の武装解除、政府の資産と武器の組織への譲渡という非現実的なものだった。
三人は理科室に忍び込みガスを全開にして、タバコで引火させ一人を始末する。
校長室のレニーからの連絡で、スレーターは仕掛けられたミサイルの目標が原子力発電所と推理する。
次に三人は工作室に向かう。潤滑剤を撒いてすべった敵を電動ノコで始末、奪った銃でもう一人射殺した。しかしステーシーとエディが捕まってしまう。
タニヤはエディからレニーの名を聞きだす。
ステーシーを守ろうとしたエディはルーサーに撃たれ重傷を負う。
スレーターは息子に起爆装置の奪取を依頼する。
美術室に入ったレニーは、ペンを消火器で撃ち出し、タニヤを倒して起爆装置を奪う。
スレーターは全てが陽動作戦で、真の目的は連邦準備金焼却炉の現金強奪ではないかと考える。驚いたことにホントに考えただけで終わる。犯人側にも金目当ての犯行と明言しているのに、現金強奪について具体的な描写は全くない。
アクションだけあれば犯行動機なんてどうでもいいというウィーノスキーらしいチャランポランさが感じられる。
レニーはルーサーに銃を突きつけるが、ミサイルを自爆させると学校の各所に仕掛けた爆弾も同時に爆発する仕組みになっていた。
銃を捨て起爆装置を渡すエディ。一瞬の隙をついてルーサーに跳びかかり窓から突き落とした。
レニーはミサイルを止めようと屋上に向かうが、事情を知らない警察の狙撃を受けてしまう。ミサイルは発射された。
校内に戻るとタニヤが斧で襲い掛かってきた。斧を振りかぶったタニヤは警察の狙撃の餌食になる。
校外に出たレニーは転落死したルーサーの持っていた起爆装置でミサイルを自爆させる。
学校も跡形もなく消し飛んだが、事件は解決した。って核弾頭という設定だから空中で自爆させてもメデタシにはならないと思うぞ。
一番の欠点は、すでに24歳のコリー・ハイムがあまりカッコよくないこと。
普通の高校生が、特に理由もなくテロリストと対決する決意を固めるのも無理がある。主人公が残ったために校長が死に、一人が重傷を負うというストーリー展開もマイナス。
ラストで自分をかばって怪我したボーイフレンドをほっぽって主人公と仲良くなるステーシーにも問題あり。
余談=もちろん、この作品はアクション映画の佳作だった「トイ・ソルジャー」とは何の関係もない。ただし、見ていないのだが「トイ・ソルジャー’97」は本作の正統な続編で、大学に進学したレニーが再びテロリストと戦うらしい。監督はケヴィン・S・テニーの交代したが、さほど期待できる作品ではなさそうだ。
トイ・ソルジャー’96