原題 ; DRIFTING SCHOOL(1995) |
監督 ; J.J.ミムラ |
脚本 ; エリック・シャーマン、ヒデヒロ・イトウ |
音楽 ; ソムトウ・スカーリトクル |
出演 ; ドレイク・ベル、ビリー・ドラゴ、ババ・スミス、ヘンリー・シルヴァ、小西博之 |
楳図かずおの傑作「漂流教室」の映画化。 「伝説のコミックがハリウッドで蘇える」がキャッチコピーの日米合作というふれこみだが、実態は日本資本によるビデオ用作品といったところか。 監督のJ.J.ミムラの正体は「キタキツネ物語」の助監督をしていた三村順一という人らしい。 根本的にビデオ用の低予算作品として84分で映画化するのは無理がありすぎた。 つじつまあわせさえ成功していない。 大林宣彦監督版、本作、そして窪塚洋介版テレビドラマと3度映像化されたが、原作の足元にも及んだ作品はない。 「漂流教室」を本気で映像化するなら、「ロード・オブ・ザ・リング」並に高予算の3部作くらいにしないと無理なのではないだろうか。 原子力衛星にトラブルが発生、ロサンゼルスへと落下していく。 ケニー少年(ドレイク・ベル)は、従兄弟ジョンのバスケ試合を見にモンロー・ハイスクールへとやって来ていた。 また一方では超能力を持つ殺人鬼キング(ビリー・ドラゴ)が警官を精神操作して脱走。モンロー校へと逃げ込む。 将軍(ヘンリー・シルヴァ)の指揮の下、衛星はビームによって破壊されるが発生したエネルギー波がモンロー校を時空のかなたに運び去ってしまう。 当然モンロー校への送電もストップし、ジョンたちが非常発電機を探していると、発明オタクのポールが光線銃を作り上げていた。 バスケのコーチ、ジャクソン(ババ・スミス)らとともに行方不明者を探しに外に出たジョンは血まみれのスニーカーを発見。ジャクソンは警官の射殺死体も見つける。校長までも殺されていた。 翌朝になってようやく外を見た登場人物たちは、学校の周囲が消え荒野の真っ只中にいることを知る。 いくら時間がないとはいえ、でたらめすぎる展開。殺人事件が起こっているのに外部と連絡しようとしないし、家に帰ろうとする生徒もいない。 しかも、この異常事態に対して登場人物の反応が薄すぎて説得力まるでなし。脚本読んで知ってましたよって顔してる。 校門の外には学校に取り残された者たちの名を記した石碑があったが、ケニーの名前だけがなかった キングは超能力で数人を操り高校を占領、抵抗したジャクソンを射殺した。迫力のない殴り合いになった後、キングは女生徒ナンシーを人質に人質にピックアップ・トラックで逃走。荷台に乗ったケニーも連れ去られてしまう。 対戦校のコーチ役で出演していた小西博之もここで死亡。 その頃、現在の自宅にいるケニーの母はケニーの危機を悟っていた。ケニーとナンシーが公園跡に逃げ込むと、時空を超えて意思の通じた母が催涙スプレーを残しておいてくれた。しかし古くなっていて出なかった。オマヌケ。 銃を手に迫るキング。そのときモンスターが現れ、隙を突いてケニーたちは仲間の元に戻ることが出来た。 指揮権を握った生徒オオトモは弱者切捨ての方針を打ち出す。それを知ったジョンは彼と対立、オオトモをぶちのめす。すっかり反省して真人間になるオオトモ、ってジョン・フォード映画かこれは。 ポールは洞窟を探検してTVスタジオを発見、そこにあったビデオテープを再生する。 それにはモンロー校消失のニュースが収録されていた。 ケニーはニュース映像の母に語りかけて必要な薬をスタジオに隠してもらう。 薬を見つけて喜ぶケニーたちをモンスターが襲ってきた。ここで生徒の一人が犠牲になる。 学校に戻るとキングが食料を奪っていた。彼はクリーチャー化を始めていた。助けを求めるキングをポールが光線銃で始末する。 幻覚を見るようになった生徒リチャードも飛び降り自殺してしまう。 ポールが調べた結果、怪物は放射能で変異した人類だと分かる。生徒たちはショックを受けた様子もなく、怪物どもをぶっ殺そうぜ、とか嬉々として言ってのける。 ジョンたちは怪物と戦うパワーを得るため洞窟に向かう。 洞窟の奥にはなぜか原子力発電施設がある。マッド・サイエンティストと化したポールは、周囲の制止も聞かず設備を稼動させた。 暴走した原発暴走の振動で洞窟の一部が崩れ、ジョンは岩の下敷きとなって死んでしまう。 そこにモンスターが襲ってきた。ケニーは光線銃で消滅させた。 ポールは光線銃で時空に穴を開け、自分たちの時代に帰るつもりだった。 だが、残されたエネルギーは子供一人分しかない。生徒たちはケニーを一人送り返すのだった。 皆が石碑に戻るとそこには大統領となったケニーからのメッセージが刻まれ、石碑の下のシェルターに必要な物資が保管されていると記されていた。 いくら化学オタクでも一介の高校生のポールが次々と真相を言い当てるのも都合よすぎ。モンスターを消滅させた光線をケニーに照射するクライマックスも無茶。 余談=ビリー・ドラゴ、ヘンリー・シルヴァという新旧の悪役俳優が顔を出し、ババ・スミスは「ポリス・アカデミー」のハイタワーが当たり役。というわけでギャラには、そこそこ予算を使ったのかもしれない。そのせいで映像がしょぼくなったという可能性もあるが。もっともビリー・ドラゴ以外は皆前半しか出番がないのだが。 |