原題 ; DOC SAVAGE THE MAN OF BRONZE(1975)
 監督 ; マイケル・アンダーソン
 脚本 ; ジョージ・パル、ジョセフ・モーハイム
 音楽 ; ジョン・フィリップ・スーザ
 出演 ; ロン・エリー、ポール・グリーソン、ビル・ラッキング、パメラ・ヘンズリー
パルプ・マガジン史上最大のヒーロー、ドク・サベージの第1作を「宇宙戦争」「タイム・マシン」のジョージ・パルが映画化した。
出来上がった作品は大爆笑コメディーなのだが、困ったことに製作側はシリアスなスーパーヒーロー物を目指したようだ。
音楽ジョン・フィリップ・スーザとあるが、「マーチの王様」と呼ばれたスーザは1932年に亡くなっている。
スーザ他のクラシック曲をアレンジして劇伴音楽に使用したにすぎない。「星条旗よ永遠に」に無理やり歌詞をつけた「ドク・サベージ・マーチ」からして大笑いだった。
オリジナル曲はフランク・デ・ヴォルが担当したらしい。
北極で修行中だったドク・サベージ(ロン・エリー)は5人の仲間からのテレパシーを受けニューヨークに戻る。
父が南米の小国ヒダルゴで熱病のため死亡したのだ。
マンハッタンの高層ビルに集合したドクたちを、奇妙な化粧の原住民が向かいのビルから狙撃する。
陰謀を感じたドクはヒダルゴへと向かうことを決定するが、ドクの飛行機は離陸直後ベートーベンの運命のメロディをバックに爆発してしまう。
だが、その機は危機を予感したドクの仕掛けたリモコンの囮だった。
改めてヒダルゴに到着したドクたちはシーズ船長のヨットに招待されるが、船長こそ犯罪の黒幕だった。
ヨットを脱出したドクたちはヒダルゴ奥地の部落に辿り着く。
そこには巨大な金鉱があった。
シーズ船長の狙いは莫大な金だったのだ。
ドクの父を殺したウィルスで部落を全滅させようと企むシーズ船長たちをドクは見事に撃破する。
ドクは、捕らえたシーズ船長を自分の施設で更正させることにする。
その年のクリスマス、慈善なべを運営する救世軍の中にシーズ船長の姿があった。
その目はどんよりと曇り、後頭部にはロボトミーの手術痕が。
なんともブラック・ユーモア感覚あふれるラストだが、やっぱりマジでやってる。
余談その一=ジョージ・パルはドク・サベージを空前のヒット・シリーズにしようともくろみ、全181篇の原作権を買い取ったが、1本で打ち切られた。以前、1作目のラストで予告される第2作「ファースト・エネミー」が公開されたという記事を読んだことがあるが、フィルモグラフィーには記載がないので誤報だったらしい。その記事には、ドク・サベージがマヌケな白人ヒーローを笑い飛ばす映画として一部の黒人観客にバカウケしていたともあったが、真偽のほどは不明。
余談その二=日本では、その年の正月映画として公開されたが年を越すことができずに打ち切りとなり、そのまま幻の映画と化した。
余談その三=監督のマイケル・アンダーソンは初期の代表作「80日間世界一周」から最新作「ピノキオ/ニュー・アドベンチャー」まで超ベテラン。残念ながら出来ばえは並以下の作品も多く、職人監督と呼ぶにはちょっと心もとない人物だ。
ドク・サベージの大冒険